『幸福なXXXを』

第一話『日常』
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幸福なXXXを。 @XXX2022_

観光の人はここを見て「綺麗な時計台だね」と言ってくれる、それほどまでに圧巻なのだ。 いつかここに登ってみたいなんて思いながら、登ったことは無い。 ヒラヒラと手を大きく降れば見えているのか分からないが、ゆらりと何かが揺られている気がした。

2022-11-21 20:25:02
幸福なXXXを。 @XXX2022_

少女は叫ぶ 「きょーも!!1日お疲れ様でしたー!明日もよろしくお願いします!」

2022-11-21 20:27:14
幸福なXXXを。 @XXX2022_

少女は自分が近づいていいものでは無いと思っているのだ、身なりも美しくなければ服はすす汚れているから。

2022-11-21 20:27:29
幸福なXXXを。 @XXX2022_

いつかは父と母とともにここに来てこの時計塔の中に入って色々見てみたいと思う。 それはまた明日にでもできるから心の中で期待しておこう。

2022-11-21 20:28:15
幸福なXXXを。 @XXX2022_

陽も落ちきって、季節的にヒヤリと頬を撫でる風は冷たい。

2022-11-21 20:31:21
幸福なXXXを。 @XXX2022_

早く裏路地の父と母と離れ離れになる前に いつかここで会おうと言ってくれたあの場所へ急がなければ!と少女は脚を早め道を進む。

2022-11-21 20:32:44
幸福なXXXを。 @XXX2022_

「こんなに寒くなるなら…るーくんと一緒に来ればよかったなぁ…」 いつも私に構ってくれるあの彼と、来れば良かったと…少女は後悔している。

2022-11-21 20:35:19
幸福なXXXを。 @XXX2022_

ガタンッと後ろから大きな物音に少女は肩を揺らす。 人の気配などしなかったのに、怖い。

2022-11-21 20:37:11
幸福なXXXを。 @XXX2022_

「…だれ?」 振り返らずに彼女は問うた 「にゃーん、」 猫の声?

2022-11-21 20:39:05
幸福なXXXを。 @XXX2022_

「ね、猫かぁ……びっくりした……」 早くお母さんのところに…と歩き出そうとした時に。 「あれ?そういえばお母さんの書き物ってこんなのだった……け…?」

2022-11-21 20:41:10
幸福なXXXを。 @XXX2022_

ポケットを漁りもう一度開く。 ちゃんとリエダへと書かれている。 少女…宛だ…なのに…文字の形が違う。 なぜ?

2022-11-21 20:43:34
幸福なXXXを。 @XXX2022_

恐る恐る振り返ろうとした

2022-11-21 20:44:28
幸福なXXXを。 @XXX2022_

途端、先程よりも大きい木箱の倒れる音と同時に鈍い痛み。 振り返る間もなく、彼女の腹には大きな穴が一つ 理解が追いつかなかった なぜ?何が?

2022-11-21 20:45:01
幸福なXXXを。 @XXX2022_

考える間もなく少女はふらりと倒れ込んだ。

2022-11-21 20:45:42
幸福なXXXを。 @XXX2022_

地面に鈍くぶつかる音、痛み、辛さ、どうしてこうなったのか彼女は考えられなかった。

2022-11-21 20:46:22
幸福なXXXを。 @XXX2022_

けれどそれよりもこの街の人達が母と父がどうにかなってしまう方がもっと怖い。

2022-11-21 20:47:49
幸福なXXXを。 @XXX2022_

あの人達の正体を知っている、知っていても、黙っていたんだ。

2022-11-21 20:48:47
幸福なXXXを。 @XXX2022_

ただみんなと幸せでありたかっただけだから、そうしていつかお母さんたちとここで暮らす為に黙っていたのに。 あの人のこともあの子たちのことも。

2022-11-21 20:49:37
幸福なXXXを。 @XXX2022_

それなのに…どうして? どうして… 私は黙っていたのに…

2022-11-21 20:51:05
幸福なXXXを。 @XXX2022_

そんなことを薄れゆく意識の中で考えた、ふと誰かの足が見える。 その足はゆっくりと少女の前にしゃがみこみ、ぽつりと呟く。 「ゆっくり、おやすみ。」

2022-11-21 20:52:10
幸福なXXXを。 @XXX2022_

誰も彼もがきっと私の死など悲しまず、終わる…… 本当は泣いて喚いて死にたくないと言いたい筈なのに声も上がらない。 pic.twitter.com/SS2eYcjqlS

2022-11-21 20:52:43
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