ヴェルヴェット・ソニック #9

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーの実況タグは #ニンジャスレイヤー を使用していきます! 実況タグとはなにか? それはリファレンスガイドに詳しい。御覧ください。 diehardtales.com/n/n557624ec1c30

2021-10-27 21:39:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【今回のあらすじ】 ニンジャスレイヤー vs ダークカラテエンパイアの戦士達、それが「ストラグル・オブ・カリュドーン」だ。現在の相手はユメミル・ジツを使う極めて危険なニンジャ、サロウ。昏睡状態に陥ったニンジャスレイヤーの自我を侵食にかかったサロウだが、土壇場で拒絶され、イクサは加熱!

2021-10-27 21:41:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【あらすじ】 ニンジャスレイヤーの脳内のローカルコトダマ空間から引きずり出されたサロウは、ナンシー・リンと電子的高次元戦闘を繰り広げる。フジサンから遠隔接続するナンシーを打ち破ったサロウに一矢報いたのは、タキのドロップキックだった。そして新たなニンジャが参戦する……。

2021-10-27 21:43:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」打ち寄せる波がサロウの横顔を洗う。サロウは銀の砂に手をつき、身を起こした。頭上では変わらず、黄金立方体が冷たく自転している。「……」サロウは顔についた砂を払い、手のひらを見つめた。サロウは呟く。「妙だ」「だろうな」声が投げかけられた。 0

2021-10-27 21:46:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

サロウは振り返った。打ち寄せる波。そこに男が立っていた。鈍色の装束を着たニンジャだった。男の肩の向こう、丘の上には奇妙なシュラインが見えた。男は咳払いをひとつ。サロウは眉根を寄せる。「あンた……何だ?妙な感じがする」「同感だね」男は言った。「俺はシルバーキーだ、お客人」 0

2021-10-27 21:47:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ふうん。シルバーキーね」サロウは髪をいじった。彼は全周囲にニンジャ第六感の触手を伸ばし、感覚を掴もうとした。頭上の黄金立方体には奇妙な傘がかかっているように感じられる。風と海のにおい、肌に触れる砂の感触から、彼はこの世界の定義を察した。ここはコトダマ空間でも物理世界でもない。 1

2021-10-27 21:51:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ここはあンたの庭で……だけど、あンただけの庭じゃない。フフッ」サロウは警戒して数歩下がり、片膝をついて、足元の砂を掬った。微かな01ノイズがこぼれた。「妙だぜ、妙だ。ここは半分、物理の土地と重なってやがるよな。おかしな事してるんだな。変な感じだ」「ああ、妙な事してる自覚はある」 2

2021-10-27 21:55:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シルバーキーは頷いた。そして促した。「もう少し教えてやってもいいが、アイサツを返したらどうだ。サロウ=サン」「その通り。名前が見えるなら、省略したってイイじゃないか」「……」「しょうがねえ。俺は、サロウだ」サロウは笑い、アイサツを返した。「ここ、地球のどこだよ?」「アラスカさ」 3

2021-10-27 21:58:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ネオサイタマでもないワケね。便利なのか何なのか……いや……」サロウは目を細めてシルバーキーを見定めた。「……あンた、事情があるンだな。成る程、お誂え向きかもしれない。今の俺みたいに、物理肉体がどうにかなっちまって……フフフ……急拵えしたんだな……」「察しがいいな。そんな所だ」 4

2021-10-27 22:01:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「妙な感じの理由がわかったよ。ウケるぜ。これも巡り合わせッてやつかな」サロウはシルバーキーを指差した。「あンた俺と同じタイプだ。ニューロン全て、細胞全てが今、ビンビンに感じてるぜ。ユメミル・ジツ使いだよな。だろ」「ああ、そうだ」「最ッ高だな!丸呑みにして、学ばせてもらうぜ!」 5

2021-10-27 22:06:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シルバーキーは銀のローブを翻し、両手をひろげて言った。「……じゃあ、どうする?」「こう、だよ!」サロウは叫んだ。色彩の渦が生じ、シルバーキーを内側から破裂させた。飛び散りながら、シルバーキーだった姿は銀の砂に、そして輝く煙に、01のノイズに変わって、消えた! 6

2021-10-27 22:10:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」サロウは自身を色彩の渦に溶かし、四方八方に飛翔した。サロウの色彩は銀の浜辺に混沌たる痕跡を生み出していく。すると砂浜のあちらこちらから何人ものシルバーキーが身をもたげ、銀のナパームめいて爆発した!「イヤーッ!」SPLAASH!サロウの色彩がかき消されてゆく! 7

2021-10-27 22:13:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

万色は上空で集積し、サロウの姿となってのけぞり笑った。「妙だ!妙な感じだぜ!ハハハハハ……!」「イヤーッ!」斜め上方、黄金立方体の光のフレアーからシルバーキーが溶け出し、サロウの顔面を掴んだ。振り払う時間も与えず、彼はサロウを直下の砂に叩きつけた!「イヤーッ!」「グワーッ!」 8

2021-10-27 22:17:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

SPLAAAASH!幾筋もの色彩間欠泉が銀の丘の表面を破って噴き上がり、サロウに変わった。真のサロウはそのひとつであり、他はデコイだ。だがシルバーキーの分身体は全てのサロウに向かってそれぞれ飛翔し、体当たりとともに爆発した。「「「「イヤーッ!」」」」SPLAAAASH! 9

2021-10-27 22:19:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ゲホゲホッ!」砂の中からサロウが身を起こし、上空の色彩爆発の痕跡を見上げて咳き込んだ。「参ったなァ、センパイ。俺よりジツの経験長そうじゃん」「ああ、年だけは重ねてンだ、こちとらな」シルバーキーはサロウを見下ろし、手を差し出した。「立てるか?ニュービー」 10

2021-10-27 22:23:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「フフッ……」サロウは笑い、シルバーキーの手を取り、立ち上がった。そのままシルバーキーを万色に染めあげた。シルバーキーは弾け跳んだ。「年だけッてのは言い得て妙だな。ユメミル・ジツは大当たりの無限のパワーだろ。こんなくだらねえ砂浜に閉じ込められて、どんなヘタを打ったんだ?」 11

2021-10-27 22:25:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「それを言われると少し苦しいところだ」シルバーキーは丘の上で腕を組んでいた。「モデスト(まあまあ)で充足するッてのは、どれだけ難しい事なんだろうな」「モデスト?充足?」サロウは遠いシルバーキーを見て目を丸くした。「プッ……ハハハハハハハハ!」手を叩いて笑う。「頭がおかしい!」 12

2021-10-27 22:29:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

サロウの周囲にシルバーキーの輝く分身体が次々に出現し、攻撃をしかける。サロウはそれを打ち払い、蹴り払い、引き裂きながら、マイでも舞うように、砂の丘を上ってゆく。「マジでくだらないぜ、シルバーキー=サン。このつまらない浜辺はあンたの望みか?肉もなけりゃバカもいない。平坦過ぎるよ」13

2021-10-27 22:33:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シルバーキーは蹲踞し、頬杖をついた。「お前はそう考えるンだろうな。俺は……そうだな」少し考えた。「すぐ無茶になっちまうンだ。このチカラ、一度慣性がつくとすぐに止められない勢いがついちまう。思えば、キョートで鍼灸師やってた頃は穏やかだった。あの頃の振り子の振り幅に戻る事はない」 14

2021-10-27 22:38:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「しょうもないな」サロウは丘を登りきり、シルバーキーと再び対峙した。「あンた、俺と同じタイプのニンジャだからさ、せっかくだし、出来るだけ俺の知らない力を引きずり出して、もっともっとレベルアップしてやろうと思ったんだけどなあ。たいして俺の成長の足しにならないかも、あンた」 15

2021-10-27 22:44:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そうだろうよ」シルバーキーは流れてきた鼻血を拭った。彼の背後に異常な色彩が渦巻き始めた。既にサロウの攻撃は再開されているのだ。「サロウ=サン。俺はお前が恐ろしい。正直、ぞっとするぜ」シルバーキーの眼差しは険しい。発した言葉どおりの感情を顔にあらわしていた。サロウは首を傾げた。16

2021-10-27 22:49:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「俺はマスラダ=サンを助けに来た」「やっぱりか。いいさ、アイツの事は」サロウは口の端を歪めた。「あンたをヤれば、物理世界に留まる手掛かりも脳に入ってくるッてわかる。楽しみだ」「俺はマスラダ=サンを助けに来た。だけどな」シルバーキーは目を見開いた。「お前は俺がケリをつける」 17

2021-10-27 22:55:19