ブレヒト戯曲全集を読んだ感想などまとめ

ブレヒト戯曲全集を順番に読んでいった感想などです。
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棚尾/tanao @tanao_5

集団というか、状況によって別人にならざるを得なくなるお話。同じブレヒトの「セチュアンの善人」を思い出しますね。あれも人格が分裂するというより、状況によってそういう振る舞いが要請されるというお話だと思います。

2021-11-05 21:51:16
棚尾/tanao @tanao_5

お次はブレヒトの作品の中では有名な「三文オペラ」、作品名はよく聞くけど、実は未読かつお芝居も観た事ないので楽しみ。

2021-11-05 21:53:31
棚尾/tanao @tanao_5

ブレヒト戯曲全集第2巻より「三文オペラ」を読了。悪党メッキースが絞首台に送られる顛末を描いたお話。メッキースは稀代の悪党かと冒頭思わせておきながら、作中ではそんな様子は無くある意味「市民的」。反対にメッキースを陥れるピーチャムは強かで抜かりのない悪党だと感じた。

2021-11-15 21:17:48
棚尾/tanao @tanao_5

メッキースを取り巻くドタバタ(主に女性絡みの裏切りやら、メッキースの習慣と自業自得、ポリーとルーシーの修羅場など)が普通に面白く読めてしまった。メッキースは悪党なので、全く同情せず、客観的に物語に触れられたように感じる。これはある程度狙ってやっているものなんだろうな。

2021-11-15 21:23:14
棚尾/tanao @tanao_5

登場人物が軒並み悪党ばかりなのだけど、それは世間の冷たさの中では当然に蔓延るものと描かれている。というか、世間の無責任さを皮肉っているのかな。最後にメタな語りからいきなりメッキースが恩赦される件とか、「あなた方(世間)が要請するなら」話はひっくり返る。

2021-11-15 21:35:08
棚尾/tanao @tanao_5

「不正をあまり追求するな。  この世の冷たさに逢えば  不正もやがて凍りつくさ。  考えろ、この世の冷たさを。」

2021-11-15 21:36:51
棚尾/tanao @tanao_5

あと作品のソングは各幕のフィナーレと嫉妬のデュエットが好き。

2021-11-15 21:39:26
棚尾/tanao @tanao_5

ブレヒト戯曲全集第2巻より「マハゴニー市の興亡」を読了。ひとつの娯楽都市の変遷と、そこを訪れた木こりのパウルの運命のお話。憩いも安らぎも素晴らしいが何かが足りない。そして最後には金が物を言う。

2021-11-16 22:07:56
棚尾/tanao @tanao_5

資本主義社会への皮肉のようなものを感じつつ、話のテンポ自体は歌が多めで小気味良い。「男は男だ」のベクビックや「三文オペラ」のジェニーの存在が、パウルを満たすもの(お酒だったり愛だったり)として象徴的。それに翻弄され、最後には見限られる事も含めて、分かりやすく人は満たされないと。

2021-11-16 22:19:52
棚尾/tanao @tanao_5

分かりやすくお金で満たされようとすると過ちと悪徳に根こそぎ奪われると描かれているように感じる。

2021-11-16 22:25:32
棚尾/tanao @tanao_5

「どこへいっても憩いばかり  どこへいっても睦み合いばかり  頼りになるものが  多すぎるから嫌なんだ」

2021-11-16 22:32:58
棚尾/tanao @tanao_5

「ハリケーンなんていらない  台風なんていらない  台風のしでかす恐ろしいことぐらい  俺たちは自分でやれるんだ」

2021-11-16 22:35:53
棚尾/tanao @tanao_5

ブレヒト戯曲全集第2巻、残りは「小市民七つの大罪」になったが、今のところ「男は男だ」が一番好きかもしれない。

2021-11-16 22:37:23
棚尾/tanao @tanao_5

ブレヒト戯曲全集第2巻より「小市民七つの大罪」を読了。アンナ姉妹が富を得るための道程を描いたお話(バレエ)。七つ大罪を回避するし故郷の立派な家が立つが、果たしてそれは……という皮肉が描かれている気がする。7年の歳月の価値をどう見るかで印象が変わりそう。

2021-11-18 22:41:22
棚尾/tanao @tanao_5

若い当事者として触れる7年間は超大事。それを刹那的に過ごしてしまったら何も残らない。しかし、犠牲の果てに成果を積み上げても、それはそれで形に残せない性質の成果の損失があるだろうなとも感じる。

2021-11-18 22:46:23
棚尾/tanao @tanao_5

キャバレーで自分の芸術に献身的な踊りをしようとしたアンナ、ロサンゼルスで不正に怒ったアンナなどなど。

2021-11-18 22:49:40
棚尾/tanao @tanao_5

「やっと帰ってきたわ ルイジアナ  ミシシッピの月影射すところ  都会には7年いたわ  幸せを求め  成功したわ 小さな家も建った ルイジアナ  (後略)」

2021-11-18 22:52:31

ブレヒト戯曲全集第3巻

棚尾/tanao @tanao_5

ブレヒト戯曲全集3巻より「屠場の聖ヨハンナ」を読了。資本家と労働者の対比で、資本家を批判しているようにも見えるが、経済の仕組みの残酷さを描いているように思える。労働者が明日の仕事と食事を求めるように、資本家もその性質みたいなものに従い商売をする。ただ、そこには明確に断絶もある。

2021-12-14 22:27:28
棚尾/tanao @tanao_5

資本家が作中でいうところの非人間的な企みによって労働者を締め付けるが、労働者もゼネストや暴力に訴えてこれに反抗を企てる。どちらも違う尺度で行われる必然的な行動だけど、ヨハンナはどちらにも否定的に振る舞ってしまった。だからこそ、ヨハンナは最終的に命を落とす。

2021-12-14 22:28:19
棚尾/tanao @tanao_5

「(前略)まったく善行なんてなんの効き目もなく、立派な心ばえなどハナもひっかけられないものでした!(中略)善人として一生を送ってこの世を去ることなんか心配せずに、世を去っていく時までに、世界のほうがいまとは違った善なる世界になっているように、心がけるべきです!」

2021-12-14 22:30:46
棚尾/tanao @tanao_5

「(前略)上で起こっていることは下の人にはわからない。下で起こっていることは、上のひとにはわかりません。上と下とには、二つの違った言葉があり、二つの違った尺度があります。人間の顔を持っていながらお互いには分かりあえないのです」

2021-12-14 22:31:29
棚尾/tanao @tanao_5

ブレヒトの作品。個人の在り方を批判しているのではなく、社会の仕組みの在り方をどうにかしなければならないと描いているようなものが多い気がするんですよね。序盤、スリフトが貧しい人の悪い根性を見せつけるんだけど、それは悪いところではなく、貧しさがそうさせるんだとヨハンナが返す点もそう。

2021-12-14 22:33:34
棚尾/tanao @tanao_5

モーラーは二面性が分かりやすく描かれていて、市場を支配する狡猾さ、他の経営者を締め上げる残酷さも存分に描かれるけど、反対に屠場の業務(家畜が殺されること)に嫌気が差したり、貧しい人を見ていられなかったり、加熱するマネーゲームに弱気が顔を出し状況から降りて一息付けようともする。

2021-12-14 22:35:54
棚尾/tanao @tanao_5

この二面性は、人間的な部分は誰しもが持っているが、対象に応じてそれは顔を引っ込めてしまうということ。ただ、それは失われた訳ではないし、残酷さと誠実さは人間にとって不可分なものとしているようにも思える。

2021-12-14 22:36:57
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