- MonokuroMsk
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タッタッタッと軽い足取りで裏路地を抜ける。 ここは【グリュックスタウン】小さな街だ、色んな人が住んでいる。 人口は100人も満たないほどに少ない町、少女はこの街が、この街に住まう人達が大好きだ。
2022-11-21 20:01:31今日も案内だと路地から飛び出し街をかけようとすれば少女の背後を駆ける帽子のよく似合うお兄さん。 「あ!エメットさんおはようございます!」
2022-11-21 20:03:02声に気づいてくれたのか少し止まってクルリと振り返る、爽やかな笑みを浮かべ彼が口を開く。 「おはようございます!リエダさん!」
2022-11-21 20:03:59ひとつお辞儀をすれば彼はまた走り出す。 まるで風の様に駆け抜ける彼を見つめる。 少女は私も真似ればあんな風に早く走れるのかな?とその場で走る素振りを見せる。 きっと彼の方な走りは出来ないだろうと苦笑いを緩りと浮かべた。 pic.twitter.com/0VS2PZ9egQ
2022-11-21 20:04:48そこはある人が経営する喫茶店『パレス』 今日も繁盛しているようで、店内の中を小窓から覗き込むと数人程の人がお茶を飲んでる。 店主の女性がこちらに気づき笑顔で手を振ってくれた、彼女は嬉しくて大振りで振り返す。
2022-11-21 20:07:23案内をした若者達には大人気(リエダ調べ)なので、少女にとっても鼻が高い。 案内すればまた来たいと言って貰えるのだからすごく幸せなことだとひっそり微笑んだ。
2022-11-21 20:08:22チャリと音のなる小さな袋を片手に静かで人通りの少ない路地の奥にある『Floraies』という花屋さんに歩みを進める。 今日は初めての試みでお花を使って案内をするのだ!
2022-11-21 20:10:35何度か道案内をした人だが、ここに買い物に来るのは初めてでドキドキと心臓がはねる。 「こ、こんにちわー!」 少女は緊張でガチガチと声をあげると店の奥から綺麗な女性がゆっくりと現れる。
2022-11-21 20:11:38「あら、お客さんかしら?」 ふわふわとした笑顔を浮かべる女性に少女は釣られるように笑う。 「え、エステルさん、こんにちわ!今日は……お花買いに来ました!」
2022-11-21 20:12:46にこにこと優しくて、陽向のような笑顔を浮かべる女性に少女はお金を渡す。 奥へと引っ込んで数分後。 カツンと石を蹴りながらその場で待っていれば、ゆっくりと小さくて可愛い花束を。 「はい、どうぞ。気をつけて持って行ってくださいね。」 「えへへ、ありがとうございます!また、来ます!」
2022-11-21 20:13:52小さな花の束を両の手に抱えて少女は走り出した。 その嬉々とした表情で走る少女は期待していた。 そう、今日は少女リエダの両親が帰ってくる日なのだから!
2022-11-21 20:15:11昨日、爽やかで足の早いお兄さんとは違う。 大きくて ほんのり煙草の匂いがする 若いお兄さんから珍しくも少女宛に届いた手紙に【明日の夜更けに迎えに行きます。母より】と記載があった。 少女は思い出してくふくふと笑う 小さい手紙をポケットに収めている。
2022-11-21 20:17:42やっと、会えるのだ!と舞い上がり、グリュックタウンに来た人や既存の人たちの案内も、お花を配るのも頗ると捗った。 この案内を続けているうちに少しだがお金も貯めた。 きっとお母さんたちには迷惑をかけないだろう……と少女の胸は踊っている。
2022-11-21 20:19:04早く会いたい気持ちを抑え、日の暖かい昼間の街を案内の為に駆け抜ける。 楽しくて平和な毎日がこの街の永遠であると、少女は信じて疑わない。 幸せで、愛おしくて、綺麗な世界。
2022-11-21 20:21:10