ヴワル魔法図書館はそれ自体が魂を模した魔術的存在だが、同時に、思考し続けなければ死を迎えるだけの装置である。ある種の鼠が常に食べることをし続け、あたかも生存と食事の主客が転倒しているかのごとく見えるように、思考というただ一つの仕事を放棄した瞬間から、かの図書館はその役目を終える。
2011-09-06 17:19:05@kouzu この図書館の本は、もしかしたらそれの副産物なのかも知れない。図書館が行う思考の、摂取と排出。ならば私は、図書館の胎内で暮らす、胎児のようなものかもしれない。
2011-09-06 17:21:52@kouzu その発想はなかった。そしていま、図書館の本全てをネットワークで繋ぎ、擬似的なホムンクルスを作るパチュリーが過ぎった。
2011-09-06 17:28:45@no_name_life200 図書館に『子宮』と『脳』の二つの意味付けを行うことによって、ホムンクルスに繁殖への意志を備えるパチュリー
2011-09-06 17:31:46@kouzu そうしてホムンクルスを生み出し、また繋げまた生み出しを繰り返して無限の知識を得ようとするパチュリー……?
2011-09-06 17:34:47@no_name_life200 やがて自己拡大を続ける人造意識は、世界そのものをひとつの思考機械として在らしめるに至った。パチュリーの手による、幻想郷におけるインターネットの黎明である
2011-09-06 17:37:42@kouzu インターネットというより思考ネット的な感覚。誰もが、距離や時間、なにもかもに囚われずどんなものも知ることが出来る世界。それは過去も未来も人の心さえも……。
2011-09-06 17:41:01@no_name_life200 すべてが互いを容易に補完し合うようになった未来の幻想郷。既に自他の境界など何ら意味も為さなくなった幸福な社会の中で、八雲紫は、これは異変だと必死に訴えるのだが…
2011-09-06 17:44:32@kouzu それをそうだと思うものは誰ひとりとしていなかった――博麗の巫女を除いては。彼女は異変だと認識し、そしてそのまま放置した。それがいまの幻想郷なのだと、直感で理解したからだ。昔ならば異変で、いまはそうではない。幻想郷は、常に流転する。
2011-09-06 17:47:19@no_name_life200 互いの苦しみを知り、人妖は急速に歩み寄っていった。かつて自他の隔たりに痛みを知った覚り妖怪の姉妹も、今ではいつも愉しげだ。真の意味で、幻想郷は平和な楽園になった。史上、誰もが夢見て、しかしいつしか放棄されてきた、誰も苦しまない、最高の楽園に。
2011-09-06 17:52:44@kouzu ――たった少しの犠牲を払って、その楽園は、ただずっと存在しつづける。みんな笑顔で幸せで、泣くこともなく苦しむこともなく、ずっとずっと存在し続けた。その楽園の名前は幻想郷。忘れられたもの達の、最後の楽園と言われている。
2011-09-06 17:56:08@no_name_life200 やがて幻想郷の創り主は悩むことを止めた。ただ一つ残っていた自己と他者の境界を取り払うと、そこは極彩色の思考の渦だ。世界は、こんなにも美しい。ああ霊夢、居眠りしちゃって。巫女の元へ向かう紫の顔は、他の誰とも同じように、幸福に包まれたものだった。
2011-09-06 18:02:16@kouzu ……終わり、かな。これで終わり。永遠に終わり。だってもう、はじまらないんだから。失われない幸福が、ここにはあるんだから。もうはじめる必要なんてとこにもない。永遠に、しあわせだけがそこに残った。
2011-09-06 18:06:14