三国志こばなし集 2023年2月号

三国志こばなし集 @omikanboy3594

諸葛瑾「近隣に住まう山越の民が、子供たちを遊ばせるための施設を作ったそうです」 厳畯「どのような施設ですか？」 諸「色々な遊具が設置されており、子供たちの運動能力を伸ばす目的がある施設だとか」 歩騭「それは良い施設ですな」 闞沢「我らで視察に行きませんか？」 諸「そうしましょう！」

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厳「…」 諸「なかなかに険しい山道ですな」 闞「休憩しますか？」 歩「ついつい楽しみになって歩調が早くなってしまいまして」 厳「大丈夫です…」 諸(そういえば尋常ならざるタフネスの持ち主だったな、この二人) 闞「着きましたよ！」 歩「これは見事な！」 諸「私ですら遊びたくなってきました！」

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闞「大丈夫ですか、厳畯殿？」 厳「大丈夫たるもの、大丈夫ではないとは言えますまい」 歩「確かに」 諸「あの馬を模した遊具が楽しいですよ」 厳「…あれなら私でも」 闞「自発的に苦手の克服をされに行かれるとは」 歩「さすが厳畯殿」 厳「いざ！」 諸「…」 厳「！」 闞(ものすごい勢いで前後に…)

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諸葛瑾…あの厳畯殿がこんなにはしゃぐとは… 厳畯…馬の遊具が楽しすぎてフルパワーで遊んだ結果、勢い余って落馬。 闞沢…山越アスレチック上級コースを汗ひとつかかずにクリア。 歩騭…いかにも殿が好きそうな施設ですな。

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孫権「孫呉大運動会最後の種目は武官文官対抗リレーだ」 谷利「文官に勝ち目があるのですか？」 孫「やつらをあまり侮らないほうがいいぞ」 谷「それは？」 孫「寒門出ゆえのタフネス自慢闞沢が序盤の長距離を走る」 谷「…」 孫「器用な歩騭が中盤の舟を漕ぎ…」 谷「…」 孫「アンカーはあの虞翻だ」

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谷「虞翻殿…」 孫「あのクソ忌々しいほど綺麗なフォームであの瞬足だからな」 谷「そんな人がなぜ学者なんですか？」 孫「私もそう思う」 谷「武官チームは誰ですか？」 孫「長距離が賀斉、舟が凌統、アンカーが甘寧だ」 谷「舟からアンカーのバトンの受け渡しが心配です」 孫「呂蒙を配置してある」

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孫「闞沢が賀斉より先に長距離を走り切るとは」 谷「派手すぎる衣装が邪魔だったのでは？」 孫「しかし操船は凌統に分があるな」 谷「みるみる追いついてます！」 孫「課題のバトンタッチだが…」 谷「甘寧殿がなにか叫んでます」 孫「また何か余計なこと言ったな…」 谷「呂蒙殿が飛び出しました！」

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孫権…走る前の虞翻の失言にブチギレて、剣を抜きながら追いかけた。 谷利…劉基殿がいてくれて良かった… 闞沢…寒門時代の農作業や人夫仕事で鍛えられた強靭な足腰とスタミナを持っている。 歩騭…戦も学問も操船も色々できる器用な男。 虞翻…孫権に追いかけられながらゴールテープを切った。

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賀斉…派手派手衣装で山岳コースを走ったので、袖のヒラヒラが木に引っかかって悪戦苦闘。 凌統…呉軍で一番舟を漕ぐのが速い。案の定甘寧に揶揄われて大喧嘩。 甘寧…凌統と喧嘩しながら走らざるを得ず二着。一番乗りとはいかなかった。 呂蒙…力は強いのだが、二人より足が遅くて役立たずだった。

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孫権「…頭が痛い」 周泰「それは…あれだけ…飲まれていましたので」 孫「昨日はほどほどで止めるつもりだったんだがなぁ」 谷利「それで大変申し上げにくいのですが…」 孫「またなんか言ってたのか!?」 周「…これでもかというほど」 谷「どうすればあんな薄い酒を記憶をなくすほど飲めるのです？」

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孫「…私が定めた掟だ。謹んで聞こう」 周「…」 谷「それでは申し上げます」 孫「…」 谷「昨日の酒宴での今日のノーカン」 孫「何を言ったのやら」 谷「張昭爺！家に火つけられてえか！」 孫「…」 谷「陸遜！張昭の家に火攻めだ！」 孫「…」 谷「虞翻。貴様社会的に惨殺するぞ」 孫「虞翻はいい」

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谷「次の紙に」 孫「まだあるのか！」 谷「朱然！お前より私のせがれの方がよほど大きいな！」 孫「どっちの意味で言ったのだ」 谷「諸葛瑾！驢馬として兵糧を運んでこい！」 周「…」 孫「なんと言ってよいか」 谷「…」 孫「これ言われたらたまったもんじゃないな」 谷「ご主君が言われたことです」

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孫権…それはそれとして、全部ノーカンだからな。 周泰…言われた者は…そうは思いません… 谷利…記録係がこれでも記録しきれてないのがタチ悪いですよ？

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李典「張遼殿が意気消沈して帰ってこられてな」 楽進「なにごとだ？」 温恢「なんでも、丞相の企画のせいで、泣いている子供たちを黙らせるどころか大泣きさせる地獄を見せてしまったらしく」 楽「なんと」 温「謝罪しに行こうとした丞相を本気で睨んで黙らせてしまったと」 楽「丞相を黙らせたのか」

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温「張遼殿はどうしていた？」 李「一人城壁でしょんぼりしています」 楽「我らで励ましに行くぞ！」 張遼「…」 楽「張遼！」 張「…合肥の皆」 李(張遼殿は、なに食べてるんです？) 温(おそらく城に埋め込んで備蓄していた干し魚かと) 楽「そんな堅い所に座ってないで、この筵で我らと座らんか！」

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張「…」 李(この筵は？) 温(劉馥殿ストックから持ってきました) 楽「…辺りが暗くなってきたな」 温「お任せあれ」 李「魚油まですぐに出てくるとは」 温「劉馥殿による成果の一つ、魚油タンクです」 張「…食べたければこの干物を食うといい」 温「…お気持ちはありがたいですが、城の備蓄ですので」

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張遼…一人でしょんぼりしながら城の備蓄のスルメを食べつつ夕陽を見ていた。 李典…丞相の悪ふざけも大概にしていただかないと… 楽進…魚油タンクがあるならば、酒タンクはないのか？ 温恢…禁酒令が出たら一発アウトなので絶対に作りません。 劉馥…合肥のレジェンド。張遼と匹敵するバグ行政官。

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陳登「今日も今日とて鱠が美味い」 陳矯「あれだけ華佗先生に止めろと言われたのに…」 登「こればかりは仕方ない」 矯「華佗先生がいなければ亡くなってましたよ？」 登「たしか、三年後に再発するんだったな」 矯「それが分かっているなら、なぜなおも食べ続けるのですか」 登「対策を考えたからだ」

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矯「対策？」 登「華佗殿が三年後に都合よく私を治療しに来れると思うほど、私はバカではない」 矯「…」 登「よって私なりに対策を考えたのだ」 矯「それは？」 登「見て驚け」 矯「なんですかこれは!?」 登「私が華佗殿にしこたま吐かせてもらった時に出てきた虫だが？」 矯「あんた何考えてんだ？」

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登「毒を以て毒を制すというだろう」 矯「キモいからさっさとしまってください」 登「だから虫を以て虫を制す策を思いついたのだ」 矯「近づけんな！」 登「再発するまでこの虫を養い、私の忠義の臣とし」 矯「もういいです」 登「再発した時にこの虫を飲み、私の胃の虫を駆逐させるのだ！」 矯「…」

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陳登…名前もつけてみたら愛着も湧いてきたのだ。 陳矯…二度と私に見せつけないでくださいね。

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劉備「おい、孔明」 孔明「はい」 劉「お前と嫁さんは、兵器やらからくりを作ったりするのが大得意なんだよな」 孔「私たちの自慢です」 劉「ちょいと俺のネタがあるんだが、聞いてもらえねえか？」 孔「殿のアイデアでしたら、妻と一緒に聞かせてください」 劉「よしきた！」 黄月英「遅参しました」

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劉「俺がガキの頃、筵だとか草鞋だとか売ってたのは知ってるな？」 孔「ええ」 黄「それで貧しい暮らしをされていたと…」 劉「その辺が実はちょいと違うんだ、月英ちゃん」 黄「それは？」 劉「考えてみろよ。筵と草鞋売りだぜ？」 黄「はい」 劉「どんなに貧しい奴だって、持ってないと困る代物だ」

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孔「つまり生活必需品としての需要は決して途絶えることは無く」 黄「安定的な供給さえできれば、生活に困らない収入を容易に得られたわけですね！」 劉「ご名答！」 孔「なるほど」 劉「だから俺は筵と草鞋の質の良さを武器に、高〜く売るようにしてたのさ」 黄「それで儲けたお金は？」 劉「内緒だ」

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劉備…そこで儲けた銭を元手に馬買ったり雲長や益徳と飲んだもんさ。 孔明…劉備考案の寝具を製作中。 黄月英…劉備考案の新しいタイプの草鞋を製作中。