デザ古河・覚醒編

なんか彷徨ってる感じ。 覚醒、できるといいね……(やさしいかお
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古河切夏 @psyka_dz

@matu_ds 「…………」何故。と聞くのは駄目だ。聞いてはいけない言葉だ。その言葉は破綻を招く。今まで作ってきた壁を、今まで耐えてきた衝動を、今まで守ってきた世界を、破綻させる。 #dezasure

2011-09-06 10:11:18
古河切夏 @psyka_dz

@matu_ds けれど続いた言葉に薄っぺらな自制は簡単に揺らいだ。 「一人きりは……耐えられんよな」 殴られたような、殴られたより堪える衝撃。涙腺がびりっと痺れて熱い。 慌てて手の甲で目元を拭った。まだ濡れてはいない。 #dezasure

2011-09-06 10:11:56
古河切夏 @psyka_dz

@matu_ds 「……なんで、だよ」 代わりに声が漏れた。 「なんで……」 いや、それは違うのかもしれない。 なんでとか、なんだとか、そんなことを考えて、視線を外して生きてきたことが、そもそも間違いだったんじゃないか、なんて。 #dezasure

2011-09-06 10:12:20
古河切夏 @psyka_dz

@matu_ds わかっていたじゃないか、考えてきたじゃないか、何度も。 首を振って、向き直る。 息を吸って、歯を噛み締める。 視線を受け止めて、投げ返す。 今まで出来なかったことをする。 #dezasure

2011-09-06 10:12:30
古河切夏 @psyka_dz

@matu_ds 「……わりぃ松木、聞いてもらって、いいかな」 #dezasure

2011-09-06 10:12:39

@matu_ss

@psyka_dz 古河清一郎。二年生。友人の一人。遭遇頻度高し。関係良好。――但し、関わりのほどは薄かった。理由は明白だ。「古河。最近、一層人の輪の外に出たな」それが友人の癖。大げさに言えば生き方だ。「――」 返るのは、そんな事はないという言葉。 #dezasure

2011-09-12 14:48:37
@matu_ss

@psyka_dz しかし残念なことに、隆乾は気配の流れに敏感だった。特に、同類の気配には。「お前は……人との距離に安心する性質だろう。一年以上つるんでるんだ。それぐらいは分かる」「……」「遠く置いておけば、傷つくことも傷つけられることもないからな」 #dezasure

2011-09-12 14:48:43
@matu_ss

@psyka_dz 隆乾が口にするのは、多分、彼が一番言われたくない類の言葉だ。それもよく承知している。多分……正解過ぎて、相手を苦しめる言葉だろうとも思う。けれど、(俺はそれ以外を知らん)自分の器用でなさを、友人が許してくれるとは限らない。それでも―― #dezasure

2011-09-12 14:48:50
@matu_ss

@psyka_dz (お前の一人は、行き止まりじゃない)そう伝えなければ、彼はこのまま潰れてしまう。進んでゆく仲間たちの中で変わらぬ事を選べば、必ず孤立が待つからだ。だから口を開いた。「遠ざけて、安心して、でも近づきたいんじゃないのか」呼吸の止まる音がした。 #dezasure

2011-09-12 14:49:35
@matu_ss

@psyka_dz 「怖いのも、近づきたいのも、両方とも間違った感情じゃない」それを自分はよく知っている。「両方とも本心だから、辛いんじゃないか」だから自制に手を伸ばした。それでも、「距離を保つだけじゃ、きっとダメなんだ」一人では壊れない壁がある。 #dezasure

2011-09-12 14:49:42
@matu_ss

@psyka_dz 「俺は……。俺も、そうだった」同じだった。もしも彼と自分に違う部分があるとすれば、「関わってくれる誰かがいてくれたおかげで、俺は変われた」自分が彼にとっての"誰か"であるとは思わない。それでも、打ち立てておかねばならない事がある。 #dezasure

2011-09-12 14:49:50
@matu_ss

@psyka_dz 「差し伸べられる手は少ない」沈黙。「その中に正解があるとも限らん」更に沈黙。「自分で動くのは怖いだろう」首肯。「失敗はなお怖い」さらに首肯。「それでも、その先に何かがあると信じて進まなければ、何も変わらないんだ」彼の返事は―― #dezasure

2011-09-12 14:50:00
@matu_ss

@psyka_dz 「動けばいい。愚痴があったら言えばいい。俺に限らず、それぐらい聞く奴は幾らでもいるはずだ」息を吸う。伝えておかなければならない、一番の事実を口にする。「――俺達は絶対的に一人だ。その先に、誰かと手を繋ぐ可能性がある」疑問には、頷きを返した。 #dezasure

2011-09-12 14:50:04

古河切夏 @psyka_dz

@null 考えを、言葉にする。今まで出来なかった――いや、してこなかったことを、一つ一つ積み重ねる。そして望む……言葉をくれと。 ……教えてくれ、俺は何を間違えている? 目の前の剛健な男は、連なる音に耳を傾け、しばしの黙考の後、ゆっくりと口を開いた。 #dezasure

2011-09-19 22:47:09
古河切夏 @psyka_dz

@null 「……遠く置いておけば、傷つくことも傷つけられることもないからな」 その声に、何故か寒気が走った。……これから彼が決定的なことを言うのだとわかる。 そうでもしなければお前に届かないのだ、と言外に告げるかすかに苦い表情。 #dezasure

2011-09-19 22:47:15
古河切夏 @psyka_dz

@null 「そんな、ことは……」 喉から溢れた言葉は相手に届かせようとするものではなく、自分を守るための殻だ。 反射が生み出す防衛ラインを、だから自分で押し殺した。その言葉を云ってくれと、望んだのは自分だ。 #dezasure

2011-09-19 22:47:25
古河切夏 @psyka_dz

@null 「遠ざけて、安心して」 一瞬の間は逡巡か。緊張に焦った肺が吸気を求めたその時に、 「……近づきたいんじゃないのか」 肺が動きを止めたような、一瞬。 #dezasure

2011-09-19 22:47:33
古河切夏 @psyka_dz

@null ごくりと、喉が動く音。数瞬の間と、荒い呼気。それらが自分の喉から出ているとわかっていても、制御できずにいる。 「両方とも本心だから、辛いんじゃないか」 伸びてくる手。一瞬ふらついた肩を支える、確かな力。 松木という男の、気持ち。 #dezasure

2011-09-19 22:47:40
古河切夏 @psyka_dz

@null 「俺は……」その男の、逡巡。 「俺も、そうだった」 投げかけられた言葉は二人の間にある決定的な差異。 「関わってくれる誰かがいたおかげで、俺は変われた」 その感謝は、自分が持ち合わせていないものだ。 #dezasure

2011-09-19 22:47:47

「差し伸べられる手は少ない」沈黙。
「その中に正解があるとも限らん」更に沈黙。
「自分で動くのは怖いだろう」首肯。
「失敗はなお怖い」さらに首肯。
「それでも、その先に何かがあると信じて進まなければ、何も変わらないんだ」
彼の返事は――

古河切夏 @psyka_dz

@null 「俺は……」 吸って、吐く。その単純な挙動が難しい。 「……何かを、変えられるのか?」 単純な疑念。はき出してしまった澱のような塊に、こいつは正面から言葉を返した。 #dezasure

2011-09-19 22:48:07
古河切夏 @psyka_dz

@null 「動けばいい。愚痴があったら言えばいい」 そうしろと、俺の肩を叩く。 「俺に限らず、それぐらい聞く奴は幾らでもいるはずだ」 そうしろと、俺の背を押す。 #dezasure

2011-09-19 22:48:12
古河切夏 @psyka_dz

@null 確かな頷き。 保証にはならない、失敗するかもしれない、それでもこいつはうなずいた。 ……頷いたんだ。 #dezasure

2011-09-19 22:48:16