怪談BASARA・腐 #kai_bsr_fu 第二回 まとめ。

数寄屋＠鈍色スイッチ @suquiya

@kai_bsr そうして時計の針は巡って2時、人っ子ひとりいない寂しい中で、俺は待機中というわけである。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr まあ結局、毎度毎度彼女の頼みを断れない俺も俺なのではあるが。　「こんなこともあろうかと…なんてな」　ちかちか、と街灯が点滅しだしたので、内ポケットから取り出した小型のそれのスイッチを入れる。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr 最近メジャーになったらしいLEDライトは、懐中電灯などとは比べものにならない明るさであたりを照らし出した。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr 俺は見たのだ。先刻、存在するはずのない列車が停車しているのを。 「…見事に幽霊列車だったな…」 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr はあ、とため息をつく。俺が十歳の時に使いに行った、親父が勤める会社の廊下で何故か苗字を当てられた上に必死にしがみつかれ、そのままつきまとわれるようにして彼女の幼なじみという立場になってしまって10年余り。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr どうにも奇妙な縁ばっかり持っているらしい彼女に関わることで体験する種々のあれやこれやに、正直言って慣れてはいるのだが――なんというか、端的に言えば、「慣れた」だけなのだ。ため息が絶えることはない。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr LEDライトを動かす。照らしだされたホームには、列車も、人影もない。当たり前である。今は営業時間外なのだ。 「さてと…」 それじゃあ暇でも潰そうか。彼女が戻ってくるまで。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr 今彼女はここにはいない。もう既にあの列車――幽霊列車に乗り込んで、意気揚々と行ってしまったのである。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr 彼女のはなしをまとめるとこうだ。 ――事の発端は、とある一人の男が姿を消したことにあった。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr 緑の実に豊かな地方出身、名を綾小路というその男。所謂「木の医者」という立場にあった彼は、庭師も兼ねてこの近所の木の世話なんかもしていたらしい。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr 腕も良く、依頼主からの信頼も厚かったらしいのだが、なにせこのあたりは繁華街のコンクリートジャングルよりまだマシとはいえ、田舎よりも圧倒的に木は少なく、しかも病みやすい。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr 生まれた時から森で過ごしていたらしいその男は、それでも、木への愛で耐えていたのだが、ある日どうにも田舎が恋しくなったらしい。 #kai_bsr_fu

@natsukichi0422

RT @suquiya: 【拡散希望のようなもの】今夜21時ぐらいから2時ぐらいまで、イベント「怪談BASARA・腐」を行います。だいたいは怪談BASARAと同じですが、カップリング・女体化など腐要素が可となります。ハッシュタグは【 #kai_bsr_fu 】リプ用アカ@kai_bsr

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@kai_bsr いきなり「私は森に帰る！」と叫んで走りだし、その勢いのまま田舎へ向かった。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr しかし故郷向きの列車ならどれでもいいとばかりに、電車の詳細も確認せずに飛び乗ったのが運の尽き。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr その列車は所謂幽霊列車というやつで、まあわかりやすく言えばあれだ。乗れば最後、普通の人には出てこれません、というシロモノだったのである。 #kai_bsr_fu

ナツメヤシ @na2meya4

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@kai_bsr もとより妙な男で、都会での知り合いは殆どいないそのままであれば普通の行方不明事件となるはずだったのだが、しかし困った者たちが複数。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr 彼を好いていた「木」たちである。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr だから木たちは依頼した。あの怪しの列車より彼を救出して欲しい。対価は何でも払う。例えば――貴重な自分たちの霊酒でも、構わない、と。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr そうしてその対価に目をつけた彼女がこの救出作戦を引き受けた。そういうことだったのである。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr そうしてやってきた最寄り駅前。一寸色々と俺には夜中にここにきたくない事情があったのだが、俺が彼女に押し切られなかったことはない。早々に諦めた。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr てっきり電車などというので、ホームに侵入でもするのだろうかと思っていたのだが、案外そうでもなかったらしく、彼女――いや。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr 俺がいつも呼ぶところの、「お嬢」が座ったのは、駅前に通った一本の道路の歩道側に設置されたベンチの上だった。 #kai_bsr_fu

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@kai_bsr 「あれ、中には入らねえのか」 「入らないわ。これからするのは不正乗車みたいなものですもの。レールの上なんかだと余計ややこしくなってしまってよ」 #kai_bsr_fu