- uf_arkadia
- 985
- 6
- 0
- 0
広い草原に、一本の大樹が聳え立つ。 ここは、誕生して間もない世界「NO NAME」、後に草原エリアと呼ばれる場所である。 そこに数名の人物と、宙に浮かんでいる一人の男。 男が口を開く。
2022-02-27 21:01:00「さて、全員うまく魂と身体が定着したようですね。今世の身体の皆様とは初めましてなので、再度挨拶とさせていただきます。改めまして、おれは人材派遣の神様をやってますパッチです。」 そして、パッチと名乗った男は優雅に頭を下げる。
2022-02-27 21:02:00「この度はおれの依頼を受けてくださり誠にありがとうございます!こんな見知らぬ神の依頼を受けてくれるなんて、あなた方はなんていい人達なのでしょう…ってあれ?皆様依頼内容ちゃんと覚えてますか?」
2022-02-27 21:03:00「うーん、怪しい顔している方が数名いらっしゃいますねぇ…。しょうがない、ここは依頼内容の確認も含め、もう一度説明させていただきますか!」 そう言うとパッチの隣に透明のパネルのようなものが現れた。そこに文字や図が浮かび上がる。
2022-02-27 21:04:00「今皆様方が足をつけているこの場所こそ、今回俺が調査を依頼した、まだできて1カ月くらいの世界、その名も「NO NAME」!!はい、そうです!!まだ名前もついてないできたて新鮮ほやほやの世界です!!」
2022-02-27 21:05:00「通常であれば、手の空いている神がちゃっちゃと調査して、生き物が住める環境を整え、管理するというのが習わしなのですが、うーん、ほら、今どこの社会でも人手不足が問題化されてますよね?例にもれず、神の世界でも人手不足がね…あ、おれ達の場合人ではありませんが。」
2022-02-27 21:06:00「ともかく、そんなわけで、3か月以内にお亡くなりになられる予定だった皆様方に、新しい身体で「NO NAME」の調査をしてもらいたいわけなんですよ!」
2022-02-27 21:07:00「でも、流石に神でもない皆様方に世界の調査なんて大変だと思いますので、僭越ながら皆様が望む、身体のステータスアップと、能力を有した武器、調べた物の作り方がわかる魔法の設計図をご提供させていただきました。喜んでいただけたでしょうか?」
2022-02-27 21:08:00「あ、そうそう、今「NO NAME」には魔物と呼ばれる生き物も存在しています。この場には魔物は存在しないようなので、ここに皆様を集めたのですが、少し離れた場所に行くと魔物がうじゃうじゃいるようです。」
2022-02-27 21:09:00「おれの見解なのですが、多分「NO NAME」が自身の発展のため生命を生み出したのではないかと思います。また、その中でも5体の他の魔物とは比べ物にならない魔物、おれは「ボス」と呼んでいますが、そいつらが「NO NAME」を牛耳っている現状なので、皆様是非事故のないように気を付けてくださいね。」
2022-02-27 21:10:00「以上、依頼についての内容でした!!まあ、色々言いましたが、まとめると、他の生命が住める世界かどうか、力はあげるので調査してくださいねってことです。」
2022-02-27 21:11:00「受け付けませーん!!おれも忙しいのでもう行かなくちゃ!一応一カ月に一回は俺も様子を見に来るので、皆さんちゃんと仲良くしてくださいね!!それでは!!!」 「え、ちょ……は???」
2022-02-27 21:14:00質問をしてよろしいかという質問にだけ答え、饒舌に言いたいことを言い切った神を名乗る男、パッチは、自らの手から渦のようなものを出し、そのまま渦の中へ飛び込んで消えていったのだった。 ……
2022-02-27 21:15:00「…ふむ、なるほど、これほどの長文を息継ぎもなしで、さらに皆が聴きとれる滑舌、速度で言い切るとは、これが上位神の力か。」 「え、今の話で一番最初に着目することそこなの!?!?」
2022-02-27 21:16:00肌が緑がかった尊大な態度の男に、ピンク髪の少年がつっこみ、そこに、兎の耳の生えた占い師のような恰好をした、先程パッチに対して質問をしようとした女性が口をはさむ。
2022-02-27 21:17:00「はぁ…えと、お話遮るようですみません、この場にいる全員が、あの神を名乗る男に連れてこられ、この調査を受けたということでよろしいでしょうか?」 全員に聞こえる声で呼びかけた女性に、水色の長髪の男が代表して答える。 「まあ、パッチ様の言うことにはそういうことだと推察はされるね。」
2022-02-27 21:18:00「なるほど、ご返答ありがとうございます。わたくしは★兎と申します。占い師を生業にしている者です。どうです?このまま、一人一人自己紹介していき、今後の指針を決めるというのは?」 「それが、最善だろうね。意義がある人はいるかな?」
2022-02-27 21:19:00転生に戸惑っていていまだに放心状態の者、頭にはてなを浮かべていぎ?…とつぶやいている者以外は概ね賛成のようであった。
2022-02-27 21:20:00「では、次は私から自己紹介させていただこうかな。名前はルナ。ここに来るまで何をしていたのかはまったく覚えていないので、特に自己紹介できることはないが、これからよろしく頼むよ。」 「…そのような処置も受け付けているのですね、あのごみは…。」 「何か言ったかい?」 「いえ、何も。」
2022-02-27 21:21:00続いて、先程漫才をしていた二人が口を開く。 「…わが名は…ミシュカトル…安心するがいいヒトの子らよ。われがいるからには、何も心配することはない。」
2022-02-27 21:22:00「え、えと、貴方もどう見ても人に見えますけど…あ、すみません、お、私は谷崎憲史と申します。もともと物づくりをする職についてはいたんですが…どういうわけかかなり幼い身体になってるんですよね…はは、本当は32歳だったんですが…。」
2022-02-27 21:23:00