茂木健一郎(@kenichiromogi）さんの連続ツイート第3076回「日本は、高度経済成長の成功体験のあとのバブル崩壊のあと、まるで江戸時代のようにマインドセットが止まったままになっている」

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート３０７６回をお送りします。文章は即興で書いています。本日は感想です。

茂木健一郎 @kenichiromogi

今日はこれからアカデミー賞。作品賞で最有力なのは、Everything everywhere all at once。僕的にはこれで決まり。主演女優賞や助演女優賞などの主要賞もこれを推す。あまりにも斬新で勇気あって映画界に新風をもたらした作品だった。

茂木健一郎 @kenichiromogi

Everything everywhere all at onceのような映画のすさまじい進化に比べると、日本の文化はずっと止まっているように見える。今朝の７時のNHKニュース、冒頭でマスクのことをていねいにバランス良くやっていたが、そのレベルは小学校の学級委員のようだった。

茂木健一郎 @kenichiromogi

BBCでは、サッカー番組の出演者が政府の移民政策を批判したツイートをしたことにより降板され、そのことを当のBBC自身がニュースとして報じていた。ジャーナリズムは局とは独立で、BBCの不祥事をBBCが客観的かつ批判的に報じるのである。

茂木健一郎 @kenichiromogi

ジャニーズ事務所の創業者の問題をBBCが報じたが、NHKを始めとする日本のメディアが報じないのは、報道機関としては死んだに等しい。NHKが紅白とか忖度で報じないのならば、なぜBBCのようにNHKニュース自身がそのようなNHKの姿勢をニュースにして報じないのか。

茂木健一郎 @kenichiromogi

Everything everywhere all at onceのような作品の凄まじい進化に比べると、日本のエンタメはすべてがとまっている。ジャニーズ事務所も、創業者の問題についてきちんとした言明を出せないような状況では、その提供するエンタメ価値は現代の最先端ではないと言わざるを得ない。

茂木健一郎 @kenichiromogi

結局、すべてはつながっている。創業者の問題にきちんとステートメントを出せないジャニーズ事務所も、忖度から一切報じないNHKも、現代における人間性の水準からは何次元も落ちているのであって、その提供するエンタメもニュースも、国内のガラパゴスの生ぬるい市場にしか通用しない。

茂木健一郎 @kenichiromogi

日本は、高度経済成長の成功体験のあとのバブル崩壊のあと、まるで江戸時代のようにマインドセットが止まったままになっているのだと思う。その象徴がNHKであり、ジャニーズ事務所である。両者が結託した紅白歌合戦は偉大なマンネリとして価値はあるが、その間に世界はどんどん先に行ってしまった。

茂木健一郎 @kenichiromogi

ジャニーズ事務所のタレントさんは何人も仕事をしたことがあるが、自分の事務所の創業者の問題に人間として向き合って、きちんとステートメントを出せるようでないと、ビリー・アイリッシュやブルーノマーズのような世界的エンターティナーにはなれない。その可能性はいつでも開いている。

茂木健一郎 @kenichiromogi

ところで、NHKの職員が不祥事を起こしたような時、NHKのアナウンサーがNHKを代表して謝罪する、みたいなシーンも本当はおかしい。NHKのニュース番組はジャーナリストとしてNHKの不祥事を客観的、批判的に報じる立場であって、一体化したぬるま湯の前提は、日本では当たり前でも世界では非常識だ。

茂木健一郎 @kenichiromogi

ぼくは、ikigaiとnagomiの本で、日本の良いところを世界に向けてアピールしたけど、それは愛の仕事である。その愛は、日本の現状を肯定することではなくて、世界から見た日本の良いところをきちんと抑えつつ、大いに変わらなくちゃ、というメッセージなのだと最近つくづく思う。

茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート３０７６回、「日本は、高度経済成長の成功体験のあとのバブル崩壊のあと、まるで江戸時代のようにマインドセットが止まったままになっている」をテーマに１０のツイートをお届けしました。