ヘカテ―

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TOMITA_Akio @Prokoptas

これらの女神の淵源が、メソポタミアのイナンナ→イシュタルに遡ることを疑う主張を知らぬ。しかし、イナンナのアトリビュートが弓矢であることはあまり知られていないように思う。しかしGavin Whiteは強調している。では、どうして弓矢を槍に持ち替えたのか?と問うた研究者がいるかどうかは知らぬ。 pic.twitter.com/mOaE0WLycZ

2023-02-24 06:39:50
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シリア=パレスチナ地方の神格はまたエジプトにも影響を与えている。『エジプトの神々事典』は2番目にアナト(エジプト名アーンセト)左図、7番目にアスタルテ(アースティルティト)右図を挙げている。後者は希臘人に「異国のアフロディテ」と呼ばれ、第18王朝半ば以降信仰が確認されているという。 pic.twitter.com/Jt27Zk5AZW

2023-02-24 06:30:08
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銅(copper)の名はキプロス島に由来するという(フォーブス)。ここはアプロディーテーの故地で、ここから左図のような小像が発掘された。両手が欠けているのが残念だが、アナト(右図)を連想させることは明らか。そしてアナトは槍を持っていることから、アプロディーテーは本来戦神でもあったろう。 pic.twitter.com/Y6pSFh9hG0

2023-02-24 06:18:41
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本丸はどうであったか? 例えば「パリスの審判」という有名な画題がある。ヘーラーとアプロディーテーとアテーナーとを丸裸にして、品定めをしようなどという発想は、野蛮下劣な征服者でなくして誰が思いつこうか? わたしが希臘神話が嫌いな理由はそこにある。 pic.twitter.com/H3cLO0nw3V

2023-02-24 05:09:00
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おそらくはクレータ島(文明)を故地としたキルケーや、ミノタウロスを産んだパーシパエーや、その姪のメーデイアは魔女として、後代の芸術家の関心を惹くにとどまることになった。彼女らを含めた諸々の女神は、希臘神話の辺境を流離するものにされたのである。 図はキルケー(ウォーターハウス)。 pic.twitter.com/5lJ2GEmmML

2023-02-24 04:59:15
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先ず、絶対的な存在であった三相一体の大女神が処女/母親/老婆に分裂させられていった。古代人の発想では処女/母親/老婆は1つのものの3相にすぎない。つまり三相一体のヘカテーこそが女なるものの実相であったが、希臘神話では最も下級の(犬と並ぶ)地位に貶められた。 pic.twitter.com/OQOqtjBXtY

2023-02-24 04:52:02
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印度北部、バルカン半島、そしてイタリア半島に進入した印欧語族が共有した問題とは、馬に牽かせた二輪戦車という新兵器を持った民族が、自分たちよりはるかに進んだ文化を持つ民族の地に進入したということであった。民族が戦う時、神々もまた戦う。その文化変容は複雑な過程を辿る。 pic.twitter.com/LNN6zeZRXA

2023-02-24 04:45:26
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とはいえ、完全にというわけにはいかない。その一端がπότνιαという用語であったわけである。この語はヴェーダの「女主人、妻」を意 味するバトニーと同じ語根をもつ印欧語に属する言葉であるが、これが示していた神は必ずしも印欧語族の神であるとは限らない、ことを安村論文は明らかにしたわけだ。 pic.twitter.com/E3qJRkwexy

2023-02-23 07:15:49
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これによって希臘世界は800年に及ぶ暗黒時代に入る。暗黒時代とは何もなかったのではなく、ありすぎて記録に残らないというだけのことである。その暗黒の中に射した一条の光、それがホメーロスの叙事詩であったわけである。そこではすでにオリュムポス神界の秩序が「ほぼ」完成している。 pic.twitter.com/Q15BTb70wn

2023-02-23 06:58:02
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ところが前12世紀になって、イタリアからエジプトに及ぶ大移動が起こり、その一部がバルカンに入り、中部希臘ではアッティカ地方を除いてすべて新来者の侵入を受けた。いわゆる歴史時代のドーリス民族や北西希臘民族である。彼らは新来者ではなく帰還したのだ「ヘーラクレイダイの帰還」と称したが。 pic.twitter.com/IZiYzoBzbS

2023-02-23 06:46:39
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事は印欧語族の移動に遡る。バルカン半島に於いては大きく2期に分けられる。紀元前2000年を少々下った時代、この南下は小規模集団が長期にわたったものだったので、文化変容はなだらかだったと考えられる。希臘民族はクレータ文化の影響下に自身の文化を形成した。いわゆるミュケーナイ文化である。 pic.twitter.com/ZtZTAFjNGu

2023-02-23 06:31:50
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それではどう解すればよいのか?「これらの女神たちがかつて圧倒的な力をもっていた大地母神を基礎とし、そこから様々な性格を借用し、とり込んでいったということを明確に物語っていると思われる」 (「ミュケーナイ時代のポトニア」)。 pic.twitter.com/vvm2aJQJmo

2023-02-23 05:03:38
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πότνιαを尊称とみなすことは、言うまでもなくホメーロ スにおける用法からの推論であるが、ホメーロスを通して前代のミュケーナイ社会を解釈しようとする試みは極めて重大な危険を伴うものであることは、 安村典子「ミュケーナイ時代のポトニア」 bit.ly/419JCkk が指摘。 pic.twitter.com/sNG23up6Os

2023-02-23 04:57:55
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πότνια Κίρκη 。Od.x,549「主人(あるじ)のキルケーさま」(呉)、「仙女キルケ」(松平)、「尊貴のキルケ」(中務)。 Od. xii,36「キルケー女神」(呉)、「女神」(松平)、「尊いキルケ」(中務) キルケーは太陽神の娘、あのミーノータウロスを産んだパーシパエーの姉妹であることを忘れまい。 pic.twitter.com/H3ApV4E7KB

2023-02-23 04:54:53
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πότνια θηρῶν(「野生動物たちの女主人」)とはアルテミスのことで、この添え名はホメーロスに出る(Il.xxi,470)。 しかし、πότνιαという語は、ざっと検索してホメーロスに66回。圧倒的にヘーラーを指すが、他は pic.twitter.com/tKeThbHqQC

2023-02-23 04:48:00
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いずれにしても、アルテミスがただの処女神でないことは、エペソスのアルテミス像(図)の奇想を思い浮かべるだけでも充分であろう。その乳房のごとく見えるものの正体が何であれ、男にとっては恐ろしい神格であるらしいことに間違いはない。 その片鱗は、じつはホメーロスの中にすでにうかがえる。 pic.twitter.com/scUhxoGrDl

2023-02-22 05:07:17
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アルテミスは、あらゆる野生動物を産み、養い育てるものであると同時に、これを狩る=殺す神でもある。「スパルタではアルテミスの名はアルタミスArtamis……その名の意味は「切る人」あるいは「屠殺者」である」(グレイヴズ『ギリシア神話』)。 尤も、この語源説、調べてみたが疑問があるが…… pic.twitter.com/xsNRQkKMwF

2023-02-22 05:02:17
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アクタイオーンはアルテミスの水浴を目撃して、自分の猟犬たちに食い殺されたと神話に云う。処女神が水浴するのは、聖王が殺された後のことであって、前ではない。「正確に言うと、ニンフが沐浴するのは……殺戮の前ではなく、あとである」(グレイヴズ『ギリシア神話』)。 pic.twitter.com/9Ffh9Bnn6O

2023-02-22 04:56:34
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アルテミスの本来の姿は、野性的ではあるが愛らしい処女神などでは決してない。そもそも、処女神が何時までも処女でいられるのは、結婚した男は細切れにして畑の肥やしとし、結婚したことを「なかったこと」にするからにほかならない。彼女の銀の弓とは月のことにほかならない。 pic.twitter.com/kjdktAg6d0

2023-02-22 04:51:57
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弓に矢をつがえている女神は、Gavin Whiteによればイナンナ女神、後のアルテミスの原形とされる。「元来アルテミスは、ギリシア民族固有の神格ではなく、その征服した南方地域から西南部分にかけて、広く崇拝されていた女神の変形したものと推察されるのである」(呉茂一『ギリシア神話』)。 pic.twitter.com/s2qcjtrgQu

2023-02-22 04:45:25
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③ニンマク(Ninmah)「高貴な婦人」の意。神々の女性支配者、天地の母神。「ニンマクは地母神としての性格を持ち、妊婦の守護女神でもあった」(『星座神話の起源』)。このように3柱に分かれるが、本来は、B・ウォーカーの云うように「処女/母/老婆」三相が一体となった1柱の大女神であったろう。 pic.twitter.com/PX7b6PUruR

2023-02-21 07:21:10
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②は「エリドゥの星」。「エリドゥは……シュメール最古の都市国家で……この地に最初の王権が授けられた場所とされている」(『星座神話の起源』)。「エリドゥの星の水の溢れる壺は、酷暑が収まってもどってくる泉や河の水を強調する」(Gavin White)。 pic.twitter.com/inBhUkIjjG

2023-02-21 07:13:54
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夏至点(止まり木に止まった鳥)を先頭にして、3柱の女神が連なっていることに注目しよう。 ①は弓に矢をつがえている女神。「彼女が表すのは戦争の女神と勝利の授与者ということ、軍事作戦は春に始めると成功するということとも関係する」。後のアルテミスの原型であることをGavin Whireは指摘。 pic.twitter.com/IqUbaNT0iZ

2023-02-21 07:08:42
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女神崇拝を拒否するために彼らは神殿娼婦と男娼の風習を論った。グレイヴズに依れば「例えば、キュベレーをうやまう男性の信徒たちは、みずから去勢した上に女装することによって女神と結合する法悦鏡に達しようと試みた。……大女神の神殿では、男色をおこなう祭司の地位が公認されていた」。 pic.twitter.com/vEq2R3rucf

2023-06-08 04:58:03
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