センダックの最高傑作三部作の英語バージョンを用いた
絵のフカヨミ動画解説。解説は日本語なのでご心配なく。
動画の目次
センダックの絵本には、多くの場合ファンタジーの世界に行くきっかけと現実世界に戻るきっかけがある
絵の上で言うと、「うるさーい」と、怒鳴る絵からファンタジーの世界が始まり、「コケコッコー」と叫ぶ絵で元の世界に戻って来ます。この二つの言葉は、絵のような特徴的な字体で描かれています。ここは、文字としてではなく絵として読み解くべきところでしょう。
2021-09-15 10:03:20センダックの3部作の他の絵本も、たまたまそうなったいうより、何かしらの原因があってファンタジーの世界に行くという話になっているので、この微妙なニュアンスの違いは大切だと思うのです。
2021-09-15 09:59:25台所の街全図がこの絵本の一番の魅力
見開き全体を使って街になった台所の全体像が描かれています。ここが見所です。この中で、ミルク瓶が高く聳え立っています。つまり、ここに到達できるのは、飛行機に乗ったミッキーだけなのです。つまり、彼は偶然ここに来てしまったというより、来ることが彼の役割とも言えるわけです。
2021-09-15 12:57:41台所の街全図と各ページの場所との対応関係を解説している動画の箇所へのリンク
畳み掛けてくる非日常のリズム
センダックの「まよなかのだいどころ」で、ミッキーは何一つ普通のことはしていないのです。上の階から空中を降りてくる、バターの中に入る、かき混ぜられる、オーブンで焼かれる、パン生地に入る、パン生地でヒコーキを作り、それで飛ぶ、牛乳の中に落ち、その中で牛乳を飲む、飛んで部屋に戻る。
2021-09-15 18:43:41この、息をつかせないような非日常の連続がワクワクのリズムを強く作っていると思うのです。絵の方もそのテンポを崩さないように漫画風の3つに分けたコマ割りでリズムを作っています。そういえば、コックさんも3人ですし、色々なところに三拍子リズムが出て来ます。絵でもリズムを見事に作ってました。
2021-09-15 19:01:25翻訳の難しさとフォントの問題
この「まよなかのだいどころ」ですが、日本語訳と原文と少しニュアンスが違います。日本語訳だとたまたまミッキーという名前がミルクに似ているので間違えられてしまった。というニュアンスですが、原文では名前が似ていることが、彼がミルクを持ってくるという役割を果たす宿命のように感じられます。
2021-09-15 09:56:56とはいうものの、冨山房さんも頑張ってくれていて、台所に林立するビルの広告を皆翻訳してくれているので、そこはとても評価できます。これが読めないと面白さは半減します。
2021-09-16 13:07:25センダックの絵本「まよなかのだいどころ」では、実はフォントの問題もあります。原書の方は、文章も全て手書き文字なのです。一見手書き風フォントに見えるのですが、すごく上手い人が描いているのだと思います。この文字をよく見てください。Nはなぜかこの一文字だけ尖っています。 pic.twitter.com/0v9u9stK5b
2021-09-16 13:00:41翻訳では、絵に溶け込んだ文字の部分だけ手で書いている人がいるので、「うるさいぞ」は原書のフォントにあっているのですが、翻訳では本文は全てフォントなので、自体が違ってしまい、雰囲気を壊しています。もったいないですよね。 pic.twitter.com/BPXWqEyTLk
2021-09-16 13:05:44