ツイッターADV『神魔は破獄の刃となりて』(『魔王と巫女の重奏譚』改題)
- kazamaturi_siki
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【136-B】 四人のうち一人が、シヴィルに斃された死霊術師ゼルゼレイ。 残る三人が―― 『長身の、やたら綺麗な顔をした男と、仮面で顔を隠した女―― そして、子供だ』 『優男は、ロレルナン。 仮面の女は、ダミアと名乗っていた。 で、ガキの方は―― アインフェルド様、とか呼ばれていたな』 pic.twitter.com/b3ESDzpdrT
2023-04-01 16:02:27【136-C】 (話を聞く限りでは、風貌はあの頃の奴とはまるで違うようだ。 だが、ダセスから来たという話と、同じアインフェルドの名を名乗り、七将の一人でもあったゼルゼレイを従えていたとあれば、無関係ではあるまい。 それが今や主無きはずのダセスの城主を名乗っているとあれば、尚更だ) pic.twitter.com/2fP5P4RPqq
2023-04-01 16:14:53【136-D】 魔王は、トレンティスに尋ねた。 「その城主とやらは何者なのだ?」 「あなた様同様、我ら上位精霊をも従える力と、慈悲深さをお持ちのお方です。 ただ――あなた様の問いといえど、私からあの方について詳しく申し上げることはできません」 「奴の強制(ギアス)を受けているのか?」 pic.twitter.com/rZBjTSUKnn
2023-04-01 16:28:59【136-E】 「いえ――」 森を統べる上位精霊たるその存在は、まるで乙女のように目を伏せると、 「単なる、恩義の故にございます」 「……ほう。 貴様ら精霊どもにも、恩だの情だのというものがあるのか」 それも、主と認めたはずの者の命に、自らの意志で逆らうほどの。
2023-04-01 16:36:16【137-A】#ツイッターADV .「――まあ良い。 直接奴に逢えば済む話だ」 トレンティスからはこれ以上、興味を引く話は聞けそうにない。 そう判断した魔王は、自らに逆らった精霊を咎めることもなく、改めて命じた。 「では、『森の女主人』よ。 我が城、ダセスへの道を開け」 pic.twitter.com/k7NMUSN8Ja
2023-04-02 18:23:27【137-B】 「御心のままに」 そう応える精霊の言葉には、魔王があえて詮索をしなかったことへの安堵と、感謝の響きがあった。 「あちらにございます」 精霊の指し示す先を見ると、地響きと共に―― 木々の狭間にむき出しになっていた岩盤に、奥へと進む道が穿たれた。 pic.twitter.com/Sg8I2g4zjl
2023-04-02 18:34:25【137-C】 「おお……!」 「なるほど、いくら森の中を彷徨っても、出る道が見つからねえわけだぜ」 背後でシヴィルの様子を見守っていたリンディとヴァレスも、その様子を目の当たりにして呟く。 《交代だ、後は任せる》 魔王は再びシヴィルにそう告げると、あっさりと沈黙した。 pic.twitter.com/BBEbuRTqvT
2023-04-02 18:46:51【137-D】 「ありがとう、トレンティス」 丁寧に礼を述べるシヴィルに、トレンティスは再び変化を悟って、 「やはり、あなた様は――」 そう言葉にしかけて、続く言葉を飲み込む。 詮索をしないでいてくれた魔王への、それは彼女なりの感謝でもあった。 「――いえ。 ご幸運を、お祈りいたします」 pic.twitter.com/tK5w4GL3j1
2023-04-02 18:53:06【137-E】 そして、その姿が光の粒子となって、森の中へと溶け込むように消え去ると、シヴィルは二人に向き直った。 「では、行きましょう。 この道の先が、ダセス城のはずです」 ヴァレスが頷く。 一方、リンディは何か言いたげに、じっとシヴィルを見つめていた。 「のう、我が友シヴィルよ」
2023-04-02 19:06:39