茂木健一郎さん連続ツイート2011年11月1日

「壁はとっくにもうなくなっているのに、壁があるとまだ思い込んでいるぼくたち」
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茂木健一郎 @kenichiromogi

「連続ツイート」をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 本日は、「現代」という時代についての所感について!

2011-11-01 07:02:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

かか(1)僕が小学校の頃、大人たちは、「大学に行く」ということが、すなわち「学問をすること」だとよく言っていた。だから、ぼくも、なんとはなしに、学問をするためには、大学に行かなければならないのだと思っていた。

2011-11-01 07:03:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

かか(2)僕が小学校の頃、「本を書く」人は、すごく偉いのだと思っていた。「本を書く」ということと、「本を書かない」ということの間には、大きな壁があるのだと思っていた。その「壁」の向こうにいつか行くことがあるとは、思っていなかった。

2011-11-01 07:03:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

かか(3)気が付いてみると、ぼくたちは、壁が消えた世界の中に生きている。勉強をしようと思ったら、とくに自然科学系は、膨大な情報がネットの上に存在している。大学図書館に行く必要などない。ワンクリックで、最先端の論文が、無料で読める。そんな時代になった。

2011-11-01 07:04:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

かか(4)スティーヴ・ジョブズの伝記で印象的な一節は、彼がリード・カレッジを中退したあとも、別に大学にかかわらなかったわけではなくて、スタンフォード大学の授業にもぐっていたことである。現代は一歩進んで、大学の授業に、ネットでもぐることができる。

2011-11-01 07:05:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

かか(5)僕が、今の時代に小学生だったらと、想像してみる。好奇心にかられて、おっちょこちょいの僕は、きっと、「チャレンジ」などと叫びながら、MITとかハーバードの授業にネットで潜り込んでいるんじゃないかな。その時に、「大学に行け」と大人が言ったら、どんなことを考えるだろう。

2011-11-01 07:06:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

かか(6)表現する方だってそうだ。商業出版したからと言って、多くの人に読まれたり、10年後に残っているとは限らない。むしろ、ある日突然、オスカーワイルドのDe Profundisのような文章をネット上に公開してしまって、それが静かで深い波紋を呼んでいく。そんなことを想像する。

2011-11-01 07:07:48
茂木健一郎 @kenichiromogi

かか(7)学ぶ方だって、表現する方だって、本当は壁などもうないのだ。それでもなお、壁があると思っている人たちがいる。壁があると思わせたい人たちがいる。壁があると思わせていた方が、儲かったり、自分たちに都合がいい、という人たちがいる。

2011-11-01 07:08:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

かか(8)「壁」の幻想は、この後も存在し続けるだろう。でも、本当は「壁」などない。壁を乗りこえてメンバーの限られたクラブに入ろうと画策する人よりも、壁がないことに気付いて、ただ単に実質にだけ、 全身全霊を注ぐ人が輝く、そんなフェアな時代が「今、ここ」にある。

2011-11-01 07:10:32
茂木健一郎 @kenichiromogi

かか(9)僕が今小学生だったら、そんな時代の空気を吸って、酔っぱらったようにウェブの上をさ迷っているんじゃないかな。「壁」のなくなった、広大な世界の中で。そして、そんな「壁なしネイティヴ」たちが、これからの時代を明るくしてくれるとぼくは信じるし、一緒にさ迷いたい。

2011-11-01 07:12:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「壁はとっくにもうなくなっているのに、壁があるとまだ思い込んでいるぼくたち」についての連続ツイートでした。

2011-11-01 07:12:53