茂木健一郎さん（@kenichiromogi ）の「壁はとっくにもうなくなっているのに、壁があるとまだ思い込んでいるぼくたち」

茂木健一郎 @kenichiromogi

「連続ツイート」をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています！　本日は、「現代」という時代についての所感について！

茂木健一郎 @kenichiromogi

かか（１）僕が小学校の頃、大人たちは、「大学に行く」ということが、すなわち「学問をすること」だとよく言っていた。だから、ぼくも、なんとはなしに、学問をするためには、大学に行かなければならないのだと思っていた。

茂木健一郎 @kenichiromogi

かか（２）僕が小学校の頃、「本を書く」人は、すごく偉いのだと思っていた。「本を書く」ということと、「本を書かない」ということの間には、大きな壁があるのだと思っていた。その「壁」の向こうにいつか行くことがあるとは、思っていなかった。

茂木健一郎 @kenichiromogi

かか（３）気が付いてみると、ぼくたちは、壁が消えた世界の中に生きている。勉強をしようと思ったら、とくに自然科学系は、膨大な情報がネットの上に存在している。大学図書館に行く必要などない。ワンクリックで、最先端の論文が、無料で読める。そんな時代になった。

茂木健一郎 @kenichiromogi

かか（４）スティーヴ・ジョブズの伝記で印象的な一節は、彼がリード・カレッジを中退したあとも、別に大学にかかわらなかったわけではなくて、スタンフォード大学の授業にもぐっていたことである。現代は一歩進んで、大学の授業に、ネットでもぐることができる。

茂木健一郎 @kenichiromogi

かか（５）僕が、今の時代に小学生だったらと、想像してみる。好奇心にかられて、おっちょこちょいの僕は、きっと、「チャレンジ」などと叫びながら、ＭＩＴとかハーバードの授業にネットで潜り込んでいるんじゃないかな。その時に、「大学に行け」と大人が言ったら、どんなことを考えるだろう。

広夢 @scidreamer

@kenichiromogi 今、私が大学生となって良かった思うのは、高校生の頃より自由な時間が多くある事と、最先端の研究をなさっている方と直接会って話が出来る事です。「大学に行け」が、「自分の時間を持て」とか「凄い人間に直接会って来い」とかと意訳される時代となったのでしょう。

茂木健一郎 @kenichiromogi

かか（６）表現する方だってそうだ。商業出版したからと言って、多くの人に読まれたり、１０年後に残っているとは限らない。むしろ、ある日突然、オスカーワイルドのDe Profundisのような文章をネット上に公開してしまって、それが静かで深い波紋を呼んでいく。そんなことを想像する。

広夢 @scidreamer

@kenichiromogi 私は2か月前にTwitterを始めて、ネットが表現の場である事を実感することとなりました。部活を辞めてから大学で友人と呼べる人は2、3人しかいなくなりましたが、毎日のように議論に付き合ってくれる方がいます。結果、私の人見知りも治りつつあります。

茂木健一郎 @kenichiromogi

かか（７）学ぶ方だって、表現する方だって、本当は壁などもうないのだ。それでもなお、壁があると思っている人たちがいる。壁があると思わせたい人たちがいる。壁があると思わせていた方が、儲かったり、自分たちに都合がいい、という人たちがいる。

茂木健一郎 @kenichiromogi

かか（８）「壁」の幻想は、この後も存在し続けるだろう。でも、本当は「壁」などない。壁を乗りこえてメンバーの限られたクラブに入ろうと画策する人よりも、壁がないことに気付いて、ただ単に実質にだけ、 全身全霊を注ぐ人が輝く、そんなフェアな時代が「今、ここ」にある。

茂木健一郎 @kenichiromogi

かか（９）僕が今小学生だったら、そんな時代の空気を吸って、酔っぱらったようにウェブの上をさ迷っているんじゃないかな。「壁」のなくなった、広大な世界の中で。そして、そんな「壁なしネイティヴ」たちが、これからの時代を明るくしてくれるとぼくは信じるし、一緒にさ迷いたい。

茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「壁はとっくにもうなくなっているのに、壁があるとまだ思い込んでいるぼくたち」についての連続ツイートでした。

広夢 @scidreamer

@kenichiromogi ネットのおかげで「壁」が無くなった分、直接会って話すことの重要性は増したと思います。限られた空間ではなく、情報の大海に出たからこそ、「一期一会」を大切にする意義も深くなります。