ヴェルヴェット・ソニック #9

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハイ早速無理だ!」ギュルルル!万色の渦がシルバーキーを取り込み、押し潰した。「イヤーッ!」そしてサロウは跳んだ。彼はやや離れた地点に脱出したシルバーキーの位置を予測し、そこ目掛けて跳んでいた。再出現したシルバーキーの顔面を掴む!「食らっとけよ!イヤーッ!」SPLAAAASH! 18

2021-10-27 22:57:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

直下の砂にシルバーキーを叩きつける!爆発した砂がシルバーキーの姿を取る、サロウは既にそこ目掛けて動いていた。両こめかみを挟むように押さえ、万色の力で侵食をかける!「イヤーッ!」「イヤーッ!」SPLAAASH!シルバーキーは爆散、タタミ2枚先の地点に肉体を再形成する!サロウは動いている!19

2021-10-27 23:01:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」SPLAAAASH!サロウは飛ぶようなダッシュから薙ぎ払い、再形成されたシルバーキーを破壊した。サロウはそのまま加速し、石段の上に着地したシルバーキーを蹴り壊した。「イヤーッ!」さらに上!だがシルバーキーの反撃機会を与えず、サロウは飛びつき、引き裂く!SPLAAAASH! 20

2021-10-27 23:03:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハアーッ、ハアーッ!」庵の前に三点着地したシルバーキーを、跳び上がったサロウは空中から見下ろした。シルバーキーはこめかみに指を当て、肩で息をしている。爆発四散させようとも新たな肉体が生じる。だが消耗する精神の底は可視だ。サロウは歯を剥き出して笑い、襲いかかった。「イヤーッ!」21

2021-10-27 23:06:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

SPLAAAASH!サロウはシルバーキーを叩き潰し、破壊した。(グワーッ!)悲鳴は庵の中からだった。「キャベツの皮を剥くのと同じでさ……」サロウは鼻血を拭った。「終わり際はあっという間に削れるぜ。……まだ立っていられるか?シルバーキー=サン」彼は庵のショウジ戸を引き開けた!ターン! 22

2021-10-27 23:09:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「バカな……行き止まりとは……!」サロウが足を踏み入れたのは、タタミ敷きの四角い小部屋であった。それはシュギ・ジキと呼ばれるパターンで、十二枚のタタミから構成されている。四方は壁であり、それぞれには雲、バンブー、灯火、フジサンの見事な墨絵が描かれていた。 23

2021-10-27 23:13:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

もはや先へ進むためのフスマは見当たらない。では、シルバーキーはどこへ消えたのか。「姿を現すがいい、シルバーキー=サン……!」この謎を解くべく、サロウは右手に万色遷移の力を込め、物音ひとつ立てぬ精緻な足運びで、部屋の中心部へと進んでいった。額の汗を右手の甲で拭った。 24

2021-10-27 23:17:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

サロウはついに部屋の中央へと達する。……まさにその時であった。シルバーキーが後方のフジサンの絵から染み出すように姿を現したのは!「イヤーッ!」「グワーッ!」シルバーキーはサロウの背後へと忍び寄り、斜めに斬りつけるようなカラテチョップを浴びせた! 25

2021-10-27 23:21:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

サロウは体勢を立て直すと、背後の敵めがけて万色遷移の自我侵食を浴びせた!「イヤーッ!」「グワーッ!」シルバーキーは砕け散った。手応えあり!殺せてはいない。だが、これだけ破壊と再生を繰り返せば、到底無傷では居られない。カイシャクの時は近づいてきている。次はどこから来る!? 26

2021-10-27 23:26:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヌウーッ……!」サロウは四方の壁を順に睨みつけた。雲、バンブー、灯火、フジサン……踏み入った筈の入り口、即ち出口も掻き消えている。サロウはハッとなった。この違和感!この場所自体が、入れ子構造じみたシルバーキーのさらなる内的世界なのだ!「クソッ!死にかけてやがるくせに!」 27

2021-10-27 23:30:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

サロウはオブジェクトを確認する。雲よし!バンブーよし!灯火よし!フジサンよし!「ナメるな!追い詰められてるのは、あンたなんだよ、シルバーキー=サン!」サロウの見開いた目は七色遷移の殺意に輝いた。……まさにその時であった。シルバーキーが雲の絵から染み出すように姿を現したのは! 28

2021-10-27 23:35:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「グワーッ!」悲鳴をあげたのはアンブッシュを仕掛けたシルバーキーの方だった。サロウは襲いかかるシルバーキーに瞬時に向き直り、その胴体を七色遷移のチョップ手で貫いていた!「アバッ……!」シルバーキーは01ノイズ混じりの血を吐いた。サロウは彼の背中を叩いた。 29

2021-10-27 23:40:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「爆発四散するのが……鈍くなってきたな」「……!」01ノイズを散らしながら薄れてゆくシルバーキーに、なおもサロウは語りかけた。「あと何回チャレンジ出来るだろうな?全部ハネ返してやる。お前、遅いンだよ。お前の自我、存在、まるごと俺が喰らってやるから……」「「「イヤーッ!」」」 30

2021-10-27 23:43:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

0.01ニューロン秒後!バンブー、灯火、フジサンの墨絵から染み出すように、シルバーキーが三人同時に出現、同時に襲いかかったのである!それら分身体の輪郭はおぼろであり、手酷く傷ついたシルバーキーは一様に01ノイズ混じりの血を流していた。サロウは色の渦と化し、シュギ・ジキの中で溢れた! 31

2021-10-27 23:48:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イイイイイヤアアアーッ!」KRAAAAAASH!サロウの自我は質量を伴って爆発し、四方の壁、天井は破裂し、惨たらしく吹き飛んだ!「俺の勝ちだ!」溢れた色彩は収束し、サロウの姿に戻った。吹き飛ばされた庵の残骸に立ち、サロウは吠えた。……そして、目の前に立つ小柄な娘を見た。「……お前」32

2021-10-27 23:53:08
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サロウは瞬きした。サツガイ?違う。だが……「サツガイ……?」(((すまねえ))) 声が響いた。ゾーイは歯を食いしばり、目に涙を浮かべ、突き出した手に力を込めていた。(((すまねえ。俺がお前を守らなきゃならねえのに))) 0100001110……サロウは反射的に頭上のキンカク・テンプルを見た。眩しい。 33

2021-10-27 23:56:14
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01001「イヤーッ!」キンカク・テンプルの冷たい光の眩しさを背に、シルバーキーは肉体を再形成した。娘の具現化の力を手掛かりに、損傷した己を修復したシルバーキーは、隕石めいた決断的速度でサロウのもとへ落下した!「グワーッ!」貫通!着地!「アアアアアアーッ!?」サロウは狂い吠える! 34

2021-10-28 00:01:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ゾーイ!ゾーイ!……ゾーイ!」シルバーキーはズタズタに貫かれたサロウを背に、よろめきながら、ゾーイのもとへ駆け寄った。そして強く抱きしめた。「すまねえ……俺が……俺、お前にこんな真似までさせちまった……!」「大丈夫」ゾーイは声を絞り出すように言った。「パーティープレイだよね」35

2021-10-28 00:05:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

二人は背後を振り向き、ザンシンした。サロウは彼らの目の前で、繊維をほつれさせるようにして崩れてゆく。コトダマ空間とも現世ともつかぬこのシルバーキーのフーリンカザンの世界で、塵芥に分解する最期を迎えるのだ。シルバーキーはこめかみに指を当て、サロウの自我を完全破壊にかかった。 36

2021-10-28 00:10:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((嘘だ)))サロウは捻れながら悲鳴をあげた。(((俺は)))黄金立方体に手をかざす。(((俺はサロウ。ユメミル・ジツのマスターで……ダーリンの恋人……唯一無二の)))『0100期待はずれのニボシ0001』三つの星が真昼の空に瞬いた。それは瞳だった。オモイ・ニンジャ。散りゆくサロウを侮蔑と共に見る。 37

2021-10-28 00:14:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((嘘だ)))『01001愛を01001返しな01001ニボシ!01001』(((グワーッ!)))サロウは糸屑めいて、その自我の核に融合していたものを剥がされ、オモイ・ニンジャのもとへ引きずり上げられてゆく。シルバーキーは力を込める。オモイ・ニンジャに干渉できない!(((ヤメテ!)))『期待外れの雑魚狩人!』38

2021-10-28 00:18:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シルバーキーは怯んだ。オモイ・ニンジャをひとたび認識すると、その存在は浜辺の空よりも巨大だった。人格は先端部に過ぎず、もっと巨大な名状し難い無意識が紐付いている。「……そうかよ」サロウの自我の残滓が呟いた。「キミにとって俺はそんなものか。やっぱダメだな。超自然の奴に惚れるのは」39

2021-10-28 00:23:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『00101』オモイ・ニンジャの三つの瞳がグルグルと回転した。天に伸びる謎めいた蔦めいて、サロウの存在はシルバーキーの世界から引き上げられはじめた。放射状の風が庵の残骸と銀の砂浜を散らし、身構えるシルバーキーとゾーイの衣をはためかせた。 40

2021-10-28 00:31:30