ついのべクラスタによる “星新一生誕85周年” 祭り

今日9月6日はショートショートの神様 星新一さん生誕85周年だったそうです。 (Googleロゴはホシヅルでしたね) 日頃ショートショートより更に短いお話を書かれているついのべ(ツイッター小説)クラスタの皆さんに、星さんにゆかりのあるお題をえいやと放り投げてみたところ、たいへん盛り上がりましたので、ここにまとめさせていただきました。(お題作品以外に、面白かった作品、星さん関連の作品も収録しています) 続きを読む
13
前へ 1 2 ・・ 8 次へ
(。・ω・。) @AWACS004

ノックの音がした、郵便屋に違いない。いそいそ印鑑を手に出れば、長細い箱を渡される。あまりに軽い箱の中、見れば紙切れの走り書き。<オ代ハ結構、良イ創作ヲ。カシコ。>中身はただのそれきっり。開いた箱に指を差し入れ、恭しくペンを摘み出す仕種。さて裸の作家は何を書こう。 #twnovel

2011-09-06 12:49:48
simmmonnnn @simmmonnnn

#twnovel ノックの音がした。「終電なくなっちゃった」ノックの音がした。「カノジョいないって言ってたよね。憶えてる」ノックの音がした。「私、彼氏いるって言ってたけど、あれ嘘。興味なかった?」ノックの音がした。「ねえ、何か言ってよ」いいかげんにしろ俺。とっとと扉を開きやがれ。

2011-09-06 12:50:00
浅葉積木 @tsumiki_a

#twnovel ノックの音が、しなかった。エヌ氏とかを名乗る人物が訪れてくることもなかった。コンピュータが自意識を持つのはまだ先の将来で、地球が夢を見ることはなんとか避けれているようだ。そんな夢の中からようやく目を覚ますと、世界は白くかすんでいた。さて、どう生きていこうか。

2011-09-06 12:52:23
日向日影🍊📖@文化系物書きVtuber(HUB) @hyuugahikage

#twnovel エヌ氏が総理になった「基本政策は」「どんな政策にしようか」「増税しますか」「増税しよう」「天下りは許せませんか」「天下りは許せない」「景気対策はどうお考えですか」「景気対策はどうしようか」「雇用を創出しますか」「雇用を創出しよう」政治は意外とうまくいっている。

2011-09-06 13:04:35
@sobatoyou

@laybacks ノックの音がした。嬉しくて涙が出た。ノックの音がした。苦しくて沈んだ気分が吹き飛んだ。ノックの音がした。一人じゃない、二人で頑張るんだと力が湧いた。ノックの音がした。うん、もうすぐ会えるね。すると返事をする様に、もう一度私の中からノックの音がした。

2011-09-06 13:16:06
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel もう、ノックはしないで。きらきら回るユニコーンの回転木馬はもう止めた。色とりどりの風船も空に放った。遊園地は閉園の時間。何重にも鍵をかけたの、私のウサギたちが飛び出して行かないように。お願い、その気もないのに手懐けないで。……ああ、今夜もノックの音がする。

2011-09-06 13:17:42
ぐるぐる @suzushi211

ノックの音がした。そんなはずない、と辺りを見回しかけて、私はいかんいかんと目の前の彼を見つめる。「あの、大体予測つくと思うけど」コンコン。「迷惑だったらごめん」コンコン。気のせいじゃない。彼の声と同じリズムで。「俺、君が好きだ」 #twnovel 心の戸が叩かれている。

2011-09-06 13:21:22
紺屋淳之介 @Jun_nosukeKoya

十月にもなると寒くて、半ズボンの制服に身を包んでいた僕らは真っ赤な頬で早朝から走り回っていた。運動会直前の都会の空、ブラスバンドの音が響く様を今も何となく憶えている。ここ数年は暖かい秋が続いているけれど、十月が来ると記憶の扉の向こうから、微かにノックの音がする。 #twnovel

2011-09-06 13:24:59
紺屋淳之介 @Jun_nosukeKoya

ノックの音がした。「どうぞ」と返事をしようと思ったが、声が出なかった。再びノックの音がする。まるで急くように、三度。何だか恐ろしくなった僕がまた無言で動けずにいると、そのうちノックはドンドンと拳で扉を叩く音に変わった。鍵のかかった小部屋、追い詰められた僕は思わず #twnovel

2011-09-06 13:31:55
tokoya @tokoya

#twnovel ノックの音がした。いや、奴らにそんな知能は無いはずだ。最初の感染者が出現して、僅か数日で外は奴らの世界になった。自分が最後の生き残りかも知れない。ついさっき彼女が死んだからだ。振り向くと、ベッドに彼女の姿は無かった。そうか、さっきのはノックの音では…うわぁぁ!!

2011-09-06 13:47:28
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel 「大好きな『エヌ氏』のために頑張って!」からかいの声に、僕が好きなあの子は、しいっ、と慌てた。ねえ「エヌ氏」って誰? 僕は切なくなって眼鏡を外しレンズを拭く。かけ直した時感じる彼女の視線。目が合えば赤くなって俯いて。まさかね。フレームに記されたロゴは、Nだけど。

2011-09-06 13:56:30
tokoya @tokoya

#twnovel ノックの音がした。ドアを開けると小男が逃げていく所だった。私は思わず追いかけた。小男の顔に見覚えがあったのだが、誰なのか分からなかった。路地で小男を見失い、突き当たりのドアを私はノックした。その瞬間、小男が誰なのか思い出した。あれは私だ。私は一目散に逃げ出した。

2011-09-06 13:57:40
藍 真史 @shin1960

#twnovel ノックの音がした。金属性の音が夜空に響き渡る。午前2時。来るとすればこんな時間だと言われていた。物音ひとつしないがみんな目覚めているはずだ。明りも点けずにひっそりと耳を澄ませている。満月がヒョイと横にずれた。ぽっかり開いた黒い穴から毛むくじゃらの腕が伸びてきた。

2011-09-06 14:21:59
Mark @Marknovel

#twnovel ノックの音がした。男はそんな気がした。窓を叩く音がした。そんな気がした。壁を叩く音がした。そんな気がした。メッセージ着信の音がした。そんな気がした。男はロープから首を外して耳を澄ました。何も聞こえなかった。しかし、男はそのドアを開けるべきだと思い直した。

2011-09-06 14:34:25
夢名 七志 @mumei7c

ノックの音がした。綿密な計画だった。少しの間違いでも破綻する。だが、割り当てられた役割をこなせば成功しただろう。最後に扉を開ければ成功だった。ドアの向こう側で追い詰められた相棒。犯罪の重さに怯え強張った指はロックを解除しなかった。今、墓の前で同じ音を聞いている。 #twnovel

2011-09-06 14:50:24
ひょうたん鯰 @hyou_namazu

街のあちこちで、ノックの音が小気味良くひびいている。妻や祖母たちが目を覚まして「何なの、うちにもくるのかしら?」。「ちょっと無理かも知れないな」と祖父は思った。…辺りはしん!と音もなく暗い。「うちには、肝心の玄関ドアもないからな」。墓の中でみんなため息をついた。 #twnovel

2011-09-06 14:54:30
いでゆのまち @ideimachi

#twnovel ノックの音がした。いばりん坊のくせに、引っかくようなか細い音。殿のご帰還だ。はいはい、と鍵を開ける。ずかずか部屋に入り「メシ」。はいはい、お皿をさし出す。満腹すると「寝る」。はいはい、寝床を用意。丸くなった彼の背をなでながら、私は読みかけの本をとる。秋の夜長に。

2011-09-06 15:18:56
Hiroyuki inoue @hiro_kinako

#twnovel エヌ氏について話を聞きたいと刑事は言った。彼はバーの顔見知りで、それ以上のことは知らない。そう答えると刑事は渋々帰って行った。エヌ氏はその後も何事もなかったようにバーに現れた。ある日は青年の姿で、またある日は顎髭をたくわえた老人の姿で。でも誰も気にしていない。

2011-09-06 15:32:21
瀬口 @an2a_09

ノックの音がした。遠慮がちにドアを開き、こちらを覗く少女。私は笑顔で手招きし、彼女にとっては異国の菓子を分け合った。親に怒られた時、友達を呼んだ時。彼女はいつもやって来た。時は過ぎ、もうノックの音はしない。開けっ放しのドアの向こうから今日も笑顔が飛び込んでくる。 #twnovel

2011-09-06 15:33:17
ナコ@文学フリマ東京Q-01 @nakotic

夏の終わりには雲が低くなって、空が狭くなります。それまで広くて青い空の下で夏を満喫していた子供たちの中には、夏の空が恋しくて空に手を伸ばし、黒い雲に捕まってしまう子もます。なので雷様は子供たちが雲を怖がるように、大きな音で雷を落としているのです。 #twnovel

2011-09-06 15:41:18
wacpre @wacpre

新しく作った金庫を見て欲しいと、エヌ氏に呼ばれた。金庫を持ち出すことはもちろんのこと、簡単に開けられないようにいくつも鍵がついていた。盗まれることはまずないだろうと評すると、満足げにうなずいた。エヌ氏は頭は良いのだが、私のような泥棒を友人に持つのが唯一の欠点だ。 #twnovel

2011-09-06 15:48:50
@K_Ichida

#twnovel 20年ぶりに初恋の彼女、エミリーと会うことになった。彼女以外には誰にも知らせていない秘密の山荘。現れたエミリーは見違えるように美しくなっていた。楽しいひとときを過ごしていると、ノックの音がした。「エミリーよ。開けてちょうだい」

2011-09-06 15:58:11
@K_Ichida

#twnovel エヌ氏は若い女性をの四肢を切り落として芋虫のようにするマニアだ。人里離れた彼の家には、たくさんの芋虫となった女性が這い回っている。1日中、ずるずると這う音だけが響く。ある寝苦しい夜、エヌ氏は寝室で目覚めた。その時、誰かが寝室をノックした。

2011-09-06 16:08:20
ゆらぎじゅん @yuragijun

#twnovel ノックの音がした。いつものようにエヌ氏だった。エヌ氏の思考をおれの思考にちょい足ししてみた。しばらくするとアドレナリンが溢れ出し、すごいアイデアがいっぱい出てきた。すごいぞN氏。で、いったいエヌ氏って誰なんだ?

2011-09-06 16:17:31
夢名 七志 @mumei7c

ノックの音がした。山あいにひっそりと建つ温泉宿。瓦屋根が立派な家屋は古いが小奇麗。谷川が近く空気が涼やかで、廻りから隔絶した隠れ宿の風情。季節を外れているので、他に客は居ないようだ。廊下にふすまが並ぶ作りは、今時では貴重な懐かしさがある。木と紙の建築は落ち着く。 #twnovel

2011-09-06 16:26:19
前へ 1 2 ・・ 8 次へ