ブレードヤクザ・ヴェイカント・ヴェンジェンス #1
「ケジメニンジャだと!?」アベルはオウム返しにした。「ふざけやがって馬鹿野郎……そのオメーンを取りやがれってンだよ!どこのニンジャだオラー!」「俺は何者でも無い……」キツネオメーンのニンジャは無感情に呟いた。「まず貴様をケジメする」「ザッケンナコラー!」「イヤーッ!」
2011-08-25 21:13:23アベルがカタナを斜めに振りおろした。彼はこのカタナで十人のヤクザを一人で皆殺しにした事がある。おそらくケンドー段位換算で13段は下らないであろうワザマエ、恐るべき速度の斬撃だ。だが!「グワーッ!?」
2011-08-25 21:17:41ケジメニンジャはアベルとすれ違い、その背後に片膝をついていた。無傷!アベルは己の左手に感じた激痛の正体を知るべく、手を上げてまじまじと見る。ナムアミダブツ!左手の指が全て根元から切り落とされケジメされている!「グワーッ!?」
2011-08-25 21:21:06「ザッケンナコラー!」アベルはしかし強靭な精神の持ち主、この程度でひるむことはない!踏み込みながら大上段の一撃を振り下ろす!「イヤーッ!」ケジメニンジャは振り向きながら飛び上がり、回転しながらアベルとすれ違った。そして着地。無傷!アベルは?「グワーッ!?」カタナを取り落とす!
2011-08-25 21:24:24右手の指も五本全てケジメされている。もはやカタナは持てぬ!「グワーッ!」「貴様をケジメする」ケジメニンジャはガン・スピンめいてドス・ダガーを手の周囲でクルクルと回転させ構え直した。「ザッケンナコラー」アベルは身構えながら、最近のヤクザ殺害事件の被害者の死体の特徴を思い出していた。
2011-08-25 21:28:23死体は両手足を無残に切り落とされていた。そして切り離された手の指は執拗にケジメされていたのだ……当然このケジメニンジャの仕業だ!「イヤーッ!」ケジメニンジャが両手のドス・ダガーを閃かせた。「グワーッ!」アベルの両肘から先が切り離された!ケジメ!「貴様をケジメする」
2011-08-25 21:30:02「ザ……ザッケンナコラー!」アベルは切断された両腕を突き出し、なおも攻撃に出た!捨て身!「ウオオーッ!」アベルがケジメニンジャの頭部めがけ右足で蹴りを繰り出す!「イヤーッ!」「グワーッ!?」右足の膝から下が易々と切断された!ケジメ!
2011-08-25 21:34:56だがアベルは捨て身の覚悟を決めていたのだ。蹴りの勢いで回転し、左足による回し蹴りを繰り出す!「ヌウッ」ケジメニンジャは身を反らせ回避するが、蹴り足はキツネオメーンをかすめ、跳ね飛ばした!ナムサン!惜しくも当て損なった蹴りの代償に、左脚の膝から下も次の瞬間、切り落とされていた!
2011-08-25 21:39:54「グワーッ!」両手両足を切断されたアベルは為すすべ無く床に仰向けに倒れた。「て、テメェ……?」オメーンを失ったケジメニンジャの顔を見上げたアベルは絶句した。埋め込み式のサイバーサングラスをしたその顔は……顔立ちはあまりにも彼がよく知る顔……クローンヤクザY-13のそれである!
2011-08-25 21:42:20「クローンヤクザ?ニンジャ?」出血多量でアベルは死にかけていた。「どういう事だ」「俺は顔なき顔。俺は亡霊」ケジメニンジャは無感情にアベルを見下ろす。「クソッ」アベルは呻いた。「こんな事してタダで済むと思うなよ……ヨロシサンやザイバツが必ず制裁、ア、アバッ」「……」アベルは死んだ。
2011-08-25 21:53:56(第二部「キョート殺伐都市」より:「ブレードヤクザ・ヴェイカント・ヴェンジェンス」#1終わり。#2へ続く)
2011-08-25 22:04:39