「真説・口裂け女VSカシマさん」〜カシマさんと口裂け女、歴史の闇に消えた、両雄相撃つ激突を探る〜

カシマさんと口裂け女は現実でも遭遇し闘っていました。その痕跡を過去の記録から探りますー
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青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

「真説・口裂け女VSカシマさん」 1972年から語り継がれ半世紀を迎える《カシマさん》の話と、1979年に突如として大流行し日本全土を駆け巡った《口裂け女》の話。都市伝説界の2大巨頭は、かつて巡り合っていた!歴史に隠された両雄相撃つ激突の痕跡を探る「カシマさん研究」堂々の完結編!

2022-01-21 16:37:38
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

舞台は口裂け女が大流行中の1979年。歴史の影で2つの都市伝説が急接近する。何が起こったのか?それにはまず、1972年に登場したカシマさんの話を知る事が必要です。「カシマさん研究本論」【togetter.com/li/1821093】で読み解いたように、カシマさんは「不幸の手紙」をベースにした口頭伝承でした。

2022-01-21 16:37:38
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

ただし、より効果的に口承に適応するように魔改造された、語られる不幸の手紙であり、その特徴は、恐怖の源泉はその構造にあり、語りの内容は何でもよいという、まるでクラインのツボのような器状をしている点です。そのため語り手の目からは、なぜ怖いのか分からないがなぜか怖い話、に感じられます。

2022-01-21 16:37:39
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

にもかかわらず語り手は、怖さの理由を話の内容に求め、怖さにふさわしい内容にしようと、話にどんどん尾ひれを付けていきます。これがカシマさんにバリエーションが多い理由です。時には、語り手が忌わしい、禍々しいと感じるエピソードを丸ごと外部から取り入れ、怖さに釣り合わせようとしました。

2022-01-21 16:37:39
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

ひとつの例が、「口裂け女異聞[三]」【togetter.com/li/1829473】で考えた『はだしのゲン』の一場面をほぼそのまま丸ごと取り込んだ、1975年頃に発生したと思われるカシマさんの事例です。このようにカシマさん伝承は構造だけの存在で内容には外部の怪談や恐ろしけなエピソードを貪欲に取り込みます

2022-01-21 16:37:39
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

では次に、1979年の状況を見てみます。カシマさんの話がジワジワと広がっているところに、あっという間に爆発的に大流行したのが口裂け女の話でした。その伝播速度は「口裂け女異聞[二]」【togetter.com/li/1827612】で見たように100mを6〜12秒の速さだそうです。当然両者の伝播範囲は重なります。

2022-01-21 16:37:40
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

気になるのは、やはりカシマさんの話が後発の口裂け女の話にどう反応したのかという点です。端的にいうと先の「原爆少女」のように、あの口裂け女の話も自らの「内容」として取り込もうとしたのだろうかという疑問です。しかしその当時、カシマさんの話の認知度は低く、調査研究された筈もありません。

2022-01-21 16:37:40
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

ところが一方、口裂け女の話は社会現象となって週刊誌などにも度々取り上げられ当時の貴重な事例の報告も多数残されています。しかしこれらはあくまで口裂け女の流行を伝える記事のため「口裂け女異聞[一]」【togetter.com/li/1825545】で探したカシマレイコどころかカシマのカの字も見当たりません

2022-01-21 16:37:40
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

当時の記録が克明に残されている稀有な「口裂け女」伝承ですが、やはりカシマさんと口裂け女が接触した証拠は残されていないのでしょうか。ここで「古今東西カシマ探し」の陥穽から逃れ、別の角度から当時の記事を再度読んで見ると、以下のような事例が複数の記事から見い出す事ができます。 pic.twitter.com/L9ql1RPfqg

2022-01-21 16:37:42
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青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

口裂け女が急に「不幸(幸福)の手紙」化するので記者は困惑気味ですが、「カシマさん」伝承の存在を知り、それが不幸の手紙の口頭伝承化した物であり、その特性が他の怪異を自らの「内容」として取り込むという事を知ると、口裂け女と不幸の手紙とのミッシングリンクが「カシマさん」である事は明白です

2022-01-21 16:37:43
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

やはり「カシマさん」と「口裂け女」は79年に接近遭遇していました。そして「口裂け女」を内容として取り込んだ「カシマさん」が発生していたと思われます。口裂け女現象を報告する当時の記事に紛れて、長年見落とされて来ましたが、これは「口裂け女型カシマさん」と呼べるものではないかと考えます。

2022-01-21 16:37:43
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

その時期その地域で怖がられている怪異を内容として取り込む「カシマさん」と、初期は怪人物出没情報だったが拡散期を迎え「口裂け女異聞[四]」【togetter.com/li/1830626】で見たように昔話や神話などの説話的要素を取り入れていく「口裂け女」が、この時点で出会うのは必然だったように思われます

2022-01-21 16:37:44
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

《名前だけしかない怪異》と《名前だけがない怪異》が、相手を自己に取り込もうと互いに喰らいあいました。一旦は内容化に成功したかに見えたカシマさんも、流行の終焉という時の流れの巨大な渦に巻き込まれ、口裂け女もろともに消滅してしまいました。そして「口裂け女型カシマさん」は幻になりました

2022-01-21 16:37:44
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

歴史の闇に消えた「口裂け女型カシマさん」が残した痕跡は、かつてはその「語り」の一部であったと思われる「口裂け女の本名はカシマレイコ」という未確認情報だけです。すなわち、全ての口裂け女の本名がカシマレイコではないのです。「口裂け女型カシマさん」の口裂け女だけが、カシマレイコなのです

2022-01-21 16:37:44
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

「カシマさん」に取り込まれた「口裂け女」いわば「口裂け女型カシマさん」今度はカシマさんの事例群から。以下の事例は正に典型的な「口裂け女型カシマさん」です。1979年には同じような話型が全国で同時多発的に発生して、口裂け女の流行の終焉に巻き込まれて、ほぼすべて消滅したと思われます。 pic.twitter.com/MOPdrNgOMx

2022-01-25 20:36:23
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青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

この中の「出身地は?」→「鹿島」の問答が、例えば「私の名前は?」→「カシマレイコ」となっている事例が、全国で多発した中にあるのではないかと考えます。「大工と鬼六」式の本名を言われると退散する昔話のマナーに則っていますし、そのような話型が発生していた可能性はかなり高いと思います。

2022-01-25 20:36:24
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

ここに今更ながら注目するのは、巷に広く流布されている割にはその出自や由来や文脈が不明で、もっといえばその存在自体も確認されていない「口裂け女の本名はカシマレイコ」という語られ方の、シッポの先だけでも捕まえる事ができるのではないかと期待しているからに他なりません。

2022-01-25 21:50:50
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

「口裂け女の本名はカシマレイコ」が、口裂け女型カシマさんを出自とし、カシマさんが口裂け女を取り込んだことを由来とし、話中の問答という文脈で語られていたものの断片だとしたら、「本名がカシマレイコなのだから口裂け女はカシマさんが変化したものなのだ」という物言いに反駁可能かも知れない。

2022-01-26 18:08:32
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

「口裂け女の本名がカシマレイコだと語られる」だから「口裂け女はカシマさんから変化したものだ」という物言いは、都市伝説です。そもそも前段と後段のあいだには論理的関係性はありません。これは「口裂け女異聞[二]【togetter.com/li/1827612】と同じく、都市伝説の解説に擬態した都市伝説です。

2022-01-26 18:28:36
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

毎回見ているわけでもない番組で「呼び水」という話を聞いて、色々な事が動き出しました。詳細は【togetter.com/li/1821102】で。思えば呼び水で呼び出されたのはカシマさんだけでなく青山葵もだったのかも知れません。「あの女と一緒にしないで《わたしの話》をしてよ」というあの人の声が聞こえます

2022-01-26 22:19:56
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

吉田悠軌さんの「現代怪談考」を精読し考えている事。 「カシマさん→原爆少女→整形オバケ→口裂け女」と変遷したとする仮説は再検討が必要なのでは? この説はカシマさん事例群から「わたしきれい?」要素を持つ事例を抽出し、時系列で単線的に並べたもの 「わたしきれい?」の系譜=変遷の系譜

2022-02-12 17:45:18
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

問題点は、いくつかのナイーブな先入観を前提としている事 先入観 ①「わたしきれい?」といえば口裂け女の決まり文句でしょ。 ②口頭伝承は外部からの影響を受けない閉鎖された伝言ゲームのようなもの。

2022-02-12 17:45:18
青山葵@カシマさん研究 @aowasabi1972

①の先入観は吉田氏自身の研究により大流行以前に「わたしきれい?」と言わない口裂け女事例が大量に報告されている。わたしきれい、といえば口裂け女とするのは短絡すぎる 。

2022-02-12 17:45:19