2022 VOCALOID & UTAU 10 BEST SONGS

KAITOの電子的voice、久しぶりに摂取できた気がする。
展開の読めなさ、狂うリズム、走るノイズ、重なる声と声。不気味と不愉快をギリギリの塩梅で調合して、「此の世ならざるファンタジー」のテイストとして纏め上げている。

MVは断然、古今東西の神話も妖怪もぞろ歩くこちらのversionが好き。「百鬼夜行」がこの曲の最大のキーワードだと思っているから！
低音でやや幽鬼を想起させる出だしからの、打って変わって勇ましいとまで言えるようなマーチへ。サビで行進曲に変化しつつ「百鬼夜行」出してくるんだから負けましたよね。

circusPの歌詞の過不足の無さは毎度見事。テーマを据え、適度に韻を踏み、自然にメロディラインに乗せる。
太陽の女神に相応しい力強いvoiceに惚れ惚れする。

第一声の「あー」、吹き鳴らされる喇叭の音と絡んでめちゃくちゃ効果的なスタートになってて卑怯よなぁ。自暴自棄ゆえの不安定さと鬱屈も孕んでいるのに、震えが絶妙にセクシーでもある。
flower・歌愛ユキ・初音ミク・結月ゆかり…様々なライブラリが代わる代わる、各々のテンションで呟いたり歌ったり叫んだりしていく。それぞれの主張を聴き分けるのも愉しい。

決して激しいテンポではない、むしろゆったりめの曲調がメインなのに、開始からずっと身構えてしまう音作り。歌詞というか言葉遣いは素直な語り口（子どもの思考のよう）なのに、音がずっと落ち着かせてくれない。次に来る音がこれまでと違う色をしているのは実にスリリング。

イントロで「オッケー好きでーす」と安易に好きになれた一曲。
ユキちゃんの割には声がパキッとしている方（単純に速め）で、お得意のアンニュイさは殆ど含まない。しかし低い箇所の掠れがユキちゃんにマッチしている。

悔しいことにイラストで引っ張られた。意思の欠けた虚ろな凝視でぐりっと一睨みされたのだった。
どこが一番好きかを己に問うてみたが、多分歌い出しの数秒前のドラムかなぁ。サビでも入ってる。
「君が欲しい」と繰り返すパートもutauの良さが出てる。いっそ耳障りなくらいにキンキンと甲高い声がいいんです。私の中で、それは切実さとして受け取られる。

ミニマリズムは退屈とせめぎ合わなければならない。以上。