速読は読書なのか? 気持ちよく本を読むために

巷では速読を推奨する本が多く並べられているけれど、はたして速読は必要なのだろうか? 本は急いで読まなくてはならないのか? そんなことを考えてみました。
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マギー @muggy_weather

先日、山村修著『増補 遅読のすすめ』 http://t.co/Qre2p98E を読んだ。速読、多読が称賛される昨今で真逆の看板を掲げ、本はゆっくり読もう! と説く。読書の快感、喜びはゆっくり読んでこそ得られると。

2011-10-16 10:45:09
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マギー @muggy_weather

『遅読のすすめ』中で紹介される速読家、多読家として立花隆がいる。彼は著書http://t.co/4zcyHhm9の中で1ページを1秒、遅くても2-3秒で読むという。300ページの文庫本を5-15分で読み切ってしまう計算だ。

2011-10-16 10:55:19
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マギー @muggy_weather

立花隆は「タイムコンシューミング」な本は読まないと言う。つまり、時間の無駄になるような本は読まない。速読できないような本、例えば全文通読が基本となるような小説は読まない。

2011-10-16 11:03:53
マギー @muggy_weather

これからの時代、人間は非常に多くの情報にさらされて生きるので、一つの情報処理端末として情報を取り込み、更新し続けなくてはならない、という意味のことを立花隆は主張する。たくさんあるから、たくさん取り込み、消費するということだ。

2011-10-16 11:28:58
マギー @muggy_weather

速読を身につけ、多読をしたいという人に尋ねたいのだけど、あなたが本を読む理由は何なのだろうか? 知識を身につけたい。情報を頭に叩き込みたい。そういう人はどんどん本を消費していいと思う。1冊を5分で読み切る読書が必要なのだろう。

2011-10-16 11:08:30
マギー @muggy_weather

読書に知識・情報以外の目的がある、すなわち読書そのものを楽しみたいなら、速読する必要はない。他者と較べて読むことが遅いと悩む必要もない。個々人で読書の快適なスピードは変わるし、基準があるわけではない。心地よいと思うスピードで読むことが、読者と本のよい関係だと思うのだ。

2011-10-16 11:16:11
マギー @muggy_weather

本を読むことは読者と本の、ひいては読者と著者のコミュニケーションである。コミュニケーションは情報収集だろうか? 僕はそうは思えない。コミュニケートする間に情報を得ることはあっても、それが唯一の目的ではないだろう。

2011-10-16 11:22:23
マギー @muggy_weather

ちょっと考えてみてほしいのだけど、本を1冊書くのにどれだけの時間がかかるだろう? 少なくとも、僕らが読む時間よりずっと多くの時間をかけて書かれているはずだ。それを5分で読み切ってしまうのは、本当に著者とコミュニケーションをしているのか疑わしいと感じてしまうのだが。

2011-10-16 11:26:13
マギー @muggy_weather

文章は細部まで著者の意図が含まれている。それは副詞の選び方のようなところにすら。「しかし」も「しかしながら」も「でも」も「だが」も。さしたる違いこそなくても、その単語を選んだ意味がある。速読していたら分からないだろう。

2011-10-16 11:52:50
マギー @muggy_weather

『いま、会いにゆきます』 http://t.co/faAsc4eH で有名な市川拓司は「最初に浮かんだ文体は捨てる」とインタビューに答えていた。最初に浮かぶのはどこかで見たことのあるからで、それは自分の文章じゃないという思いがあるのだろう。

2011-10-16 12:02:38
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マギー @muggy_weather

文章は意味が伝わればいいのではない。そのことを伝えるのにどの言葉の、どの並びがよいかを考えている。文章表面上だけではなく、言外の意味を込めることもある。そういった著者の意図をきちんと受け取ろうと思うのなら、速読なんてやめた方がいい。

2011-10-16 12:06:01
マギー @muggy_weather

僕は速読が読書だとは思わない。速読は調査だ。情報を効率よくピックアップするための手段であって、読書に伴う悦楽は得られない。今後速読を身につけようと思う人は、その差を理解した上で速読の訓練をするといいと思う。

2011-10-16 12:09:13