天才・成田助教授の「格差を恐れず成長させろ」発言、本当に実現するなら? 21世紀の「出島」構想! ――特区/道州制、アルゴリズム、リバタリアン
じゃあたとえば、政府がマッチングサイトを作って、給付金を自動で分配します、としたらどうか? 一定の予算額を、年齢とか、子供がいるかどうかとか、給付条件によって分配するシステム。
2022-01-19 23:03:07そういうアルゴリズムによるマッチングやフィルタリングで構成された公共システムを、成田氏は「出島網」とか「出島社会」と表現しているようだ。
2022-01-19 23:04:18そしてそのシステムは、給付金の話だけでなく、たとえば「学校選択」、さらに「教育バウチャー」や「飛び級」などの新しいタイプの教育政策にも応用できる。
2022-01-19 23:05:48画一的な教育を自由化することは、格差や分断を広げる方向に働きそうだが、成長の原動力にもなるだろう。現代では、成功したベンチャー企業の創業者を産み出す方がはるかに大きく、そこから税金を取ってBIの原資にした方が社会が回ると。
2022-01-19 23:07:33さて、説明に尺を取ってしまったが、成田氏の意見についてはこうだ。教育や社会保障などの公共政策に、アルゴリズムによるフィルタリングを導入することで、たとえ格差や分断を産んでも、成長の原動力を作り出そうと。
2022-01-19 23:09:48大筋の方向性としては、好むと好まざると、そういう社会になるだろう、という予感はする。つまり、中国がそうなっているように、「AIを駆使したソフトな管理社会」になる。
2022-01-19 23:11:20しかし、大枠としては賛成できるが、「ボトムアップ」や「フィードバック」など、個人が選択できる余地を残さないで、トップダウンでやってしまうと、ディストピアになる可能性もある、ということはやはり指摘しておきたい。
2022-01-19 23:12:34前にも言ったけど、たとえば、強制的なお見合いとか、優生思想的な遺伝子の選択とか、お上から一方的に押し付けるタイプの仕組みだと、「出島」は「島流し」の島になってしまう。
2022-01-19 23:13:47もう一度前半の話に戻ると、出島を「島流しの島」にしたいのではなく、「ノアの箱舟」または「パンドラの箱」のように、希望を持てる場所にしたいと考えている。
2022-01-19 23:15:21より具体的には、知能が高い(がADHDやアスペルガーなどの発達障害を持った)「ギフテッド」など、現状の教育で抑圧されている人材の、受け入れ場所にしたい。島流しというよりむしろ、「教育難民」の受け入れみたいなイメージ。
2022-01-19 23:17:49「仮想通貨のマイニング」や「資源のリサイクル」がよく言われるが、人材のマイニング(発掘)やリサイクル(再登用)の方が、社会にとってより重要ではないか?
2022-01-19 23:19:12とくに、日本のような「新卒一括採用」で「やりなおしの効かない社会」には、そういうオルタナティブな場所が必要だろう。たとえ(最初は)、トップ数%、あるいは0.数%の受け入れであったとしても。
2022-01-19 23:20:33よく、日本の「長期停滞理由」のひとつに、「(先端)技術の停滞」が挙げられるが、さらにその原因に、「教育の停滞」があるだろう。数十年前に比べて、技術が一変したのに、教育は変わっていない。それでは追いつけない。
2022-01-19 23:22:50ところで、最後に補足しておきたいのは、成田氏も言及する「ピーター・ティール」についてだ。彼は「ペイパル」の創業者で、かつリバタリアンで、海上都市の計画に資金協力していたらしい。だから今回言及した。
2022-01-19 23:25:28で、成田氏の説明だと、ピーター・ティールは、「人類から、自分の島を引きはがす」という、リバタリアン的思想の実現のために、人工島プロジェクトに協力したらしい。
2022-01-19 23:26:41私の場合は、リバタリアン的思想で、「出島」を言っているのではない。かりに今回の出島特区が実現したとして、税金を投入するのは、社会的「投資」であって、社会に還元すべきだ。
2022-01-19 23:27:52ここで、同じ人工島を舞台にしても、ピーター・ティールと、私の立場の違いが明確になる。ピーター・ティールの場合、島を成功者だけの「独立国」にするのが理想だが、私の場合はそうではない。
2022-01-19 23:29:12特区や道州が国の一部であるように、緩やかであっても、連帯を残す必要がある。「分断」があれば「連帯」もある。他と分断したままでいい、というリバタリアンとの違いがそこにある。
2022-01-19 23:31:05wired.jp/2021/09/28/gle… 天才経済学者に訊く、コモンズと合意形成にまつわる10の質問(wired 2021.09)
2022-01-19 23:32:13経済学者・グレン・ワイル(イェール大)「ピーター・ティールをはじめとする新反動主義者の考えは、完全に間違っていると思います。自由と民主主義は、密接に結びついているんです。わたしたちの生活の大部分を決定するのは、より大きなコミュニティのルール、規範、アルゴリズム、そして慣習です」
2022-01-19 23:34:31経済学者・グレン・ワイル(イェール大)「彼(ティール)が提唱する「コモンズから奪う自由」とは、暴君が他人を抑圧し、権力を掌握する自由です。それは市民が自ら所属したいコミュニティを選び、その統治に平等に参加できる自由ではないのです」(上記事より引用)
2022-01-19 23:35:25私も、ピーター・ティール氏よりも、グレン・ワイル氏の主張に賛成する。「コモンズから奪う」と、自由の基盤自体を脅かすことになる。このコモンズを前提にするかどうかが、リバタリアンと(ネオ)リベラルの差。
2022-01-19 23:37:23