未完成の理想郷6話「男女対抗船レース」

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未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「青い海!」「白い雲!」「「そしてえ……」」 「ビーチバレーなんてやるのは久方ぶりね、それ!」 「あ、やったな、カナタちゃん!でも、私も負けないんだから!今度は私がサーブね!」 「「むふふ、最高だな、海上エリア!」」

2022-08-31 21:01:00
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「……何をしているんですか?カガミさん?ヤンさん?」 「「んげ!?」」 ここは海上エリア…の手前にある砂浜。

2022-08-31 21:02:00
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息抜きも必要だ、ビーチバレー用のボールとコートを作ったから遊ぶがいい、見張りは俺達がやるよ、と言ってその場を離れたカガミとヤンであったが、実際はそう離れておらず、近くの岩場の影でビーチバレーの様子を窺っていたようであった。 それを★兎に見つかってしまう。

2022-08-31 21:03:00
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「…もう一度問います、何をしていたんですか?」 にこやかに笑いながら質問してくる★兎だが、感じる圧はその表情とは全く正反対のものであった。 「ち、違うんだ、★兎ちゃん!だって、女子が水着でビーチボールをしているんだぜ?そりゃあ、しょうがないだろう?」

2022-08-31 21:04:00
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「いや、何言ってんですか、貴方は。」 「そうだ、僕たちは彼女たちが安心して遊べるよう見張っていたに過ぎない。」 「はあ、ヤンさんもこれくらいの言い訳してくださいよ。まあ、ヤンさんの発言の後じゃあ何の言い訳にもならないですけどね。」 「ヤン君…」 「いや、ごめんて。」

2022-08-31 21:05:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「はあ、やっぱりヤン君に付き合わず一人でやればよかった…」 「な、そりゃないぜ、カガミィ、俺達親友だろう?」 「そんなものになった覚えはないよ。」 「がーん!」 「いや、仲間割れしようが、二人とも普通に許しませんけど?とりあえずでこ出せでこ。」

2022-08-31 21:06:00
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「お?ホシウサギ?それにカガミにヤンもどうしてここに?見張りに行くんじゃなかったかのう?」 三人がガヤガヤ言い争っていると、ネフェルが岩場からひょこっと顔を出す。 「ネフェルさん、実は二人がですね…」 「なるほど、事情はわかった!」

2022-08-31 21:07:00
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「え、まだ何も言ってないんですけど。」 「二人とも、確かにそれは男子である以上健全なことだ。」 「「ネフェル君!」さん!」 「しかし、女子としてそれを許すわけにはいかん!」 「「ネフェル君…」さん…」

2022-08-31 21:08:00
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「しかしそれではつまらん、ここは転生者の依頼も考慮して、男子対女子であの雪原エリアまでどちらが先に着けるか勝負をしようではないか!勝った方が負けた方になんでも言うことをきかせることができる…というのはどうかの?勝利を掴みとればそなた等の願いを何の憂いもなく果たすことができるぞ?」

2022-08-31 21:09:00
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「いや、あんたも何言ってんだ。」 「男と女の仁義なき戦い、これこそ青春なり!」 「「何…でも?」」 「ああ、何でもだ。」 「…ヤン君」 「ああ、かがみ。」 「「…その勝負乗った!」」 「いや、やんねえよ。」

2022-08-31 21:10:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「その意気や良し!その勝負全力で迎え討ってやろう!」 「いや、だから…」 「ルールは簡単!勝負はこれから三日後!互いに船を用意し同じタイミングでスタート、雪原エリアを目指す。先に一人でも雪原エリアに地に足つけた者の勝ち!妨害はあり、能力の使用も可だ。」

2022-08-31 21:11:00
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「うん、わかった、とりあえず雪原エリアにさえ到着すれば何でもいいわけだ。」 「ああ、それでは準備に入り給え、三日後楽しみにしているぞ!」 「はっ!その余裕な面ぜってー崩してやるから首洗って舞ってやがれ!」 こうして戦いの火ぶたは切って落とされた。 「…なにこれ?」

2022-08-31 21:12:00
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「…始まりました、男女対抗海上エリア船レース…どうも、実況のマーテル・マグナです…。「NONAME」始まって以来の転生者同士の対決…果たしてどちらが勝利を掴み取るのか…実況のルナさんはどう思いますか…?」 「……なぜ私がこんなのの実況なんかを…いや、別に参加したいわけでもないのだが…」

2022-08-31 21:14:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「…私達が参加してしまうと…ズルし放題になるって…ネフェルが言ってたわ…。」 空を飛べる二人、特にルナは能力により水流すら操ることができてしまう。

2022-08-31 21:15:00
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勝負が成り立たなくなる可能性と、もし何かあった時の救護班として二人はレースに後ろから着いて行くこととなった。ついでに、実況と解説になったわけである。

2022-08-31 21:16:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「まあ、そんなことは置いておいて…選手の意気込みをきいて行きましょう…。さて、まずはこの戦いの発端となったカガミ選手…試合前の意気込みをどうぞ……。」

2022-08-31 21:17:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「聞いてない!聞いてない!女子が全員水着なのはいいとして!なんで男子まで海パン一枚縛りなんだ!僕は何か身に纏ってないと落ち着かないんだぞ!」 「ふはは、リターンを求めるならリスクを負うべきであるぞカガミ!」 pic.twitter.com/Mp9B1PBPjS

2022-08-31 21:18:00
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今回全員水着での参加も条件に加えられていた。理由は簡単、「青春だから」である。 「…他にも聞いて行きましょう…ムギ選手…意気込みをどうぞ…」 「ブロンには負けないにゃ!勝負にゃ、ブロン!まあ、水は苦手だから室内からでないけどにゃ。」 「うん!僕も負けないぞ!ルナも応援しててね!」

2022-08-31 21:19:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「それはだめにゃ!あるじはムギを応援するのにゃ!」 「あー、二人とも怪我だけはしないようにね。」 「「はーい!」」 先の二人とは比べ物にならない純粋なオーラで会場は包まれる。

2022-08-31 21:20:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「…ありがとうございました…それでは試合前インタビューはここまでにして…いよいよ開始時刻が迫ってきました…それでは…ルナ、スタートの合図を…」 「はあわかったよ、僕の能力で爆発音を出す。それがスタートの合図だ。それでは互いに準備はいいかな?位置に着いて…よーい…」 ドンッ

2022-08-31 21:21:00
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ルナが鳴らした合図とともに両者の船は同時に加速する…と思いきや 「ヒャッホー!すげえスピードだぜ!よくやった、憲史!」 「は、はは」 「すごいよケンちゃん!」 「……」 男子チームがいきなり空を切るように盛大な音をたてながら女子チームとの差を離していく。

2022-08-31 21:22:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「…これは…凄まじい勢いで男子チームが…女子チームを置き去りにして…進んでいきます…どういうことでしょうか…解説のルナさん…コメントをお願いします。」

2022-08-31 21:23:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「……………はぁ、男子チームは元素変換式エーテル砲を放ってその勢いによりスタートダッシュを決めているな、水の勢いを上手く使った見事なスタートダッシュと言えるだろう。だが…」 「ん?…!な、なんでだ!?むこうもこちらのスピードに着いてきている…だと?」

2022-08-31 21:24:00