歌鳴の140字SSまとめ

個人的にまとめておきたかったので。うたプリ多めにジャンルごたまぜ、BLやNLもごたまぜ。『#指定されたCPで140字SS書く』のハッシュタグで書かせて頂いたものやら、診断の結果で出たお題で書いてみたものやら。
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歌鳴(かなり) @kanakanari

【真春】窓の向こうで、雪が舞う。白く、やわらかく、静かに。それでも、強く。降りしきる雪を見る度、どうしてもあの光景を思い出す。寒さと、苦しさと、そして暖かな音と声。「真斗くん、考え事ですか?」「ああ、いや……」俺の名を呼んで微笑む。あの時と同じ声で。「……ただ、春を想っただけだ」

2011-10-07 00:00:00
歌鳴(かなり) @kanakanari

【薫砂】「ねぇ砂月さん、僕、言いましたよね?」見上げながら、笑顔で言う。僕よりも大きな人が、これだけで気圧されているのは滑稽だ。「今度翔ちゃんに何かしたら、同じことを僕があなたにし返すって」背伸びしないと届かない首元へ手を伸ばして、笑う。「体格差なんて、ひっくり返して見せますよ」

2011-10-07 00:04:43
歌鳴(かなり) @kanakanari

【リンリン】「お前ら足して2で割ったらちょうどいいのにな」タイガーさんが僕たちを見て言った。「ボクと折紙さん?」「そうそう。元気と内気とさ」その言葉にキッドさんが考え込んで、あっ!と声を上げて言った。爆弾発言を。「じゃあボクと折紙さんの子供はちょうど良くなるかもね!」「えっ!?」

2011-10-07 00:16:48
歌鳴(かなり) @kanakanari

【トキ春】ぎゅっと抱き締める。「と、トキヤくん!?」「少し、補給させてください」「ほ、補給……?」彼女を抱き締めていると、張りつめてた気が緩んでいく。気力が湧いてくる。「何を補給してるんですか?」「栄養です。私はあなたから栄養を貰わないと死んでしまうのです」愛情という名の栄養を。

2011-10-07 23:28:26
歌鳴(かなり) @kanakanari

【龍林】もう何度こいつのワガママや無茶に付き合わされたか分からない。それでも、俺は。「ね、龍也。いいでしょ?」「……しょうがねぇな」このやり取りを何度繰り返したか。それでも、俺は。「やったあ!ありがと、龍也」それでも、俺は。この笑顔に何度だって付き合って、何度だって尽くしてやる。

2011-10-07 23:42:17
歌鳴(かなり) @kanakanari

【翔トキ】「なあ、トキヤ。お前疲れねぇ?」「……何です、唐突に」こいつは神経質で、その分色々な所に気を回す。なんだかんだでいい奴で、だからこそ心配になる。「お前さあ、少しは甘えれば?」「……結構です」「俺くらいは、頼りにしろよ」ぺしりと軽く、額を叩く。驚いた顔を、可愛いと思った。

2011-10-07 23:54:43
歌鳴(かなり) @kanakanari

【僕友】「僕は蒼を見る度に、お前を思い出すよ」僕の作った料理を食べている友を見ながら、なんとなくぼくは言った。「へえ、いーたんは僕様ちゃんをそうやって思い出すんだね」もぐもぐと口を動かした後、ごくりと飲み込む。そして友は言った。「僕様ちゃんは何を見なくても、いーたんを思い出すよ」

2011-10-08 00:09:13
歌鳴(かなり) @kanakanari

【人舞】「人識くんのばーか」「唐突に罵倒すんな!」舞織の言葉に人識が振り返る。「女の子を放っておいて先に歩いていっちゃ紳士失格ですよう」「俺は人間として失格らしいが紳士だぜ?」「紳士なら、お嬢さんの手をつなぐくらいはしてみてくださいよ」「お前、つなぐ手が無いだろうがよ」「……あ」

2011-10-08 00:16:22
歌鳴(かなり) @kanakanari

【静ヴァロ】「お前、寒くないか?」秋の風が冷たくなった頃、後輩の服装を見た先輩が言った。「祖国に比較すると温暖。問題ありません。先輩こそ、寒さを知覚しませんか?」年中同じ服装の先輩に問う。「あー、少し寒いな……肉まん食ってあったまるか。お前にも奢ってやるよ」「有難く頂戴します」

2011-10-08 00:27:11
歌鳴(かなり) @kanakanari

【薫砂】「……おい」「何ですか?」イライラ。にこにこ。相反した表情が向かい合う。至近距離で。「テメェ、何のつもりだ」「何のつもりって、仕返しですけど」「何のだよ」「先日のです。自分が何したか忘れました?」にこにこと、指で唇をなぞって、示す。「僕の受けた仕打ち以上をお返ししますよ」

2011-10-08 00:37:06
歌鳴(かなり) @kanakanari

【薫砂】「砂月さんにはこの世界がどう見えてるんですか?」外した眼鏡を持ったまま、薫は問う。「ぼやけてるに決まってんだろ、眼鏡がない状態だからな」「じゃあ、僕のこともハッキリ分からないんですね」「アホか」吐き捨てるように砂月が言った。「お前の事は忘れられないほど覚えさせられてるよ」

2011-10-08 23:41:16
歌鳴(かなり) @kanakanari

【裏クラシックサンド】どうしましょう……先程から砂月くんと薫くんが睨み合って無言なままなのです。私はというと砂月くんから肩を掴まれ、薫くんから腕を引かれ、間に挟まれています。く、空気が重いです……。「あ、あのっ」「お前には」「貴方には」「「絶対渡さない」」……え、あの、えっ!?

2011-10-09 21:15:12
歌鳴(かなり) @kanakanari

【薫春】「春歌さん、知ってますか?」翔ちゃんを呼びに行こうとした春歌さんを後ろから抱き締めて、僕は言う。「双子って、好みが同じことがあるんです。勿論、違うことも少なくないですけど」ドキドキする。ねえ、貴方もドキドキしてくれますか?「なにも、好きな女性まで同じじゃなくてもいいのに」

2011-10-09 21:27:56
歌鳴(かなり) @kanakanari

【真春】「春歌さんがおねえちゃまになってくださったらいいのに」ぽつりと真衣が言った。「真衣ちゃんには素敵なお兄さんがいらっしゃるじゃないですか」「でもおねえちゃまがほしいのです」ワガママを言うなと止めようとしたら、ハルが言った。「そうですね……あと数年待ってください」「ハル!?」

2011-10-28 20:10:14
歌鳴(かなり) @kanakanari

【レン薫】「あなたは疑り深い」「それはキミもだろ?」「まあ、そうですけど」だけどボクは、あなた程ではない。あなたは違う。「でもボクは、怯えて疑うわけじゃない」「オレはそうだって?」「はい」ボクは頷く。「怖がらなくて、いいんですよ」「……そりゃどうも」苦笑は肯定。あなたは怖がりだ。

2012-03-30 20:45:57
歌鳴(かなり) @kanakanari

【トキ春】「どうしたのです?」後ろから抱き付いたわたしに、一ノ瀬さんが問いかける。「そろそろ休みましょう」「いいえ、まだここが……」「休みましょう」ぎゅっとして、わたしは言う。「一ノ瀬さんの疲労と引き換えの完成ではダメです、休んでください」頑張るあなたを、たまには引き止めさせて。

2012-03-31 22:26:43
歌鳴(かなり) @kanakanari

【HAYA春】「春歌ちゃん、ぎゅーっ!」HAYATO様がわたしを抱き締める。こんな至近距離、ドキドキです……っ。「可愛いねえ、癒されるねえ!」「そ、そんな恐れ多いです!」わたしにそのような効能は無いのでは……。ですが。「ですが、HAYATO様が疲れを癒せるのでしたら、光栄です!」

2012-03-31 22:27:26
歌鳴(かなり) @kanakanari

【音トキ】「自己嫌悪?」「はい?」音也へ問い返しながら、私は振り返る。「あ、違う。自省、かな」そうでしょ?と音也が言う。「……あなたがそのような言葉を知っているとは」「はぐらかさないでよ」「……だとしたら、何だと言うのです?」「そんなに責めなくてもいいよ、って」「……善処します」

2012-04-01 21:17:17
歌鳴(かなり) @kanakanari

【真春】「ハルの手は、魔法使いの手だな」「え?」 楽譜を記し終わった手に触れると、戸惑いの顔。「魅せられる曲を生み出し、お前自身にも魅せられる」こうするだけで、俺の鼓動がどれほど速まるのか。 お前は知っているのだろうか。 「では、真斗くんの声は魔法の声ですね」ハルが笑って言った。

2012-04-03 21:55:05
歌鳴(かなり) @kanakanari

【レン春】「神宮寺さん、次はこれを!」嬉々として楽譜を差し出してくる。「そんなに歌わせたいのかい?」「はい!」笑顔で、彼女は言う。「神宮寺さんの歌声、大好きですから!」その言葉でオレがどれほど喜ぶか、救われるか。キミは知らないんだろう?「オーケイ、歌うよ」キミのため、いくらでも。

2012-04-03 21:55:43
歌鳴(かなり) @kanakanari

【トキ春】「やっぱり一ノ瀬さんの声は素敵です!」ブースから出てすぐ、輝いた目で彼女は言った。「それは、私がHAYATOであったから、ですか?」「そんなっ、違います!」「分かっていますよ」必死な七海君の頭を撫でて、微笑む。私は知っていますよ。今は、私自身の声に魅せられていることを。

2012-04-03 21:56:15
歌鳴(かなり) @kanakanari

【砂薫】「いっそボクが、出会わなければ」薫が呟いた。「ボクが翔ちゃんへ会いに行かなければ」微かに震えた声。「寝ている那月さんを起こさなければ」揺れる視線。「あなたに出会わなければ、こんな想いは抱かなかったのに!」その言葉ごと抱き寄せる。「そんなの今更だろ」溺れたのは、二人一緒だ。

2012-04-13 00:01:48
歌鳴(かなり) @kanakanari

【翔薫】共犯なんだ。「翔ちゃん?」ボク達は。「……何だよ」俺達は。「迷ってる?」「何が」ボクの背中を這う手が、震えてる。「ボクはいいって、何度も言ってきたでしょ?」お前はいつも、俺の気持ちを察するんだな。「そうだったな」つつ、と背を撫でる指先。ボク達は。俺達は。共に沈む共犯者だ。

2012-04-13 00:03:02
歌鳴(かなり) @kanakanari

【トキ音】「あの、さ」朝食の席、音也が話し出す。「トキヤは、俺を嫌いに、なる?」音也の持つグラスの中、牛乳の水面が震えて波立つ。「……どんな夢を見たか知りませんが」救いを求めもがく程に、不安なのか。「安心しなさい。呆れはしても、嫌いはしませんよ」私が言うと、グラスを置く音がした。

2012-04-13 00:03:55
歌鳴(かなり) @kanakanari

【トキ春】「譲れないのでしょう?」「え……?」きょとんとした顔でこちらを見る七海君。「分かりますよ、あなたのことですから」楽譜を両手で持ったまま。リテイクをされた部分を気に入っていたのでしょう?「どんな小さなことでも、言ってください。あなたに嫌な思いをさせたいわけではないのです」

2012-04-17 22:04:10