- rouillewrite
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「ひとつ、祈りとは神様の命令に従うことです。 私たちは神様によって、祈ることを命令されているのです。そして、神様が祈りを命じている理由は、大きな祝福が得られるからです」
2022-03-24 21:22:57「ひとつ、祈りとは神の御心を求めることです。 祈りが聞かれるための条件は2つ。 イエス・キリスト様の名において祈っていること、御心に沿った祈りをしていること。 …その祈りは、必ず聞かれることでしょう。 その答えが、どれほど先であろうとも」
2022-03-24 21:23:24エリーゼは少し口を開けて、しばし瞠目する。クリスチャンの本にでも書かれていそうな内容を、こうもスラスラと言えるのものか。齢10ほどの少女が。余程信仰心が深くなければ出来ることではないだろう。
2022-03-24 21:25:58「…神様を、信じているんですね」 「神様の元へ行けるのなら救われます。神様はわたし達の声を聞いてくださいます。そう、信じています」
2022-03-24 21:26:37マリアはそう口にしてから、エリーゼの微妙な表情を読み取ったのか、少し目を瞑って俯くと、ゆっりと立ち上がった。 十字架の前に来てエリーゼの方に踵を返し、にっこりと微笑む。
2022-03-24 21:27:07「それに、神様は亡くなってしまった方々をお救いくださいます。祈るのは、そういう人たちのためでもあるのです」 「…亡くなって…」
2022-03-24 21:28:06そう呟いて、エリーゼは目を伏せる。リネットや、ルーシャン、ケントの事が頭に浮かんだ。 皆、自分のせいで死んでしまった。
2022-03-24 21:28:28「……せめて安からに眠れるように、わたし達に出来ることは、祈ることなのではないか、と思います」
2022-03-24 21:29:16そうだろうか。 …せめて、自分のために死んでしまった彼らに、安らかな眠りを与えて欲しいと自分が神に祈るのは、間違っていないのだろうか。
2022-03-24 21:29:38「…こうしていると、きっと心の整理もつきましょう。大丈夫、優しい神が彼らを導いてくださいます」
2022-03-24 21:31:37その日の14時頃、デアダームからリオが目覚めたという知らせを聞いて、探偵や少女たちはほぼ全員で仮の医務室へと向かった。
2022-03-24 21:33:38既にユースティアがそこにおり、起き上がっているリオの手を優しく握りしめていた。目の周りが赤いのは、恐らく気のせいではないのだろう。
2022-03-24 21:34:37リオは駆けつけた彼らを見ると、「迷惑かけたな」と存外元気そうな顔で笑った。その様子を見て、ガブリエルがぷりぷりと怒り出す。
2022-03-24 21:35:42「全く、心配かけるんだから!」 「本当ですよ。 ユースティアがギャン泣きしてたんですから」 「してないわよ!」
2022-03-24 21:36:08エリーゼのからかうような声に、ユースティアが応える。もー!と立ち上がって怒り出した彼女を笑いながら見つめ、リオはほっと息をついた。 改めてユースティアの手を握り直し、リオはメノンから渡された手帳を見つめた。どうやら、自分が眠っていた2日間に色々調べてくれたようだ。
2022-03-24 21:37:25その間に殺人は起きていないこと。 この館の主の真の目的の推測。 ふわふわとしていた事柄が地に足ついたような納得感に、リオは小さく唸る。
2022-03-24 21:38:44…その隣では、レイラがギルの目覚めを待っていた。 救出されたその時気を失っていた彼は、未だに目を覚まさない。
2022-03-24 21:39:44デアダームが食事の用意などがある時以外は付きっきりで見てくれているらしいが、一向に起き上がる気配がないという。 原因がはっきりしないのだと、彼は首を横に振っていた。
2022-03-24 21:40:25レイラが、泣きそうな声で小さく呟く。 リオの目が覚めたのは喜ばしいことだ。だが反対に、なぜ自分の相棒は目覚めないのか、という不安に駆られた。 …その小さな肩を、デアダームがそっと叩く。
2022-03-24 21:42:16