【諸兵科連合部隊は】ロシア軍の大隊戦術グループ(BTG)と動員制度【千差万別】

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むすた-SM-SV @nagato1941

大隊戦術グループ(BTG)は近年ロシア軍で普及しつつある戦闘単位で、通常フル編制の1個自動車化狙撃大隊(3個中隊+迫撃砲中隊等)+戦車中隊、砲兵大隊(ロケット砲含む)、防空中隊、電子戦中隊などが増強されるようなので、今回の編制はやや小ぶりです

2021-01-19 00:51:19
むすた-SM-SV @nagato1941

ロシア陸軍の戦術教範は基本的にソ連軍のそれを引き継いでるので、大隊規模の部隊でも縦深攻撃を行うとされています したがって今回の敵BTGも戦力を第1梯団・第2梯団(予備)・大隊砲兵グループ(BAG)に割り振って行動すると思われます

2021-01-19 00:57:17
むすた-SM-SV @nagato1941

基幹となる大隊が何らかの事情で1個BMP中隊と迫撃砲中隊・擲弾銃/偵察/対戦車小隊を欠いているので、配分としては ・第1梯団:第1中隊+1~2個戦車小隊 ・第2梯団:第2中隊+1~2個戦車小隊 ・BAG:2個砲兵中隊+対戦車予備 といった形になるかと思います

2021-01-19 01:03:10
むすた-SM-SV @nagato1941

ちなみにBMP小隊・戦車小隊はいずれも3両編制で、中隊には指揮官車としてそれぞれ1両が付属します (ソ連軍では自動車化狙撃連隊隷下の戦車小隊は4両編制でしたが、ロシア軍になって3両に統一されました)

2021-01-19 01:06:01
むすた-SM-SV @nagato1941

戦闘隊形としては、戦車小隊の増強を受けたBMP中隊は、戦車を先頭に横隊/梯形/楔形/逆楔形の陣形で前進します。 小隊単位の例では下図のような隊形となり、中隊単位での攻勢の場合は横隊を組んだ戦車小隊の後方にBMP小隊が幅300m以内の横隊を組むのが定石です pic.twitter.com/75G8OsLOm7

2021-01-19 01:16:10
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むすた-SM-SV @nagato1941

ロシア軍の基本戦術についてはこちらの記事がよくまとまっていて大変参考になります warhistory-quest.blog.jp/19-Nov-28

2021-01-19 01:17:13
むすた-SM-SV @nagato1941

第1梯団の後方数百m~1kmの中央に第2梯団が配置され、BAGはその後方1〜3km(敵前線から2〜4km)まで前進してくる可能性があります ちなみに2S19の有効射程は通常弱装弾でも13km以上、ベースブリード弾で25km近くあります

2021-01-19 01:27:18
むすた-SM-SV @nagato1941

ロシア砲兵の定石として、敵戦車による突破と蹂躙を警戒して砲兵群側面には対戦車火器による防御陣地を構築することが多いのですが、今回大隊直轄の対戦車小隊や旅団対戦車中隊からの派遣が見当たらないので、これは省略されている可能性があります

2021-01-19 01:31:15
むすた-SM-SV @nagato1941

ただし、BMP-2には車載用と別にATGMの歩兵用移動発射機を搭載しており、車載発射機用の弾薬を融通することでATGM陣地の設置も可能なので、一部の車両から発射機と射手を抽出してBMPから分離した対戦車陣地を構築している可能性も否定できません

2021-01-19 01:33:32
むすた-SM-SV @nagato1941

ちなみに、T-72B3、BMP-2Mともに熱戦映像装置と高倍率の光学視察・照準装置を備えているため、従来のソ連製AFV(T-72B、BMP-2)と比べてセンサ能力(特に夜間)は大幅に向上されています それでもM1A2SEPv2のほうがセンサ性能で優位でしょうが、昼間3km、夜間2km程度の交戦能力はあると考えた方が良いです

2021-01-19 01:48:43
むすた-SM-SV @nagato1941

地形や遮蔽物の存在を考えると、この戦場の交戦距離ではセンサー能力はほぼ同等と考えるべきでしょう 同様に、西側120mm戦車砲弾の長距離射撃での優位性(精度・威力)もこの場合だとあまり活かせません 距離2000m以内であれば125mm戦車砲弾は最大限の威力と精度を発揮できるためです

2021-01-19 01:51:55
むすた-SM-SV @nagato1941

逆に、明らかに優位にあるのはIFVの装甲防護力です。 BMP-2の装甲が正面で23mm機関砲の徹甲弾まで、全周だと7.62mm徹甲弾防護なのに対し、M2A3は全周で14.5mm機銃弾に耐え、正面ではBMP-2の30mm機関砲弾にも(おそらく)抗堪できます twitter.com/grachan_smile/… pic.twitter.com/77EO0emnB0

2021-01-19 02:02:19
く"らモコ @grachan_smile

我の編成は米軍のA中隊チーム(機械化)です。機械化歩兵小隊が2つ、戦車小隊が1つ、そして火力支援班(観測)、更に大隊からは120mm迫撃砲小隊が直接支援してくれるよ。 pic.twitter.com/p2cPdGTY0h

2021-01-18 23:02:34
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むすた-SM-SV @nagato1941

BMP-2MはコルネットATGMの即応弾4発を備えるので、これを使えばM2A3も容易に撃破できるのですが、前方象限であっても25mm機関砲のAPFSDSを食らうと戦闘不能に陥る可能性が高いと思われます pic.twitter.com/qRLh6ocUOA

2021-01-19 02:07:40
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むすた-SM-SV @nagato1941

話が横道に逸れましたが、総評するとOPFORは火力と数に優れる一方でやや撃たれ弱い側面もあるため、個の性能の優越を活かしていかに有効な反撃を行うかが防御成功の鍵になるのではないでしょうか

2021-01-19 02:10:31

徴兵制・志願制が混在するロシア(旧ソ連)軍の動員体制

タリン旧市街OL @OKB1917

具体的に言うと、ロシア軍の自動車化歩兵旅団は隷下の基幹3個大隊のうち2個が契約軍人によって充足され、上級部隊から火砲等を分遣された大隊戦術グループ(BTG)である一方で、残り1個大体は徴兵を中心とする低練度・低即応性部隊とされている。

2021-08-06 10:37:26
タリン旧市街OL @OKB1917

ソ連崩壊後から徴兵制の廃止論というのはずっとあり、プーチン大統領も初期の国防政策においては、①徴兵の人数と期間を大幅に減らす、②徴兵は部隊に配属せず訓練センターで訓練を受けさせる、ことを核とする大胆な徴兵制改革に同意していた(ガイダル移行期経済研究所が下書きを書いた)

2021-08-06 10:40:02
タリン旧市街OL @OKB1917

これ以前にはエリツィンが徴兵制の廃止を一時期は公言している。しかし、徴兵制の廃止や抜本的改革はこれまで実現せず、唯一の大きな変化は徴兵期間が24ヶ月から12ヶ月に短縮されたくらい

2021-08-06 10:41:33
タリン旧市街OL @OKB1917

実戦で役に立たない徴兵をなぜやめないかというとこれはもう有事の動員予備になるからであり、特に陸軍の守旧派は徴兵廃止には絶対反対。小規模戦争対処のためにコンパクト化と常時即応化を推し進めたセルジュコフ改革期も陸軍は徴兵制だけは守り抜き、軍事ドクトリンにも「動員」が記載された

2021-08-06 10:43:45
タリン旧市街OL @OKB1917

2000年代までのロシアにおける軍改革議論というのは有事における大量動員体制を維持したい軍主流派と「そんな時代じゃないでしょおじいちゃん」という非軍人の軍事専門家(アルバートフ、ココーシン、ゴーリツ)などの戦いという側面が強かったが

2021-08-06 10:49:08
タリン旧市街OL @OKB1917

この辺はウクライナ危機によって伝統派の判定勝ちみたいなことになった気がする。要するにこの対立軸はかなりの程度、西側を敵と見做すかどうかという色彩を持っていたので、対西側関係がメチャクチャになると対立軸自体が霞んでしまった。特にココーシンやアルバートフは国会議員なので

2021-08-06 10:50:31
タリン旧市街OL @OKB1917

このご時世に「まぁ西側との大戦争を想定した軍事力なんてもう時代遅れでしょ」とは言いにくい(あとココーシンは2003年のイラク戦争でかなりアメリカに幻滅したフシがある)。比較的自由なのはジャーナリストのゴーリツとかだが、もはや彼らは国防政策にタッチできていない

2021-08-06 10:52:51
タリン旧市街OL @OKB1917

ただ、プーチンという指導者は大国主義者ではあるが軍国主義的色彩は割と薄い。特に軍事負担の増加を嫌う傾向は顕著であり、この点はウクライナ危機後もそう変わっているわけではない。本来ならば西側と関係を改善してオイルマネーで豊かになって軍隊はハイテク・コンパクトなCOIN対処型に、というのが

2021-08-06 10:59:25