一方さんがモバイルで野郎の友人と慣れないやり取りをしていたら麦のんに絡まれたりなんかしちゃったりするネタリレーＳＳ

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普段何を考えているのかわからない不思議系少女・滝壺の静かな鬼畜っぷりを存分に堪能する絹旗とは対照的に、麦野はいそいそと携帯の画面を見るなり噴出した。麦野「ちょ、ま、待って。これはないｗｗｗこれはｗｗｗｗｗないわｗｗｗｗｗｗ」絹旗「えっ、そんな笑うくら――ぶっ！」 #A_MN

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麦野と絹旗はひたすらに腹を抱えて笑っている。滝壺は「第一位は男。性別不明ってデータバンクにあったけど、男で間違いはないよね。浜面はさすがに男色の気はないはず」けどさあ、と涙の滲む目元を指先で払いながら麦野が言った。麦野「このメール、正直ウチらの誰よりも可愛くない？」 #A_MN

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絹旗「……確かに。超可愛いです。絵文字どころかデコメだし、ていうかさりげなくひらがなが多いメールですね」滝壺「ひらがななら私だって負けてないよ」麦野「いや、誰もアンタに張り合えって言ってないから」無表情ながらも瞳に闘志を燃やし始めた滝壺を制し、麦野はため息を吐いた。 #A_MN

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麦野（……、どうしたらこんな可愛いメールになんだよクソが）麦野の胸中は複雑である。自覚しきれていない恋心とでもいうべきか。浜面の気を引きたいという思いはあるのだが、どうも空回ってしまう彼女にとって、「可愛いメール」というアイテムは素晴らしいものに思えた。 #A_MN

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とはいえ、第一位に会う予定もなければ会いたいとも思わない。しかし、可愛いメールを浜面に送りたい。滝壺に見つかってしまうという結末は見えているが、少しでも何かをしたいのだ。――そして、話は現在へともどる。つまり。麦野からしてみれば、ここで会ったが百年目、なのである。 #A_MN

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オマエの言い分は分かった。そう言って黙りこんでしまった、向いのソファに座る白い男を前に、麦野はとりあえずセイロンティーを傾けた。ここにはパシリはいない為、ドリンクバーへは行けない。「…分かったんなら、何か言えよ」　#A_MN

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そしてそんな二人の間には、携帯電話が一台。暗部から配布されるものは得てしてPDA型が多い事から鑑みるに、これはプライベート専用のものなのだろう。矢印型のストラップ以外には、大して特徴も無い。それはいい。問題は、その無機質な携帯の画面で踊っている、眩いばかりの世界だ。　　#A_MN

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「何この色彩？ 何この文末にやたらついてくる「↑」マーク？ ハートこそ無いものの、♪マークとか☆とかやたらめったら動かしてんじゃねぇっつうの！ あまつさえ、デコメで可愛く綺麗に飾ってんじゃねぇよ！ 色つけてんじゃねぇよ！ しかも何気にセンス良いのが腹立つんだけど！？」　#A_MN

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その携帯をガッと掴み取り、スクロールさせながらツッコミを入れていると、思わず段々とヒートアップしていく。しかし目の前の男はと言えば、机に乗り出し気味になった麦野に対し「近けェそれ以上寄ンな」と軽く言い捨てただけで、それ以上の反応は見せない。　#A_MN

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だが切っ掛けにはなったのか、ようやくその薄い口が開いた。「…あのよォ、」「あぁ？」「…あまり、聞きたくはねェンだが…」淡々とした声音。しかしそこには、どこかしら焦燥のような色が篭っているように聞こえ、麦野は思わず大人しく身体を引いた。　#A_MN

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少しの間、沈黙が落ちる。けれどやがて、ファミレスのソファに深く腰掛けていた男が、それよりももっと深く沈んだ声で、呻くように言葉を続けた。　#A_MN

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一方「ひょっとして、そォいうの、…男はしねェのか」　麦野「……」　#A_MN

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麦野の言葉が「し、……ないことも……ない」という、非常にあいまいな回答になってしまったのは仕方のないことだった。彼女は世間一般で男はデコメを一切使わない、それが当たり前だ、と言い切れるほどの広い交友関係を持っていなかったのである。 #A_MN

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白い男は珍しく、歯切れの悪い調子でぼそぼそと続けた。「俺は、あー……アレだ、うン、……コレが普通だと思っていたンだよ」ぽかんと、麦野が綺麗に色づいたその唇を無意識に開いてしまった瞬間、彼らの間にあったもの――すなわち一方通行の携帯電話が、静かにメールの受信を告げた。 #A_MN

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一方通行の非難がましい視線に頓着することなく、麦野はメールの受信ボックスを漁る。つーか誰からメールきてんだコイツ、と訝しみながらメールを見た彼女は、絶句した。『今晩はキーマカレーだよぉ❤あなたのだぁーいすきな肉もいっぱーい入れるからねぇ☆ あなたの(笑)番外個体より』 #A_MN

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麦野「えーっと……あれー？」一方「……あンのクソガキが」麦野「えっ、これは？なに？キラッキラしてるんだけど？は？彼女？アンタ彼女いたの？はあああ？」一方「ちげェ。いねェ。ソイツはただの同居人のマセガ――」麦野「あなた？あなたってなに？これが普通？はあああァァア？？」 #A_MN

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一方「だからちげェ。つーかそれ明らかに嫌がらせじゃねェか、見てわかるレベルの」麦野「ふうん……へえー……まあそりゃあこんなメール日常的に見てたらあーんなメールにもなるよねえ……」一方「オイ話聞けよ」麦野「キーマカレーねえ……やべっ腹減ってきた」一方「……、」 #A_MN

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麦野「……、……」一方（肉多めにしとけよクソガキ(｀・ω・´)、っと。返信）ｶﾁｶﾁ 麦野「……、ねえ」一方「あ？」麦野「あ、アンタさあ」一方「ンだよ」麦野「暇？」一方「メールを返信する余裕もねェくらい忙しいらしい第四位様に教える筋合いはねェな」麦野「……、」 #A_MN

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落ち着かない様子でもじもじしている麦野と、メールの返信が終わって静かにコーヒーを飲んでいる一方通行の間には深い溝があった。纏う空気の温度まで見て取れるほどである。絹旗がここにいれば、普段らしからぬ麦野の態度を揶揄していただろう。「……ちょ、ちょっと」 #A_MN

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一方「だから何だよ」麦野「ふ、普通のメール。知りたくない？」一方「……別に」麦野「アンタのメールは異常だよ。社会に出たら後悔するわ」一方「イヤ、オマエどこの過保護な親？」麦野「普通っていうのを知る必要があると思うんだけど」一方「すンませーン、何かの勧誘ですかァー？」 #A_MN

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麦野「だから！」ﾊﾞﾝｯ 一方「オイ、コーヒーこぼれる」麦野「こ・の、私が手取り足取りメール教えてやるっつってんだよ！」一方「イヤ頼ンでねェし」麦野「いいから！携帯！」一方「えェー……」麦野（ふ、ふはは……あっはっは！計画通り！これでさりげなくメールの技術を盗める！） #A_MN

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そしてその押しに逆らう事が面倒になり、携帯を渡せば「まずは見本がいるわよねつまりアレよ普通の男から来たメール、それが必要な訳、だから浜面から来たメールを今から出すけど、べっ、別に他に意図なんてないんだからね！勘違いすんじゃねぇぞ、ばかっ！」と一人で忙しなく呟き始める。　#A_MN

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当然つっこむのも面倒なので携帯ごと目の前の女を放置すると、一方通行は再度コーヒー口に含んだ。ブラック特有の香ばしさが口腔に広がり、それを嚥下すれば、連動するようにじんわりと胸中にも苦味が広がる気がした。気のせいには違いない。けれど今は、そう感じてしまう様な気分だった。　#A_MN

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この感覚はそう、確か――メールをしていて、初めて一方通行の胸に「何かおかしくね？」といったもやっと感が宿ったあの時と、よく似ていた。　#A_MN

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それは、上条とのメールを数回した時点で起こった。上条からの「お前、明日何してんの？ 暇？」といったメールに「暇（暇そうな絵文字）じゃねェけど、用件（装飾系絵文字）だけは聞いてやる。何の用だ（？が踊る絵文字）」と返し、　#A_MN