- MonokuroMsk
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「はぁ…久しぶりに羽を伸ばせたな。サオトメも居ねぇし部屋は快適だったし。よく考えたら休暇らしい休暇って初めてかもな…」 人魚の城を背に軽く伸びをしながら、独り言を零したのはタカナシだ。
2022-09-03 21:16:59普段通りの七三分けとビジネススーツでカッチリとしているが、いつものピリピリとした雰囲気は鳴りを潜め、珍しく上機嫌な様子。
2022-09-03 21:17:18ここ数日は、ひょんなことから城の一室を借りて自分でも驚くほど優雅に過ごしていたのだ。 あまりにもストレスフリーで逆に落ち着かなくなり、最後の2、3日の記憶は朧げだが…。
2022-09-03 21:17:59アントニーはタカナシとの別れを惜しんで、涙ながらに感謝の言葉を何度も伝えた。 終いには抱きつかれ、スーツを鼻水でベッショベショにされたのも後々良い思い出になるだろう。
2022-09-03 21:18:45「ア~~…正直帰りたくない……海のスイーツも美味しかったし、あの防音室マジで神がかってたわ~…」 蛸足で地面を這う様に泳ぎながら、この数日間の余韻に浸りボソボソと独り言を零す。
2022-09-03 21:20:35なんだかんだで王子とも打ち解けて、2人でスイーツビュッフェと洒落込んだり夜通しゲームを楽しんだ後に雑魚寝する仲にまでなった。 タカナシと同じく快適な休暇を過ごしたのだ。
2022-09-03 21:21:27『あのまま城に残っても良かったのでは…?』 滞在中も「ずっとここに居てもいいのに」と城の者たちに言われたのを思い出す。
2022-09-03 21:22:04「帰ったらまた仕事か…。サオトメの奴にもまた追いかけ回されるんだろうな…」 「サーカスの人達はみんなキラキラしてて…僕みたいな陰キャはやっぱり場違いっていうか…、正直たまに肩身が狭い時はあるんだよね…」
2022-09-03 21:22:57ぐるぐると考えていると、いつの間にか見慣れたピンクのテントの前に来ていた。 少し視線を上げれば、馬鹿みたいに大きくて明るい虹が変わらずに迎えてくれる。
2022-09-03 21:23:27『あ~んタカナシどこ行ってたの~!?この書類難し過ぎて分かんないよ~!!』 『おかえりアルファ殿。実は機材の調子が悪くてな…帰って早々すまないが見てくれるかい?』
2022-09-03 21:24:18「…まぁ、前の職場よりはずっとマシだしな」 「座長もイダさんも、こんな僕なんかに良くしてくれるし…」 「なんだかんだで帰って来ちまうんだよなぁ」 「普通に帰れる所があるのって、なんか良いかも…」
2022-09-03 21:25:31「どうも…お疲れ様です…」 「…あ、ぁ、……っス…」 当たり障りの無い業務的な挨拶をするタカナシに、アルファはペコペコとしどろもどろになりながら言語になっていない挨拶を返す。
2022-09-03 21:27:47