30MMNOG(2)

かがち @Kagachi10202014

#30MMNOG #30MMNOG幕間 【くくるびた】 現在はあるカップルの結婚式が行われ、賑々しい祝賀ムードに包まれている。 そんな中、まるで身を隠すように乗船する者があった。 憔悴した跡を未だ残すイヴェリアが、こっそりと自室へと戻っていく。 pic.twitter.com/Das5cNLKGR

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かがち @Kagachi10202014

レイオットはグラドリーが預かり、医療設備のしっかりした病院で集中的に治療するそうだ。 エーメのような力があればとも思うが、それは無い物ねだりと言うものだろう。 自らの無力さが嫌になる。 重い身体を引きずるようにベッドに倒れ込む。 疲労しているのに眠れない。

かがち @Kagachi10202014

地球に返されてしまったが、帰ってきたくなかった。 あの宙域でまだ何か出来たのではなかったか。何か手がかりが見つけられるのではないか。 義母の亡骸くらい見つけられたのではないか ゾッとするその一言に眠りかけた意識が飛び起きる。 見開いた視線の先に、チカチカと光るサインが見えた。

かがち @Kagachi10202014

どこからかメールが来ているらしかった。 のろのろと起き上がり、端末を起動する。 一件、新着があるようだ。 『【くくるびた】イヴェリア様宛』 その一言がタイトル。 一応ここに届いていると言うことは、ウィルスなどは仕込まれていないだろう。 ぼんやりとメールを開き、内容を流し読みする。

かがち @Kagachi10202014

差出人に心当たりはない。 だが、内容を読むにいたりイヴの目が大きく開かれ、爛々と燃え盛った。 『御母堂は地球にてお預かりしております。現在は治療中にて、ご安心ください』 ご丁寧に施設の座標までが記載されている。 地球に？なぜ？それよりなぜ自分に報せが？

かがち @Kagachi10202014

迎えに行かなくては。 どうやって？ キャスパルクは先日のサノォ達の襲撃の際に無茶をしたせいでまだ直っていない。 どうする、どうしたらいい。 何かないか、何か。 ……グリムヒルドなら？ 整備は終わったろうか？ 気ばかりが焦り、目眩すら覚える。

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携帯端末を手に、イヴが部屋を飛び出した…… pic.twitter.com/zTGSGQDp2O

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#30MMNOG 飛び出して、真っ先に走った先は格納庫だ。 あそこにはEXMがある。 もしかしたらグリムヒルドやキャスパルクも戻ってきてるかもしれない。 ひたすらに走り、辺りを見回す。 …ない。見慣れた機体は、どちらもない。 焦燥感に苛立ち、つい壁を叩く。 吐き気がする。義母さんが待ってるのに。 twitter.com/kuuri20102014/…

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「……ビックリした。 なんです、急に大きな音を出して」 突然、頭上からそんな声がかけられた。 振り仰ぐと、ポルタノヴァのコクピットから顔を出している人影が見えた。 「どうかしたんですか？ 何かお困りのご様子。 よろしければ事情を聞かせてもらえます？」 pic.twitter.com/s5aDdEpaOB

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「………なるほど。お義母様が」 ペンとノートを手にイヴが事情を説明する。 かなり時間がかかったが、どうやらわかってもらえたようだ。 「どうです、もしよかったらこのポルタノヴァを使いませんか？」 ノーマルのポルタヴァを指差してその人物は提案してきた。 pic.twitter.com/T0GvCAT34w

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「ノーマルの物ですが、その座標へ向かうだけなら問題ないでしょう。 私は次の停泊先で別の機体を受領しますし、処分に困ってたんですよ」 役立ててもらえるなら幸いです、と笑う彼女に、イヴが何度も頷いた。 「決まりですね。 では、これは起動キーです。 お義母様、会えるといいですね」 pic.twitter.com/uly6lCd6I0

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何度も何度も頭を下げ、イヴがポルタヴァへと乗り込む。 元の持ち主が手動でハッチを開け、色彩の少女を乗せたその機体は、一気にスラスターで加速、目指す座標へと向かっていった……。 pic.twitter.com/31hXw28K1d

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#30MMNOG #30MMNOG幕間 『…【アクリス】』 「どうした？【シエンピエス】」 施設の中で作業補助をしていた【アクリス】が、インカム越しの仲間の声に顔を上げた。 『魚が掛かりました。ポルタヴァが例の座標に向かっています』 「間違いなく【魔女】かね？」 『98.52%の確率で。 仕掛けますか？』 twitter.com/kuuri20102014/… pic.twitter.com/jaAU9vcYJt

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「……そうだな。近くに集落があったろう。あの辺りで仕掛けてくれ。撃墜する必要はない。航行不能になる程度のちょっとしたマシントラブルで構わんよ」 『了解。しかし、こんな事が【魔女】の排除に繋がるのですか？』 「たかがまだ十五、六の小娘だ。 弱ってる今、揺さぶってやれば呆気ないものさ」

かがち @Kagachi10202014

『そんなものですか。 ここで間違いなく落としておく方が安全と考えますが…【アクリス】がそう言うならば』 そうして、電異の世界に潜る。 このご時世、ネットワークからまったくの無縁でいられるものは少ない。 あのポルタノヴァもそうだ。 ならば、造作もない。 pic.twitter.com/BU35WOHpxx

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かがち @Kagachi10202014

そう、少しいじってやれば……スラスターの表示はそのままに、出力を上げて推進材を無駄に消費させてやる。 たったそれだけで、目的の場所の側へ、緑のポルタノヴァは不時着した……。

かがち @Kagachi10202014

#30MMNOG #30MMNOG幕間 ポルタノヴァが飛び去って少し。 開いたままのハッチから、一機のEXMが飛び立った。 それはしばらく飛ぶと、コクピットからもはや用済みになったマスクやゴーグルを眼下の海に投げ捨てた。 「……これで一先ず完了ですか」 もう少し飛んでから、報告をいれねばなるまい。 twitter.com/kuuri20102014/…

かがち @Kagachi10202014

しかし、上司もよくわからないことをする。 あの子が必要なら、弱って判断力がまともではない今の内に抱き込めばよいと思うのだが。 「………『役立たず』が、吹き上がりやがって………」 吐き捨てるように呟いて、一つ呼吸を整えた。 pic.twitter.com/AbaSCL8XWn

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かがち @Kagachi10202014

『……私よ。 報告が来た、とみていいのかしら？』 「ええ、【首領】。 小鳥は飛び立ちました」 『そう、それはよかったわ。 今頃【シエンピエス】か【アクリス】辺りが食いついた頃でしょうね』 「……それは、どういう」 意味ですか？と問い返す前に【首領】が続けた。

かがち @Kagachi10202014

『邪魔だった『バイロンの魔女』を排除したなら、次はイヴを狙う……私はそう思うの。 特に【ローズバンク】での戦いを覗き見していたあの連中ならね。 あの子はグラディス・ハイネケン以上に危険な魔女よ』 「……どうしてですか？技術も能力も、全く脅威レベルとは……」

かがち @Kagachi10202014

『あの子の脅威はそこではないわ。 あの子はグラディスと同じタイプの【魔女】よ。 人を先導し、人を奮起させ、人を扇動する。そしてそれが自身の力になる』 机上のスペックの比べあいなら、もうとっくに死んでいないといけないもの、と【首領】が笑う。 pic.twitter.com/G6VDfgYYc9

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かがち @Kagachi10202014

「では、よろしかったのですか？【アクリス】などに手を出させて……」 『構わないわ。 弱っているとは言え、蟋蟀ごときに【魔女】が殺せるはずもない。 私はね、【アクリス】達の策を乗り越えてもらいたいの』 「成長の糧とさせる、ということでしょうか？」