「野党共闘」運動の出現から挫折に至る経緯についての、左派からの批判的分析(連続ツイートまとめ)

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AKIO @AKIO197508

先日予告した、「『野党共闘』運動の出現から挫折に至る経緯についての、左派からの批判的分析」を行いたいと思う。 twitter.com/AKIO197508/sta…

2022-06-30 01:16:15
AKIO @AKIO197508

「野党共闘」運動の出現から挫折に至る経緯についての、左派からの批判的分析が全く出ないので、いずれ時間のある時に私が行いたいと思う。

2022-06-16 19:36:11
AKIO @AKIO197508

「野党共闘」運動とはそもそも何か。「自公等に対抗するため、左派の票を旧民主党勢力に集中させるべき」という発想は、相原たくや氏が指摘するように、2007年都知事選(浅野史郎氏に吉田万三氏が譲るべきと議論された)でも見られたし、私見ではもっと前、2004年の「平和への結集」運動に萌芽がある。

2022-06-30 01:23:44
AKIO @AKIO197508

しかし、現在議論されている「野党共闘」に直接つながる動きは、民主党政権崩壊後、2013年参院選の後から出てきた。「野党がまとまれば自民党に勝てる」という議論が、小沢氏の支持者を中心にSNSで見られるようになった。そうした声が噴出したのが、2014年初めの都知事選での「細川一本化」論だった。

2022-06-30 01:27:43
AKIO @AKIO197508

この「細川一本化」論に対して、宇都宮健児氏を推していた共産党系やしばき隊界隈主流の皆さんは、抵抗しているように見えた。しかしこの時期にも、宇都宮氏支持者の中に「一本化自体が問題なのではない。一本化の手続きが問題なのだ」として、「一本化」自体を否定しない向きがあった(bcxxx氏等)。

2022-06-30 01:30:50
AKIO @AKIO197508

そして、2014年末の総選挙では、左派・市民派から広汎に「戦略的投票」を推す動きがあった。同じ年の初めには「細川一本化」に抵抗していたしばき隊界隈主流は、「戦略的投票」を積極的に推進した。一方、共産党はこの選挙までは独自路線を維持していたが、他の野党への批判を抑制し始めた形跡がある。

2022-06-30 01:35:24
AKIO @AKIO197508

2015年に入ると、2月に「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が、5月に「自由と民主主義のための学生緊急行動(SEALDs)」が結成された。後から振り返ると、これらの動きが「野党共闘」の露払い役となっていた。そして、9月の安保法成立直後、共産党が大々的に「野党共闘」を提起する。

2022-06-30 01:40:59
AKIO @AKIO197508

夜遅くなってきたので、いったん休みます。

2022-06-30 01:42:26
AKIO @AKIO197508

前述の、共産党による「野党共闘」宣言までの時系列。「野党共闘」運動は、共産党の「細川一本化」路線への降伏以外の何物でもなかったことが判る。共産党は「市民と野党の共闘」という美辞麗句を用いたが、実際の「野党共闘」運動は、「共産党が旧民主党勢力に対し一方的に候補を降ろす」ものだった。

2022-07-02 00:28:01
AKIO @AKIO197508

「細川一本化」(2014年1月)から共産党の「野党共闘」宣言(2015年9月)までの間に、裏舞台でどんな工作が行われたかは謎が多い。報道の範囲では、小沢一郎氏と中野晃一氏が動いたことは確かだ。志位氏は、「野党共闘」の大義名分だった「国民連合政府」構想を、中央委員会前に小沢氏に見せたという。

2022-07-02 00:36:00
AKIO @AKIO197508

共産党の「野党共闘」宣言と「国民連合政府」の提案当時、左派からこれらへの批判はほとんど聞かれなかった。特にしばき隊界隈は、「国民連合政府」構想を「王手飛車取り」(佐藤圭氏)と絶賛。また、それまでは共産党の独自路線を「自民党を利する」と非難していた小沢支持派も、態度を一変させた。

2022-07-02 00:40:05
AKIO @AKIO197508

しかし、「野党共闘」運動には、少なくとも3つの根本的問題点が存在することを、私は当初から繰り返し指摘してきた。①左派有権者から自然な投票先を奪い②立候補の自由を侵害し③共産党自体の右傾化を招いているーが主な問題点である。最初にその問題点が顕在化したのが、2016年の都知事選だった。

2022-07-02 00:44:09
AKIO @AKIO197508

2016年都知事選では、2014年都知事選で健闘した宇都宮健児氏が出馬の意思を示していたにも関わらず、民進党中心に別の候補が模索され、鳥越俊太郎氏が出馬することとなった。そして共産党と社民党は鳥越氏擁立を支持し、宇都宮氏は立候補断念に追い込まれた。「野党共闘」の抑圧的機能が露わになった。

2022-07-02 00:48:24
AKIO @AKIO197508

しかしこの時点では、左派有権者の多数に「野党共闘」の抑圧的機能が認識されるには至らなかった。それどころか、この時期には野党系市民運動の主力を牛耳っていたしばき隊界隈は、都知事選後『正論』に「野党共闘」批判記事を掲載した宇都宮氏を「裏切者」として糾弾し、その論調が左派主流となった。

2022-07-02 00:51:59
AKIO @AKIO197508

一方、共産党は2016年頃までは「国民連合政府」構想(安保法廃止の一点で連合政権を作り、すぐ解散して信を問う)を前面に打ち出していたが、他野党の賛同が得られず、2017年頃からは通常の連合政権参加を目指す姿勢を鮮明にしていった。私は2017年春頃に志位氏の演説を直接聞き、この転換を確認した。

2022-07-02 00:56:17
AKIO @AKIO197508

夜遅くなってきたので、またいったん休みます。(続く)

2022-07-02 00:57:01
AKIO @AKIO197508

少し時間軸を戻す。共産党による「野党共闘」運動の提起後、初の本格的国政選挙となったのが、2016年夏の参院選だった。この選挙では、32の1人区全てで共産党が候補者を降ろし、野党候補が「一本化」された。当時、私は意外だった。1人区でも、幾らかは候補者を立てるのが自然だと思っていたからだ。

2022-07-03 22:36:25
AKIO @AKIO197508

関連して、「野党共闘」運動の提起後、共産党は旧民主党勢力への批判を一切しなくなっていた。2013年参院選まで、共産党は自公と旧民主党勢力をともに批判する「たしかな野党」路線を取っていたので、この極端な態度変更は著しく不自然だった(鳩山政権時の「建設的野党」という例外はあったが)。

2022-07-03 22:41:15
AKIO @AKIO197508

しかし、2017年春に志位氏の演説を直接聞く機会があり、志位氏が(「国民連合政府」ではなく)通常の野党連合政権参加を熱望していることを肌で感じた。この時、共産党の「野党共闘」運動の主目的が政権参加にあり、そのために過剰なほど旧民主党勢力に「恩を売る」ことに熱中しているのだと確信した。

2022-07-03 22:46:40
AKIO @AKIO197508

それから間もなく、2017年総選挙に際して民進党が分裂する「希望の党」騒動が発生した。この騒動は当初「野党共闘」運動の危機に見えたが、結果的には、民進党より共産党にやや好意的な立憲民主党が誕生した。また、共産党は希望の党に対しては対立候補を立てたので、大規模に候補を降ろさずに済んだ。

2022-07-03 22:52:12
AKIO @AKIO197508

その後2019年参院選までは、「野党共闘」運動の全盛期に見えたが、実際には「その欠陥が表面化しなかった時期」だった。この時期は(旧)立憲に勢いがあったが、党員制度の導入など必要な組織固めを怠ったことは、共産党票を当てにしての自己満足だった(=「野党共闘」の副作用)と言わざるを得ない。

2022-07-03 23:00:48
AKIO @AKIO197508

そして、2019年参院選を迎えた。この選挙でも32の1人区全てで野党候補が一本化され、その意義が大々的に宣伝された。1人区の共産党支持者が支持政党への投票機会を奪われることは、問題点として指摘されなかった。一方、この選挙では「れいわ新選組」が結党され、「野党共闘」支持者を警戒させた。

2022-07-03 23:09:12
AKIO @AKIO197508

2019年参院選の結果は、「野党共闘」運動に最初の暗雲を投げかけるものだった。1人区では野党が10勝したが、左派有権者から自然な投票先を奪うという巨大な犠牲を埋め合わせるものではなかった。そしてそれ以上に、立憲の比例議席が10を割り込み「8」にとどまったことは「野党共闘」派に衝撃を与えた。

2022-07-03 23:13:19
AKIO @AKIO197508

本日はここまでにします。(続く)

2022-07-03 23:13:40
AKIO @AKIO197508

ここで、私の「野党共闘」批判のスタンスを明確にしておきたい。「野党共闘」の是非が論じられる際は、「『野党共闘』に『効果』はあるのか」という観点から論じられることがほとんどだ(リンク先の三春充希氏の論説も同様)。しかし、私は.「効果」は二次的な論点と考える。webchikuma.jp/articles/-/2833.

2022-07-04 20:34:52
AKIO @AKIO197508

目に見える範囲の数量的「効果」のみを問題にするなら、強力な組織政党の共産党が一方的に候補を降ろすのだから、幾らかの「効果」はあるに決まっている。問題は、その「効果」が、①左派有権者からの自然な投票先の剥奪②立候補の自由の制約③共産党自身の右傾化-といった副作用に見合うかどうかだ。

2022-07-04 20:35:14