○○ before ××は「××する前に○○する」とは日本語化しない

特になし。
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砂手紙 @sandletter1

日本語と英語の特長(違い)は、語の順番にあります。たとえば「I love you.」と「ぼくは君が好きだ」。この「love」「好き」の順番が違うため、英語をそのまま日本語化すると、どうも文章の頭が重たく(情報量が多く)なりがちです。

2021-12-07 21:37:37
砂手紙 @sandletter1

また日本語だと「ぼくは君が」だけはわかるけど、どんな感情を持っているかわからないし(ぼくは君が嫌いだ、かもしれない)、英語だと「I love」のあと、何を好きなのかはわからない(犬が好きだ、かもしれない)。

2021-12-07 21:37:47
砂手紙 @sandletter1

英語の日本語化にはいろいろ工夫はできます。「It's difficult」だったら「どうもそれは…」、「I suppose」だったら「思うんだけど」と、とりあえずそのあとどう続くかを想定できるような語を前のほうに置いてみる。もちろん設定・文脈で「ぼくは君が」のあとになにも言わなくてもわかることもある。

2021-12-07 21:38:12
砂手紙 @sandletter1

で、今日は「before」についてです。まず、以下のテキスト。 「I brush my teeth before breakfast.」 これは通常「朝食の前に歯を磨く」と日本語化されているテキストです(朝食後に歯を磨く人もいるでしょうけど、とりあえず)。

2021-12-07 21:38:49
砂手紙 @sandletter1

さて、ここでこの日本語、違和感を感じませんか。 朝食の前に歯を磨く。 朝食の前に歯を磨く。 朝食の前に歯を磨く。 どこか変だと思いますよね。なぜなら「歯を磨く」と「朝食」の順番が、英語と日本語では違ってるから。

2021-12-07 21:39:26
砂手紙 @sandletter1

だから、「I brush my teeth before breakfast.」を日本語にする場合はこうするんです。 「歯を磨いて朝食にする」 つまり、「○○ before ××」は「○○して××」の形で日本語化する。

2021-12-07 21:39:56
砂手紙 @sandletter1

SF作家アルフレッド・ベスターの長編『虎よ、虎よ!』(中田耕治・訳)の翻訳では、こうなっています。「ジョウントする前に躊躇してはいけませんよ(don't hesitate before jaunting)」(ジョウントというのは、テレポートみたいな空間移動の超能力)。

2021-12-07 21:40:33
砂手紙 @sandletter1

最近の翻訳だと、そんな感じには日本語化していないはずです。「迷わないでジョウントすること」と、英語の順番通りに日本語化すると思います。もちろん日本語に違和感を持たせたいときには「見るまえに跳べ」(大江健三郎)みたいにすることもあります。

2021-12-07 21:40:57