キュゥべえ営業部長によるTPP解説、後半戦
キュゥべえ営業部長のTPP解説後半のまとめ
ただいま。すまなかったね。さて、日本がTPPに参加するにあたって、賛成と反対それぞれの意見は色々とあると思うんだけれど、反対の根拠となっているのはここまでにボクが話してきた部分で、大体触れることができたんじゃないかな。何よりもまず、今後考えられる不安が大きいということなんだ。
2011-11-02 21:59:33TPPは農業と工業の問題じゃないというのは、非関税障壁のことで書いたように、加盟国同士でのルールの策定である以上、生活の様々な部分に直結しているのは確かだろうね。それならなぜ日本は「TPPに参加すべきだ」という意見が出るのか、次はこれについて考えてみようと思うんだ。
2011-11-02 22:02:38日本がTPPに前向きな姿勢を見せたのはアメリカの参加が決定的な要因になったといわれている。それまでのTPPの枠組みというのは、日本にとってあまり魅力のないものであったといってもいい。ここにさっきの米韓FTAの問題が若干絡んでいるんだけれど、日本と韓国はどちらも工業製品が主力なんだ
2011-11-02 22:04:35日本がTPPに前向きな姿勢を見せたのはアメリカの参加が決定的な要因になったといわれている。それまでのTPPの枠組みというのは、日本にとってあまり魅力のないものであったといってもいい。ここにさっきの米韓FTAの問題が若干絡んでいるんだけれど、日本と韓国はどちらも工業製品が主力なんだ
2011-11-02 22:04:35アメリカの市場は最近の経済不安で多少は衰えたといっても、まだまだ極めて大きいといっていい。そこがTPPに参加するとなれば「日本も参加した方が利益が大きい、だから参加すべきだ。韓国はすでに米韓FTAに向けて大きく進みだしている」と、こんな感じの報道がその頃には色々あったね。
2011-11-02 22:08:49ところが、工業の輸出だけを考えれば、日本とアメリカの間にある関税はけして高いともいえない。自動車で2.5%、テレビで5%というのは、中野先生がいっていたと思うけれど、大体そのくらいのものでしかない。それを数値化すれば今の円高の方が、実はデメリットが大きいともいえるんだ。
2011-11-02 22:11:25そこで思うのは、経団連や賛成派をしている議員の本当の思惑がどこにあるのかというものなんだけれど、これは極めてわかり難いね。よく「アジアの成長を取り込む」という意見も見かけるんだけれど、実は貿易面だけならアジアに関してはわざわざTPPに加入するメリットはあまりないんだよ。
2011-11-02 22:16:13さっき少し書いたけれど「FTA」や「EPA」という二国間、あるいは多国間での協定には、実は日本もすでにかなりたくさんの国と締結、あるいは交渉中の状態にある。TPPに加盟している国ではシンガポール、チリ、ブルネイとはすでにFTAを締結済みだし、その他の地域ともかなり熱心なんだよ。
2011-11-02 22:19:40そういった部分を考えれば、アジア地域の経済成長に関しては日本はもうとっくに自由貿易の状態にあるといってもいい。そこでわざわざTPPに加入する必要性があるかは、ボクから見てもあまりよくわからない。それが「結局はアメリカとの関係」といわれる理由でもあるんじゃないかな。
2011-11-02 22:21:27たびたび離れてすまないね。そう、日本のFTAは今も交渉中のところもあるみたいだけれど、最近ではインドとも正式に締結したはずだよ。FTAはそれぞれの関税を完全、あるいは例外を残してお互いに撤廃することで、自国の産業にとっても有利にも不利にもなるものなんだ。
2011-11-02 22:43:09その結果、日本とオーストラリアの交渉はいまだにまとまっていないみたいだね。日本も北海道や東北で乳製品の市場はあるから、そこは関税を残しておきたいみたいだし。アメリカもそこは同じ考えで、結果オーストラリアとの交渉では結果的に乳製品と砂糖の関税をアメリカが撤廃することはなかったんだ。
2011-11-02 22:49:16そのオーストラリアも、今TPPの交渉に参加しているんだけれど、その参加理由の一つに乳製品などの加盟国間での関税撤廃を提起したいという思惑があるといわれているみたいだね。
2011-11-02 22:52:11ここから日本がTPPの参加した場合でも、特定の産物に関しては例外として認められるという見方もあるんだけれど、さっきもいったようにTPP加盟国、交渉国のほとんどはすでに日本とFTAを結んでいる以上、あえて日本が参加するほどの理由になると言い難いのもまた確かなんじゃないかな。
2011-11-02 22:54:01そして、もう一つの問題があるんだけれど、実はTPPに関してはアメリカ国内でも反対の動きがないわけじゃないみたいだね。というのも、アメリカもさっきのオーストラリアのようにTPPに加盟すれば、砂糖や乳製品、あるいは農業の一部といった市場が打撃を受ける可能性があるんだ。
2011-11-02 23:00:10ただし、アメリカの農業団体のトップは参加する以上はすべての品目において関税を撤廃すべきだと主張しているし、日本に対しては当然そうせまってくるだろうね。問題はそれよりもTPPをどうして今、こんなに急いで日本が参加すべきという議論になっているのか、そこに関してはまだ疑問が多い。
2011-11-02 23:05:19一つにはどうしてもアメリカの大統領選挙が近いことがあげられる。オバマ政権はここ数年の経済の低迷から支持率をだいぶ落としているし、なんとかして経済での実績を作りたいという焦りは当然あるだろうね。日本がそういった場面でアメリカに「貸し」を作りたいのも、間違ってはいないんじゃないかな。
2011-11-02 23:07:23大体、ボクのTPPに関する話はこんなところなんだけれど、最後に少し言わせてもらうのなら、今の状況はあまりにも「異常」だね。さっきも書いたように交渉の内容もわからない段階では、日本にTPPの参加がどんな「利益」をもたらすのか、まったくといっていいほど不透明なんだ。
2011-11-02 23:09:47そして、最初に出した記事のように、なぜか野田総理が参加に前向きな姿勢を固めた後で、それまでにはいわれていなかった記事や情報が出てくる。わけがわからないよ。どうして、事前の情報とまったく違うのに、交渉に参加するという方向性の議論だけが進んでしまうんだい?
2011-11-02 23:12:35TPPに加盟するというのは、その後にある経済のグローバル化、そして国民の生活や、今後の経済にも大きく絡んでくる部分なんだ。これで海外への生産工場の移転が加速すれば、その分国内の雇用が失われる可能性はあるし、競争力のない産業が衰退していくのは免れない。それが資本の怖さというものだね
2011-11-02 23:15:11震災の後に書いた気がするけれど、本当に大事なことはこれからの日本をどんな社会にしていくか。その大きな転換点に今は来ている時期なんじゃないかな。今の日本をTPPによる「開国」で改革するというのもいいことなのかも知れないけれど、その後に来る社会がどんなものかを想像しないといけない。
2011-11-02 23:17:58それは、単純に経済だけじゃなくて、社会のシステムや構造、それぞれのくらしにも密接した大きな問題だろうね。もちろん、東北の復興や農業のこれからというのも忘れたらいけないところだし……大体こんなところだね。聞いてくれてありがとう、今日はずいぶん長くなってしまったけれど、嬉しかったよ。
2011-11-02 23:19:41周りの反響
つまり本来のTPPとは「ちっちゃい・パイの・パーティー」かRT @QB0: 少し注意しなければいけないことなんだけれど、TPPは本来日本やアメリカのような大きな国が加入するのを前提にしたものではなかったということだね。現在でも、正式にTPPに加盟しているのは ~
2011-11-02 21:51:00