少年漫画と、帰るべき「日常」——『賢い犬リリエンタール』を中心に

葦原大介『賢い犬リリエンタール』完結記念。 適当に検索かけて過去発言を拾った自分用まとめ。 少年漫画(週刊少年ジャンプ)についてはよく書いてますが 結局、私の好きな作品の傾向というのは限られていて 続きを読む
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岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

年齢高い大人たちにどんなに絶賛されててもいつかは打ち切られてしまいそう、それでも今週も平穏に「賢い犬リリエンタール」が載ってることを神に感謝する。あぁ、強盗紳士とローライズロンリーロン毛、たまらない……やっぱり「トリガーキーパー」でなくてよかったんだな連載は、と噛みしめている。

2009-11-22 10:37:51
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

今週号のチェス勝負におけるリリエンタールの往生際の悪さが、まるで週末の将棋オフにおける私である件。そういえば二歩で引き分けた紳士が「別に勝ちたくなくなってきた」とか言ってた。それにしても「自分で勝って、みんなでおうちにすむのです!」……『みえるひと』といい、こういう台詞が大好き!

2009-12-02 02:49:36
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

しつこいようだけど『みえるひと』『PSYREN』で描かれる思想、『ネウロ』『保健室』『リリエンタール』にも感じ、『逢魔ヶ刻』を連載化して欲しい理由……「自分で勝って、皆で一緒におうちに帰る」が大好きだ。「俺にとっては全身全霊かけて守る価値がある」、平穏な日常を獲得するための戦い。

2009-12-18 05:18:16
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

.@00oo00oo00oo マジレス多謝! 大人になった今もWJ読み続けてるのは、どんな異能力バトルも「ありうべき場所に還る」ための非日常と描かれるからです。児童文学のテンプレでもありますよね。子供読者を血湧き肉躍らせた後で「普通の暮らしの大切さ」を感じさせる作品が、私は好き。

2009-12-19 16:08:43
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

(承前)それを作品の軸として一番露骨に描いてるように思える「みえるひと」「PSYREN」が、私は好きだ。「銀魂」の日常パートが支持されるのも、「BLEACH」「リボーン」の戦闘長期化(=本来の目的から遠のく)がダルいのも、根は同じと思う。あと、オチで必ず派出所に戻ってくる両さん。

2009-12-19 16:16:51
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

(承前)部活系スポーツ漫画でも、同じだ。「テニスの王子様」くらい非日常だと「早く戻って来ーいwww」とか思いながら決着が気になって読んじゃう。私は「P2!」「フープメン」が大好きだったけど、いずれも主人公が異能者というより努力家。その成果がぴったりの場所に「丸く収まる」までの話。

2009-12-19 16:24:08
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

(承前)「ネウロ」「トリコ」が「食べるために戦う」のも非常にわかりやすい。化け物のネウロが魔界の「普通」を説くシーンにも意味があり、魔人に依存しつつも最後まで日常を望みそこに還った弥子が迎えるあのラストは、圧巻。今「ぬら孫」に心配しているのは、このまま昼リクオが消えちゃうことだ。

2009-12-19 16:31:53
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

(承前)そして……今からとても恐ろしい話をしますが……この俺的WJ論、唯一の例外が、そう「ONE PIECE」なのです!! 麦わらのルフィは、冒険のためだけに冒険している。立ち寄った島々で弱きを助けて「日常に戻」したりするけど、海賊たちは、つねにその数多の人の「日常」の外にいる。

2009-12-19 16:35:23
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

(承前)そう「ONE PIECE」だけは、日常の外を進み続ける、地に足付けずに海の上で、ふらふらと夢みたいな財宝を探して。「独白しない」主人公ルフィは、捉えどころのない、それゆえに絶対的なヒーローである。少年漫画の枠組みから、ややメタな位置にある。きっと、尾田先生の計算のうちに。

2009-12-19 16:39:28
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

(承前)「保健室の死神」「リリエンタール」の共通点は主人公が「早く人間になりたい」ところ、だと思う。病魔のない世を願いつつ病魔を治すこと(だけ?)で生きるハデス先生、日野家の「おとうと」になるべく、刺客が来ようが来まいが毎日を頑張って生きるリリエンタール。ありうべき日常を望む話。

2009-12-19 16:48:30
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

(承前)「あねどきっ」もそうだと……思ってたんですけどね。知らない女と暮らす非日常にドキドキしながらも同級生の奏ちゃんとうまくいって、劇画オバQみたいになつきが消えるエンドだと思ってた。でも今の展開は安部公房みたいになっちゃってるもんな……。嗚呼こーちゃんを日常に返してあげたい。

2009-12-19 16:52:16
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

(承前)この「俺的WJ論」はできれば好きな作品を肯定するときだけ使いたいのであるが……。たとえば、喧嘩のための喧嘩の片手間に、自分がガキのくせにさらに小さなガキを育てる「べるぜバブ」などは、ゴールが見えないし共感もできない。自分をもう大人だと思ってる10代は、面白く読めるのかな?

2009-12-19 16:59:30
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

「みえるひと」の不人気と「べるぜバブ」の人気は、表裏一体だと思って読んでいる。異能を持て余す喧嘩ジャンキー、善悪も考えないバカな高校生、久能冬悟と男鹿辰巳。主人公は、まったく同じだ。だけど冬悟は黒明神に拾われて、立派な案内屋に「育ててもらった」、そしてその跡を継ぐことを決意した。

2009-12-19 17:05:40
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

続)かたや男鹿は、魔界から来た赤ん坊を自分が「育てる」という。……いや、待て待て!! おまえ……これが岩代漫画なら、澪姐さんと祭先生にボコ殴りにされてから雪乃ママとフブキ姉さんの説教が待ってるぞ。一兆師匠とエルモア様に預けられて、ベル坊と一緒におまえが育てなおされるよ、ゼロから。

2009-12-19 17:09:36
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

続)なんだろう……大好きな「フープメン」に競り勝った「黒子のバスケ」は、まぁ恨み骨髄ではあるけれど、それでも普通に読める。しかし「べるぜバブ」だけは、こんなに人気なのが納得いかない。岩代アシ出身の田村先生に勝手に妙な期待を寄せすぎたのが悪い? 「ねこわっぱ」もがっかりだしなー。

2009-12-19 17:14:42
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

続)私は本当に冬悟が好きなんだよ。だって、自分も勇一郎さんみたいな人間になりたいし。そこを目指して足掻き続ける、生者(元ヤン・23歳)の冬悟が大好きだ。夜科アゲハの場合は、16歳時点から丁寧に丁寧に、独りのバカが「冬悟みたいに」育っていく過程が描かれ、こちらもかわいくてたまらん。

2009-12-19 17:27:41
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

いろいろ自己分析したけど結局、少年漫画における「日常」にここまでこだわるのは、やはり最初に好きになったのが「聖闘士星矢」だからだろう。世界大戦が次々起こる時代、親の都合で強制的に戦士として育てられた星矢たちは、死ぬまで休めないし、還る場所もない。(総大将の沙織さんが嘆くほどに!)

2009-12-19 17:59:16
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

続)だから小学生のとき「星矢」のやおいアンソロジーを読んで心底衝撃を受けた点は、男同士が素で恋愛している異様な光景ではなく、「本編では絶対に描かれることのない『平穏な日常』」がじつに幸福に描かれている点だった。だって原作はろくに寝食するシーンもないんだよ、教皇が風呂入るばかりで!

2009-12-19 18:03:38
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

続)そうか、夢中になって読んでる彼らが、血まみれの命懸けになって守った「地上の平和」を取り戻した後それぞれどうなるか、私は何も知らないのだ! と衝撃を受けた。とくに、シベリアも五老峰もなく兄も失った瞬は、東京でどう生活するのだろうかと。星矢は平気で城戸家に居候し続けそうだけどな。

2009-12-19 18:08:58
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

続)そう気づいてから星矢のやおい同人誌を読むと、氷河とアイザックが猛吹雪の中で修行して死にかけた後けろりとカミュ先生のボルシチ食って、マーマと同じ味がするから明日も頑張れる、とかそんな漫画が満載で、ああ「日常」って大事だなぁ、と思ったものですよ……。(ここまでの要約:腐女子乙)

2009-12-19 18:14:16
そしお @sociophonic

.@okadaic 僕は別の観点から見た少年漫画の「日常」が好きで、その原点が藤子F先生の「21えもん」なんです。先生曰く、SFによくある「日常の中の非日常」ではなく、その対極の「非日常の中の日常」を描こうと意欲的な作品だったそうです。だから今でも僕はそれ系の作品が好きですねー。

2009-12-19 18:18:11
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

.@sociophonic 「日常」という意味では一緒では? たとえばドラえもん本編は「非日常な存在と同居する『日常』」を描いていて、大長編ドラえもんは「一時的に非日常に行って『日常』に帰ってくる」(ただしその日常は、非日常と同居する生活ww)ですよね。私も21エモン大好きです。

2009-12-19 18:22:52
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

.@sociophonic あらすじが「〜〜たちの何気ない日常を描く」で終わる話の、「〜〜」部分が荒唐無稽であればあるほど好きなのかもしれないな。逆に、F先生に教育されたおかげで、いわゆる萌え系というのか前置きナシにただ「日常、描きました」で終わっちゃう作品が食い足りないのか?

2009-12-19 18:29:16
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

なるほど、見えて来た。やっぱり私は、星矢本編があんな内容だったからこそ、山もオチも意味もない二次創作の同人誌で、物足りなさを補完したのだろう。昨今の、本編もなく突然同人誌めいた内容から始めるような商業漫画(昔「据え膳の萌え」と書いた類いのもの)が苦手な理由にもつながるなぁ。

2009-12-19 18:34:18
岡田育🍥『我は、おばさん』 @okadaic

椎名先生なんか超クレバーかつ常時メタ視点だから、少年漫画である「絶対可憐チルドレン」でのうのうと、主人公たちに反する社会勢力を「普通の人々」なんて命名しちゃうのだよね。まぁ、あまり深く描けないからバベルvsパンドラのエスパー合戦に切り換えたのだろうが、あっちをもっと読みたかった。

2009-12-19 18:39:26