デストラクティヴ・コード #8
【ニンジャスレイヤー連載の時間だ】 ・ニンジャスレイヤーは当アカウントで最新話をTwitter連載している小説 ・実況タグは #ニンジャスレイヤー ・ニンジャとは平安時代をカラテで支配した半神的存在である。彼らはキンカク・テンプルで謎のハラキリ儀式を行い、歴史から姿を消した。そして今……
2022-04-14 21:19:18【この作品におけるカラテ(KARATE)とは】 ・格闘技のジャンルとしての空手 ・格闘技、格闘技術、Artsを指す言葉 ・意志の力や躍動する生命の神秘的エネルギーとでも言うべきもの。いずれわかるもの
2022-04-14 21:24:21【マスラダとフジキド】 ・マスラダ・カイ:現在のニンジャスレイヤー。元オリガミ・アーティスト。生業はニンジャスレイヤー。 ・フジキド・ケンジ:サツバツナイト。10年前にニンジャスレイヤーだった。元サラリマン。生業は国際探偵。
2022-04-14 21:27:10ブラックティアーズはわなないた。ニンジャスレイヤーは握力を強め、赤黒く燃える目で見下ろした。あの日の敗北。狩りの儀式を一方的に押し付けられたあの日以来、常にカンジ・キルの太刀筋をリコールし、反芻し、ニューロンに刻み続けてきた。憤怒と共に。「貴様の太刀筋は、もうわかった」 0
2022-04-14 21:31:56「獣……」ブラックティアーズは抵抗する。ニンジャスレイヤーの握力はなお強まる。ミシミシと、すさまじい軋み音が響き渡る。ニンジャスレイヤーはブラックティアーズの頭を持ち上げ、強制的に引きずり起こした。そして再び、叩きつけた。「イイイイイヤアアーッ!」「グワアアアアーッ!」 0
2022-04-14 21:33:15キンカク・テンプルの強い輝きの下、石碑の荒野にセトは佇み、己が狩人ブラックティアーズの劣勢を観察していた。ニンジャスレイヤーはブラックティアーズの頭を離さず、咆哮し、さらに叩きつけた。セトは鼻を掻いた。そして視線を動かし、石碑のひとつを見た。ムカデめいたシャン・ロアの影を。 1
2022-04-14 21:40:09「……説明が必要であるように思う」セトはシャン・ロアを促した。石碑に映るムカデめいた影がギチギチと音を立て、歯擦音がちな声を発した。『何をだ』「無論、貴殿の狩人ウーガダルについてだ。見ての通り、彼は今、サツバツナイトと名乗り、獣の封印を妨げた。申開きの程は如何に?」 2
2022-04-14 21:43:20『申開きとは心外である』シャン・ロアは牙を鳴らした。『我は典範に則り、誠実に儀式プロトコルを遂行しておる。奴が仮に……まあ実際……サツバツナイトであったとして、我が誹りを受ける謂れは無し。恐らく、我がウーガダルが遺憾にもサツバツナイトに殺され、入れ替わられた、という事であろう』 3
2022-04-14 21:48:44「遺憾にも……だと?」『うむ。実際、心外である。ともあれ狩人は狩人。資格が維持されておるのならば仕方なし。我が狩人として消極的に認定する他ない。ともあれ、過去にこのような例もなかったわけではあるまい。神聖なるカリュドーンの歴史は悠久であるゆえ』シャン・ロアは言い切った。 4
2022-04-14 21:52:56『貴様の魂胆はわかりきっておるぞ』別の石碑にアイアンコブラの影が映り、指摘した。『早々に自身の狩人コンヴァージが倒され、儀式前だとゴネて一巡目の最後に捩じ込んだはよいものの、正々堂々勝てる人材も残っておらぬゆえ、儀式そのものを混ぜっ返し御破算にするつもりなのだ』『それは邪推也』5
2022-04-14 21:56:44『邪推なものか。しかし星辰の巡りは絶対。残念ながら明日に我がメイヘムがカリュドーンの舞台にあがり、ニンジャスレイヤーを仕留めるさだめ。我がメイヘムの敗北は万に一つもなし。最強だからだ。いかなる妨害があろうと変わらぬぞ』『勝手にそう考えておればよい……』シャン・ロアは目を細めた。 6
2022-04-14 22:00:07セトは優雅な溜息をついた。サツバツナイト即ちダイ・ニンジャは、確かにシャン・ロアと契約を結び、呪いの拘束を受けていること明白。何らかの取引が行われていると考えるべきだ。『むしろ申開きを要するのはオヌシだぞ、セト=サン』シャン・ロアが反撃した。『この見苦しい争いは一体なにか』 7
2022-04-14 22:04:44『確かにな。なぜ狩人同士が争う?』アイアンコブラが和した。『ブラックティアーズにアヴァリスを攻撃させたな。このような行為は禁止の筈。これが許されるならば最初から我が最強のメイヘムが他の狩人を全て倒し、第一挑戦権を奪取してもよい筈だ』「アヴァリスには重大な違反行為が確認された」 8
2022-04-14 22:07:53セトは冷静に答えた。「アヴァリスはカリュドーンそのものにノイズを生じている。主催者として看過できぬゆえ、貴殿らの承認を待たず即座にブラックティアーズを動かせたまでだ」『それは具体的に何だ?アヴァリスの主たるヴァイン=サンの言い分も聞かねばならん』シャン・ロアは食い下がった。 9
2022-04-14 22:12:42セトのコトダマ空間に現在、シャン・ロアとアイアンコブラが参集しているのは、現世において彼らの狩人が接触している為だ。オモイ・ニンジャは儀式続行不能。ギャラルホルンやケイムショは現在オフラインであるが、直に嗅ぎつけてくるであろう。ではヴァインは?いまだ気配がなかった。 10
2022-04-14 22:15:09「貴殿らの意見は受け止めた」セトは話を打ち切る仕草をした。「無論、私は主催として、今後もカリュドーンの状況を注視していく。しかし今、ヴァイン=サンの接続を座して待つわけにはゆかぬ。状況が立て込んでおるゆえにな」『ヌウ……。とにかく、恙無くせよ』アイアンコブラが唸った。 11
2022-04-14 22:21:28セトは咳払いした。彼はサツバツナイトの状態を執拗にスキャンしながら、ブラックティアーズに声を繋いだ。「ブラックティアーズ=サン。マガタマの解放を許可する。これ以上のブザマは不快であるぞ」 12
2022-04-14 22:24:45……ニンジャスレイヤーは身をもがくブラックティアーズから手を離さず、再び後頭部を叩きつけるべく、決断的に持ち上げた。その瞬間、首の後ろに異様な寒気が集まった。(((マスラダ!止まれ!注意せよ)))ニューロン速度で駆けたナラクの言葉は異様だった。殺戮を常に促すナラクがそれを制するとは!13
2022-04-14 22:30:39ナラクの言葉を追いかけるように、「感覚」が襲い来た。彼は瞬時に死角方向へ向き直った。そこには黒い人型の影があった。影の黒さはニンジャスレイヤーがよく知る黒さ……砂色のフードの影に渦巻く暗黒と地続きのなにかだった。マガタマだ。マガタマが今、影として立ち、カラテを……「イヤーッ!」14
2022-04-14 22:33:53胴体を貫く拳が繰り出された。ニンジャスレイヤーは己の中心を貫通するカラテを感じ取り、すぐさまブラックティアーズから手を離し、全力のクロス腕ガードで防御した。「ヌウーッ!」ニンジャスレイヤーは圧力で跳ね飛ばされ、空中で三回転ののち、ビルのふちで踏み留まった。黒いトリイが乱立する。15
2022-04-14 22:38:15「01001……0101」マガタマの変容体は不明瞭な哄笑を現世に響かせた。黒いトリイはビル屋上のみならず、その周辺の空中に無差別に出現する。そして……「01001イヤーッ!」マガタマの変容体は四方八方へ、無差別に、ハッポースリケンを投射した! 16
2022-04-14 22:41:36「ヌウウウッ!」ニンジャスレイヤーは防御姿勢をとった。(((マスラダ!注意せよ!)))ナラクが呼びかける。(((この力、今の今までアヴァリスに向けられておったマガタマの渦だ。奴め、目先の敗色を前に己の企みを脇にのけ、奥の手に出おったわ!どのみち潰せ!))) 17
2022-04-14 22:46:07