100本ノック

モチベを上げるために、ツイッタSS100本書きます。ルールは必ず140字以内、同じ場面を2つに別けるの禁止、以前出したネタからは一日二件までしか書いてはいけない。目指せ一月以内。
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薄花(ハッカ) @chiguro

@null 心臓が止まってしまっても、すぐ体が死んでしまうわけじゃないわ。呼吸が止まれば脳は数分で死ぬけれど、細胞や血液の中に溶けた酸素が数時間は臓器を生かしてくれる。筋や皮膚が完全に死んでしまうにはもっと時間があるわ。それなら、人が本当に死んでしまうのってどこからなのかしら。

2011-10-14 17:58:07
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 「それで、君はどちら?」 わざとらしく一拍、威嚇するように間をおいてから、グロッシュは口を開く。「俺がそのどっちかだったとして、俺の外側から見てるお前は、どっちだか判るわけ?」「わからないだろうね」「じゃあ、聞くだけ無駄じゃねぇ?」「そうかもしれない」

2011-10-14 18:26:06
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 「どうぞ、ご下知を」下命を請うというよりは、脅迫するような言葉だった。優しい選択より、狡い選択より、真っ向から正しい選択をするのが貴方の誠意でしょう。だから貴方は惜しんでも迷ってもいけない。俺もこんな所で惜しまれる事なんて望んでいない。 SQ/死地に臨みて

2011-10-14 23:02:30
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 平気なの、細く開けた戸の隙間から声を掛けるけれど、小さなソファの上に蹲った影はぴくりとも動かない。止めとけ、と後ろから窘められて、私は渋々戸を閉じる。サイキック達の鋭敏な感覚には、ドラゴンとの戦いはまるで嵐のようなのだという。/720/hypersensitivity

2011-10-14 23:48:19
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 眼下に広がる花の大地は、瘴気を宿して暗く霞む。破れた硝子を踏んで、彼女は赤い鉄塔の骨組みに立った。「ここから飛び降りたの。二人で」私は母さんに連れていってもらえなかった。そう言った彼女の言葉を、そのまま信じ込んでいた。一緒に行きたかったよ、異能を持て余して彼女は笑う。

2011-10-15 20:03:15
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 掌の上で、石の薔薇をころりと転がす。あれは本当の事だろうか?ウイスキィの瓶に捕まえられた小さな人魚の話、砂漠で出来る石の薔薇の話、樹の天辺に引っかかった空飛ぶお城……夢見がちな話を弾き語った吟遊詩人は、それでも確かに彼の掌にこの薔薇を残した。 SQ/いつか来る未来

2011-10-16 00:57:15
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 半身が魂獣でも、既存の魂獣と人間を融合させたのと、人と魂獣の混血として生まれ落ちた俺とでは、やはり事情が違うらしい。歳を取るにつれ魂獣の部分が増えていった俺は結局殆ど人ではなくなってしまったけれど、麗雅は違ったらしかった。「行くぞ、イヅナ」喪服を纏って俺は部屋を出る。

2011-10-16 16:11:05
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 強要はしません、と彼女は言った。危険ばかり大きく、成功しても巷間に公開できない以上我々の名誉にもなりません。成せるかすら判らない。けれど私はあれを倒さなければならない。得る物も見返りもない、それでも必死にならなければならない。私のしようとしていることはそういう事です。

2011-10-16 16:33:30
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 私に言わせれば、世間一般はタンパク質に夢見過ぎなのよ。電気が通るのが神経でも金属糸でも、自我が宿るのが金属版でも油とタンパク質と水の固まりでも一緒でしょ?要は複雑さの問題よ。ココロがあるとかないとかわけわかんない。そんなにお肉の塊が特別?SQ海都ギルド/夢見る半導体

2011-10-16 16:58:04
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 忌々しい魚の歯が抉った傷は、毒でも噴いたように酷く鬱血して黒い。「呪いだよ。わたしがやるのと同じさ。害意の流れを堰き止める、曲げる、方向を変えてやる。そうして己の敵意が己を傷つけるよう仕向ける」気をつけな、女は語る。何かを攻撃するってのはね、今のあんたにゃ命取りだ。

2011-10-17 23:19:33
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 泣きたいのはこっちの方だ。些細な言葉さえ受け入れられないことに傷ついて、傷つくくらいには期待していた自分にうんざりして、幾度も信じるのは今のが最後だと誓って。でもこのぬるい頭は忘れた頃に同じように傷つく。あそこから離れれば楽になるのか、けどそんな手段は持っていない。

2011-10-17 23:41:54
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 軽く応じたのは、この辺りでは見ない装束のルシェの男だ。もっとも、今はどこにでもあるような軽装で随分と砕けた雰囲気だったが、短剣を下げた腰帯は外していない。冗談を口にし、器用に獣を捌いてみせる彼は、けれどそういう隙の無い人物だというのが、むつはが彼から得た印象だった。

2011-10-18 00:32:06
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 声は殺すものです。ただの一言も、唇から漏らしてはなりません。吐息すら呑み込んで、息を殺して潜むのが役目です。断末魔も嘆きの悲鳴も、圧し殺して耐えるのが我々です。ですから忍に声など要らないのです。あなたを想うための声など。 SQ海都ギルド/沈黙の季節

2011-10-18 22:46:31
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 女の子にしては肉のない指は、骨の形がそのまま浮き出て、少し節が目立つ。爪も揃えてあるだけで磨いた様子もないし、逞しくも嫋でもない腕はうっすら日に焼けている。私の理想の白皙のお姫様とは程遠い。それでも彼女は、私たちの大事な友達だったはずなの。 pbw/"エリシャ"

2011-10-21 14:40:49
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 「私は毎日、ああしておけば、なんて言わないよう生きてるから。後悔なんてしない」その時は、その言葉の意味を深くは考えなかった。「可哀想ってのは筋違いだぞ」低く感情を抑えた声がする。「あいつは納得してやった。勿体無いも、悲しいもアリだ。でも可哀想ってのはあいつに失礼だ」

2011-10-21 16:42:25
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 「油?」「ええ。燃えれば何でもいいので、シルエラを呼んでも良かったんですけど」「燃やすの?」「そういう命令なんです。このままにしておくと、他のドラゴンが食いに来るから」ふぅん、とパドラは伏した巨体を見上げる。人さえ地に還るというのに、皮肉にも彼等は煙と天へ帰る。

2011-10-22 01:59:19
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 「私は殺してやりたいって思ったことがあるもの。ドラゴンじゃない、人をよ」傲岸に宣言すれば、男はやはり眉を顰めた。「誇ることか?」「ええ」強い視線が交わる。「人を殺したいと思ったことがない、そう思えるまで人に関わろうとしない貴方よりは、ずっと誇らしいと、私は思うわ」

2011-10-22 13:12:39
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 清められていた通路は、激戦の跡も生々しく荒れ果ててしまっている。穴の開いた壁に背中を預けて、ナユタは一つ息を吐いた。「……ごめんなさい、って言わなくてはね」結局負けてしまったのだもの。夫の怒ったような不機嫌な顔は、けれど実は困った顔でもあることを、ナユタは知っている。

2011-10-22 23:26:19
薄花(ハッカ) @chiguro

「俺は女の子のカレンだって好きだよ」「おじさんはロリコン?」「何処で覚えてくるかなぁ、おじさんはちゃんと大人の女の人が好きです」「じゃあどんな風に好きなんですか?」「今みたいに無理しないで、髪を伸ばして、お洒落をして、そういうカレンでも俺は嫌いにならないし、馬鹿にしたりしないよ」

2011-10-22 23:42:56
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 生き物は貪欲だ。いつも何かを欲しがって、足りないなら埋めようとする。獲物にしていたドラゴンが消えて、人や動物を狩らないでも充ちる生活は、神様とやらには退屈極まりなかったらしい。「俺のもんだ、好きにさせろよ」同じ声、同じ口調、同じ姿で、唯一眼に宿る光だけ変えてそれは言う

2011-10-23 15:22:44
薄花(ハッカ) @chiguro

@null 治ればいいと僕も思うよ。素敵だ。僕等の目指すのはそこだからね。僕等の作るもので、治ればいいとは思うよ。でも、治すのは僕じゃない。それを使って治してあげるのは、僕等じゃない。君でしょ? /未定/隠者の微笑み

2011-10-23 15:00:49