石工の魔女様と伴侶のガーゴイルさん達・白磁の天使と雷の乙女

屑望喜納子 @motikinako_kuzu

力ある者（The powerful one）は、力を使うのではなく力の源となることができる。つまりそれは神々とそれに連なる無限の者達であって、かつては世界を意のままに作り上げた者達であって、今は人界に姿を表さない彼らの事だが、

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石工の魔女は力ある者に近しい者を作り出すことができる。炎の乙女は身の内から際限なく熱を取り出せる。清らかな水の乙女は際限ない清らかな水の水源である。雷の乙女は少し違う。白磁の天使は力ある者の似姿をしている。

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雷の乙女は雷を喰らい、それを振るっている。だから本当の力ある者ではない。これは人間と上位存在の違いに近い。

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人は肉を食べて腹の中で燃やし、熱を取り出しているのであって、熱そのものでも、熱を産み出しているのでもない。外から取り入れた熱を別の形で取り出しているに過ぎない。

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人は剣を手にもって振るっているだけで、剣そのものでも、力を産み出すなにかでもない。術で魔なる力を操るけれども、魔なる力その物でもないしそれを産み出しているわけでもない。自分の外から力を取り入れてそれを振るうのが普通の生き物だ。

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雷の乙女も、魔女が作り出したほとんどの偶像の乙女達もそうだし、石工の魔女自身も力ある存在ではない。

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しかし石工の魔女は力ある存在を作り上げることができる。世界の深い場所から魂を引き上げ、より根元的な存在にアクセスし、そして美しさだけを共通言語として形を与えることができる。

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神々からすれば世界を破壊しかねない無責任な行いであった。それを心配するのは白磁の片翼の乙女だけだった。