テンペスト・オブ・メイヘム #2

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【このアカウントでは】 サイバーパンクニンジャアクション小説「ニンジャスレイヤー」最新話が連載されている。 連載時は、時間あたりのTweetが多くなり、末尾にページ番号めいた数字がふられるが、それは小説のTwitter連載なので安心してほしい。 #ニンジャスレイヤー タグで実況を見る事ができる。 pic.twitter.com/6tsv9PvpGV

拡大

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【マスラダ・カイ】 現在のニンジャスレイヤー。ニンジャスレイヤーAoMの主人公。ナラク・ニンジャを宿し、ニンジャ殺しのニンジャとなった。混迷を深める世界で、サツガイやアドリアン・メギルヴィッチ・イオロフ、明智光秀などの強大な敵と戦ってきた。 pic.twitter.com/sCmOLLaRe7

拡大

拡大

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【フジキド・ケンジ】 かつてのニンジャスレイヤー。RTされてくるコミカライズのスクショのニンジャスレイヤーの中身はこの男。作中時間の10年前に邪悪なニンジャ組織と激しく戦い、月が割れ、日本政府は消滅した。 現在も国際探偵「サツバツナイト」として現役。 pic.twitter.com/DA7WyBnvj4

拡大

拡大

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ナラク・ニンジャ】 邪悪なる古代の魂。この魂が憑依融合した者がニンジャスレイヤーとなる。ニンジャを恨んでおり、全ニンジャを殺したいし、非ニンジャも全部殺してよいと考えているが、ニンジャスレイヤーの強い自我に制御され好き放題できない。歴代のニンジャスレイヤーの影響も受けている。 pic.twitter.com/iywgu25pR4

拡大

拡大

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【メイヘム】 現在ニンジャスレイヤーが戦っている相手。カリュドーンの儀式のなかでニンジャスレイヤーを付け狙う狩人の一人。彼女は秘密教団「ドクノキバ」においてアイアンコブラ総帥の寵愛を受ける最高の戦士であり、危険なコブラカラテの使い手である。 pic.twitter.com/q6NOHHVl4G

拡大

拡大

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【現在のネオサイタマ】 マルノウチスゴイタカイビルは閉ざされ、ニンジャ始祖カツ・ワンソーの影の一人、「アヴァリス」の玉座と化した。ネオサイタマはアヴァリスの力によって異常な緑に呑まれ、黃金の空の光を受ければ正気を失うので、弱い人は屋外に出ると終わり。 なんとかしなければいけない。 pic.twitter.com/z8MfrjizyT

拡大

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【今、ニンジャスレイヤーは】 ・カリュドーンの儀式の標的にされたニンジャスレイヤーは、次々に現れる狩人をとにかく全部倒す。ニンジャスレイヤーはナメさせない。 ・狩人を倒すとき、そこに超自然のオリガミが生まれる。 ・オリガミは緑に呑まれたネオサイタマを正常化する手段かもしれない。

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【テンペスト・オブ・メイヘム】#2

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マルノウチ・スゴイタカイビル屋上。正体不明の植物によって天蓋めいて頭上を覆われた空間の中央、緑の玉座に尊大に座るアヴァリスは、闇色の目に興味深げな色彩を漂わせた。なぜなら、何人たりとも入りえぬ筈のこの場所に今、妖しくも美しく、そして邪悪な来訪者が現れたからだ。　1

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ぬばたまの黒髪の女は、壁めいて密集する蔦を萎縮させながら、無雑作に歩み寄った。そしてオジギした。「ドーモ。アヴァリス＝サン。ティアマトです」「ティアマト？」アヴァリスは首を傾げ、目を細めた。そして鼻を鳴らした。「クルシュナイ。俺はアヴァリス。始祖カツ・ワンソーそのものだ」　2

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「くすくすくす」ティアマトは口元を手で隠し、たおやかに笑った。「無知はときとして爽快なものじゃ、アヴァリス＝サン。さような物言いはサツガイとて、せなんだぞ」「ならば俺のほうがサツガイよりも次元が高いのだろう。ぬかづけ、ティアマトよ。ヴァインが俺にしたように」　3

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アヴァリスからは凄まじいアトモスフィアが放たれた。非ニンジャであれば狂死し、なまなかなニンジャは本能的にドゲザするほどの圧力だ。しかしティアマトは笑みを深めただけだ。「オヌシはいまだ不完全なもの」ティアマトは言った。「我を自由にしたいのならば、ハゲミナサイヨ……」　4

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「セトの使い走りの分際で、大きく出たな。面白い女だ。くだらぬ企みを口にしてみろ。せいぜい取り繕ってみろ……」「企みなど。いかにそなたが未熟であろうとも、偉大なる父祖の破片を欺くことなど、どうして出来ようか。我はそなたをあるべき姿にするべく、ここに参ったのじゃ」「ほう」　5

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そなたの乾き。感じるぞ……乾き、苦しんでおろう。生まれ出でたその時から……」ティアマトは玉座の肘置きに腰掛け、アヴァリスを試すようにしなだれかかった。そして胸板に指を這わせた。アヴァリスはただ笑い、されるがままにした。「俺は成すべき事を全て理解したぞ。マガタマを取り込んで」 6

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ティアマトのけぶるような眼差しは、はだけてあらわになったアヴァリスの胸板を透かし、脈打つ力を見る。「俺の乾きを癒すのは、カリュドーンの儀式の力だ。感じるだろう。今も狩人メイヘムがニンジャスレイヤーと死力を尽くして戦っている。膨大なカラテ。奴らが俺のための果実を実らせるだろう」　7

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アヴァリスはティアマトの頭を掴んだ。「メイヘムが獣を狩り、盃を満たすか。果たせぬならば、俺の番だ。儀式の力全てを飲み干す。貴様のセトがコソコソと間引いている力も、根こそぎにいただいてやる」ティアマトは動じない。「ふふふ、察しておったか。流石は父祖の影。だが所詮は影。まだ足りぬ」 8

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ならば言え。そのために来たのならば」「そなたの乾きは、そなたが完全でないゆえにじゃ。カリュドーンの力を啜ろうとも、器にヒビが入っておれば溢れるばかり。完全性にそなたを導き、乾きを満たしてやれるのは、我ただ一人。マスターチャドー也……」「ならば、やってみろ」彼は欠伸して見せた。 9

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「覚悟はあるか？無限のカラテを受け容れる準備は？」「覚悟を決めるのはお前だ、ティアマト＝サン」アヴァリスは闇色の目を深めた。「お前の話を聞いてやるのはここまでだ。今すぐにやれ。俺が飽きれば、そこまでだ」「アナヤ、アナヤ……」ティアマトは笑い、アヴァリスの胸に掌を埋め込んだ。　10

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アヴァリスは己の胸を見下ろした。ティアマトの手首までが沈んだ。彼女は深く、深く呼吸していた。「スウー……ハアーッ」全身の躍動がアヴァリスに伝わり、玉座を伝わり、スゴイタカイビル屋上に波紋として伝わった。「はははは」アヴァリスはティアマトを掴む手の力を強め、乾いた笑いを笑った。　11

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆◆◆ 12

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

コトダマの荒野。セトの眼前に投写されたスゴイタカイビル屋上の図像は、やがて01ノイズの連なりとなり、アヴァリスのなかで蠢くマガタマの力を可視化させた。セトは顎に手を当て、そのさまを見守る。アヴァリスが、そしてティアマトが、己の目論見に叶うか、見定めようとしているのだ。　13

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その一方で、リモート石碑に現れたリアルニンジャ達は、カスミガセキ・ジグラットで今まさに展開する凄まじいカラテ応酬に興じていた。特に、狩人メイヘムを代理戦士とするアイアンコブラのアトモスフィアは、石碑を割ってしまわんばかりである。『刮目せよ。これが我がメイヘムの最強のカラテ也』　14

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『クキキキ……実際、よくぞ仕上げてこられた！』ギャラルホルンの不明瞭な影が応じた。『このままニンジャスレイヤーを仕留めれば、貴殿が摂政という事になる。今から献上する黃金の品を定めておかねばならぬかな？』『その通りだ。余の者も準備せよ。我がメイヘムは十割勝つ』　15

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『しかし僭越ながら、ここでこのまま押しきれぬのが、あのニンジャスレイヤーの厄介なところよ。あの者に関しては、私は多少、貴公らに一日の長あり。応援の手は緩めぬがよかろう、アイアンコブラ＝サン』『当然だ。我がキアイはメイヘムを勝たせる。お前達は休まず震撼し続けるべし』『クキキ……』16