中国軍事雑誌に見るロシア軍BTGの評価

翻訳ありがとうございます
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Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

ちょっと前に買った中国軍事誌にロシア軍BTGの評価に関する記事を発見 pic.twitter.com/0c9Uhxg0bl

2022-03-13 14:10:06
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Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

“营战斗群”って単語が「大隊戦闘グループ」の意。 ちな解放軍が採用してるヤツは"合成营”と呼称。日本語だと「諸兵種合成大隊」って訳されたりする。

2022-03-13 14:15:59
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

中国軍事誌による”ロシア軍BTG(大隊戦術群)”関連記事 「坦克装甲车辆」誌2021年9月上半期号において、ロシア軍のBTGについての評価などについて掲載されました。 7ページに及ぶ長文の記事(日本語訳だとおよそ2倍のページ数)のため、全文訳をツイートすることは避けますが、以下要約を紹介します。 twitter.com/SonodaHiroki/s…

2022-03-15 00:00:26
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

①BTG戦術の概要 ロシア軍BTGの起源は、ドイツがWW1より実践していた戦闘団に基づく。WW2東部戦線の死闘を通じ影響されたソ連軍は同様の「混成部隊」を編成した。 ソ連軍には、これら部隊の規定はなかったが、 当時大量に編成された独立戦車旅団の場合、戦車師団に比べ規模が大幅に縮小されていた。

2022-03-15 00:02:06
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

②その編成内に機動歩兵や防空などの支援部隊が存在したため戦車師団隷下連隊より連隊戦闘団に近いものであった。 同時期のソ連の平均的な歩兵師団が数千人の戦闘員を擁していたのに比べ、このような戦闘集団は人数に比しはるかに戦闘能力が高かった。

2022-03-15 00:03:10
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

③このWW2の経験は、1980年代のアフガン戦争でソ連軍が従来の大規模戦に対処するその構造上、人員が過剰であることに気づいたときに再び注目された。 アフガニスタンは山岳地帯のため、連隊を展開させることが難しく、指揮系統もレジスタンス掃討に必要な柔軟な戦闘スタイルに適応できなかった。

2022-03-15 00:03:43
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④ソ連は大隊規模の戦闘部隊が作戦上の需要を満たすのに十分な規模であることに気づいた。 また、運用の柔軟性も高まったが、大隊組織内の支援火力がやや不足した。 その結果、戦車中隊、砲兵大隊または砲兵中隊、工兵中隊、化学小隊からなる「大隊任務部隊」を複数編成し、これらを機動運用した。

2022-03-15 00:04:28
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

⑤この”大隊 "は戦時の「パッチワーク」であり、増強された支援部隊は指揮関係や平時の訓練不足による限界のほか、歩兵部隊指揮官の支援部隊への命令の理解不足という問題もあったが、実際の作戦効果は明白であった。

2022-03-15 00:05:04
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

⑥しかしソ連軍上層部は「アフガンゲリラを相手にするのと、NATOを相手にするのは別」として、この体制は推進されなかった。 当時のソ連参謀総長オガルコフは、この戦闘部隊の柔軟性を見抜き、当時やや肥大化していたその指揮系統と部隊構造の改革を決意したが、ソ連末期の混乱で実現されなかった。

2022-03-15 00:05:52
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

⑦2001年、プーチンは軍事改革に着手するが、イワノフは保守派に阻まれ前に進めない。2008年のロシア・グルジア戦争はロシアの勝利に終わったが、それでも戦力不足、戦闘移行の遅さ、独立戦闘能力の弱さ、上部リソース依存の高さなどが明らかになった。 続くセルジュコフは抜本的な改革に着手した。

2022-03-15 00:06:40
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

⑧米軍にならい、柔軟性の高い旅団レベルの戦闘部隊を創設し始めたのはこの改革期であった。 しかし改革は、ロシア軍の基本体制には手をつけず、情報技術や人材育成の面でも実質的な進展がなかったため、大隊の旅団戦闘部隊への統合のレベルは非常に低いどころか、全くないに等しいものであった。

2022-03-15 00:07:22
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

⑨しかし重歩兵旅団は偵察など支援部隊で強化された。 セルジュコフは「将校と部下の均衡」として合成訓練を受けた指揮官を減らし、旅団長を大佐に固定した。 従来部隊を指揮していた連隊長は、短期間に専門を超える多くの部隊を指揮することを学ばなければならず無理があった。

2022-03-15 00:09:39
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

⑩それだけではない。ロシア軍は情報化レベルが低いため、指揮などまだ多くを手作業で行う必要があったが、セルジュコフは師団長や旅団長を大幅に削減したうえ、幕僚業務を分担できる人員もカツカツだった。

2022-03-15 00:10:04
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

⑪ロシア軍は、部隊間調整のため旅団と大隊の間に指揮系統を設けざるを得ず、縮小された指揮系統は元に戻ってしまった。 このような背景からショイグは就任後、旅団とされたが実態は師団であった部隊の一部を師団に戻した。

2022-03-15 00:10:33
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

⑫その一方で、本来の師団・旅団・連隊から大隊に至る基本的な合成単位の実験を始め、30年間の堂々巡りを経て、ロシア軍は再び大隊編成の中で合成を行うようになったのである。 これはロシア軍が近代的な「大隊戦術群」戦術を構築するための基本的な組織的・構造的条件を提供するものとなった。

2022-03-15 00:11:05
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

⑬東ウクライナでの実践 典型的なBTGは通常31台のIFVからなる歩兵大隊を中核に、自走砲大隊、ロケット砲中隊、戦車中隊、偵察、防空、電子、兵站、通信のための部隊が増強される。各部隊は平時は旅団に所属、戦時に歩兵大隊を支援する形態。歩兵大隊は有事に旅団級の支援を得て”戦闘の拳”を形成する。

2022-03-15 00:12:59
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

⑭ウクライナ東部におけるロシアBTGの戦術には、いくつかの特徴的な点があった。第一に、集中指揮の原則で、大隊戦闘団の作戦は物理的・地理的に(歩兵)大隊長を中心に展開し、情報を入手・作戦立案、実行する部隊に自ら指示を出すが、その際は(電子地図ではなく)紙の地図を使うことが多かった。

2022-03-15 00:13:57
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

⑮集中指揮は、BTGの通信担当の仕事量を減らすのに役立つが、航空偵察に直面すれば簡単に暴露してしまう。 集中した指揮統制構造は効率的な伝達が可能だが、アナログのシステムに依存しており、戦場環境の変化を迅速に把握・対応するのに時間を要し、奇襲や反撃などの突発事態には脆弱であると言える。

2022-03-15 00:15:00
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

⑯もうひとつは、戦闘リソースの集中使用である。 ウクライナ東部の戦場では、ロシアBTGが現地ゲリラと協力してUAV、SIGINT、HUMINTを多用しているが、これらのプラットフォームの能力はまだ限られており、情報浸透力を向上させて必要な情報を提供するには、これらの使用を一元化することが必要である

2022-03-15 00:16:08
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

⑰高度な情報技術による通信手段に欠けることから、戦力の調整を密にするためBTG指揮部は偵察部隊と前衛の機動部隊を一緒に編成し、偵察手段の探知範囲を最大化し、機動部隊への支援能力を向上させるようにする。 しかし2種類のユニットを同一に配置することで、価値の高い攻撃目標になってしまう。

2022-03-15 00:16:46
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

⑱BTGの偵察監視重点方向は、原則として前衛部隊が展開する方向である。 前衛部隊の役割が強調されているのも、ウクライナ東部の戦闘におけるロシアBTG戦術の特徴である。 前方の警戒部隊は、BTGが自由に行動できるようにするための重要なリソースである。

2022-03-15 00:17:10
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

⑲前方警戒部隊の存在によりBTG正規軍兵士は警備から解放されるので、必要な戦場活動をすることができる。 敵を攻撃する機会や、またはBTG前衛が攻撃された場合、BTG指揮官は直ちに砲撃を下令し、部隊を援護・敵を撃破するが、このような作戦はBTG本体に対してわずかなリスクしか要求しない。

2022-03-15 00:18:32
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

⑳砲兵運用はウクライナ東部におけるBTG戦術の特徴の一つである。 BTGは旅団レベルの砲兵火力を持ち、米BCTよりも長射程かつ数も多く長距離攻撃に優位であり、BTG指揮官は目視やSIGINTによって目標を特定すると、巻き添えや民間人への被害を考慮することなく迅速に攻撃を開始する。

2022-03-15 00:20:08
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

㉑砲兵射撃がBTG指揮官の手に委ねられるという大きな利点があるため、BTG指揮官は通常、自らの砲兵射撃に自信を持っている。実際、常に曲射火力による支援を受けることができるのである。

2022-03-15 00:20:39
Sonoda Hiroki @SonodaHiroki

㉒例えば2016年のデバルツェヴォ(音訳)の戦いで、ロシア軍は、かつてのソ連軍の砲兵師団に似た大規模な混成砲兵戦闘群を編成し、少なくともD-30榴弾砲中隊2個、2A36中隊、数個のロケット砲中隊を統一指揮の下で目標に向かって射撃している。

2022-03-15 00:21:46