twblnovel 10月中期

ハウリル @how_howlite

《Ｑ．今、恋をしていますか？》《Ａ．イエス。》《Ｑ．それを、アピールしたことはありますか？》《Ａ．ノー。》《Ｑ．自分からは、好きとは言えませんか？》《Ａ．イエス。》《診断結果：あなたは――》心理テストや恋占いでは、僕が彼を好きだという気持ちは分析できない。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

体育祭の片付けは、体育委員会のみが学校内に残って、夜まで続けることになる。一般の生徒も、委員会顧問以外の教師も帰ってしまった午後九時。“夜の体育祭”だなんて、顧問が下品に笑いながら言う。体育倉庫内に蠢く幾つもの影が、汗と白濁を滴らせていた。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

双子の兄は教師で、双子の弟はホスト。兄は硬派で真面目。弟は軟派で適当。真逆のように見える二人は、中学生の時には既に禁忌を犯していた。それ以来、兄が本気で愛し続けるのは弟だけだし、弟が本気で愛し続けるのは兄だけだった。背徳の快楽に、身体を重ねる。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「高校生が夜に出歩くのは感心しないな」制服を着た気弱そうな少年が、夜のセンター街の片隅に立っていた。「と、友達と、待ち合わせてるんです…」怯える少年に言う。「友達？掲示板の友達か？」青ざめる少年。俺はニヤリと笑い、続けた。「待たせたな。さぁ、遊びに行こうぜ」 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

過去がどうとか、本当は気にしたくない。それでも彼は、昔付き合っていた人を忘れられないみたいだ。夜、彼の部屋に無造作に置かれた写真を見る。一枚。一枚。過去に触れることに興味は無いけど、それでも、嫌。どうしようも無い嫉妬心が沸く。私は、元カノの写真を破り捨てた。 #そっと触れるのべる

ハウリル @how_howlite

「恋に落ちて人に忌まれるくらいなら、屋上から落ちて皆に迷惑をかけてやる」同性愛ということをクローズにしない友人が行ってのけた。後日、彼は本当に屋上から落ちて死んだ。その彼の死体に寄り添い、延々と泣く男が居た。馬鹿だなぁ。少しは信じてみればよかったのに。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ☆」「はい、飴」「（しょぼーん）」「お前の考えそうな事くらいお見通しだっての」「せっかく衣装も用意したのに…」「へぇ。そのコスプレ、そそるね。どれどれ…」「あれ？何で俺押し倒されてるの？俺、攻め…」「今日はお前に悪戯してやるよ」 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「本場の執事は、半数近くがゲイだったらしいよ」「へぇ」「息子に手を出したりしたら、クビになったのかな？」「発想が腐ってやがる」「旦那様に手を出したら、やっぱクビなのかな？」「もう遅すぎたか…」「旦那様に手を出されたらどうするんだろう？」「おい、自重しろよ」

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「坊ちゃん、お勉強のお時間です」「今日は何の授業だい？」「本日の授業は、保健の実技でございます」「保健…？」「えぇ、坊ちゃん。どうぞこちらへ…」「貴様ァっ！息子に何をするつもりだァっ！」「あ、パパ！」「はい、旦那様。応急処置と、それに伴う止血の方法、包帯の巻き方などを」「」

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「旦那様。奥様に知られては困りませんか？」既に愛の無い関係を、すぐ傍で見ているというのに。そんな執事に苦笑する。「困るのはお前だろう？バレたら職を無くすかもしれない」意地悪に問う。「あくまでも、私は旦那様に仕える者です」満足行く答えの褒美に、キスを与えた。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

子供の頃から側に居たから、ずっとそうやって側にいるんだとそう思っていた。僕が２０歳で成人を向かえた頃、彼はもう４３歳だった。「もう、坊ちゃんと呼んでは失礼でしょうか」笑いながら言ったその口が、とうとう僕の名前を呼んでくれることは無いまま、執事は引退をした。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

不精者の友人は、よく髪の毛が伸ばしっ放しになっている。見てて鬱陶しいから「床屋に行け」と言っても、億劫がって行かない。しかし。「俺、好きな人ができたんだ」この言葉を言った次の日には、髪はバッサリサッパリと切られている。わかりやすいが、俺の本命は一人だけだ。 #twblnovel

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「男も女も大人も子供も老いも若きも貴きも卑しき富めるも貧しきも健常者も病人も善も悪も被害者も加害者も政治家もニートも罪も罰も酸いも甘いも濃いも薄いも動も静も希望も絶望も天も地も全て等しく滅ぶというならば、こんなにも素晴らしいことは無いでしょう」 #twnovel

ハウリル @how_howlite

懐かしい学校の屋上。部外者である俺達がここに居ることを咎める人は、居ない。「あれからどれくらいだ？」リストバンドを眺めながら聞いた。「もう、３年かな」昇は空を眺めながら返す。俺も空を見上げる。太陽の落ちた真っ暗な空には、疎らに星が散らばっていた。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「流れ星、見えるかな」「見えるよ。天気も良いし」他愛もない会話は、あの頃のままで。それでも、確かに減った傷痕。「流れ星に、何願う？」「俺は、蓮と一緒にいられるようにって」「普通だな」星に願うまでも無いことだと思ったが、あえて言わないことにした。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

通知表がおかしい。『２、２、７、２、１０、２、３、３、２、２』これは何かの間違いだと、職員室まで担任を問い詰めに行った。通知表について問うと、今度は社会準備室まで連れてかれる。何故か鍵がかけられた部屋で担任は、笑いながら「これが本物」と、通知表を出した。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「じゃあ、なんでこんな悪ふざけをしたんですか」偽物の通知表を突き付けて問い詰めた。「そうか…。気付くと思ったんだが…」そう言いながら、ケータイを見せる。２、２は、き。７、２は、み…。「嫌だったら、さっさと鍵を開けて出て行きな」担任は笑いながら、言った。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

クレーンゲームが得意な友達がいる。ソイツがよく獲得景品を俺にくれるのだが、そのせいで、一人暮らしの男の部屋が統一感の無い様々なぬいぐるみに囲まれている。どうにもいたたまれないのだが、せっかく貰ったぬいぐるみだから捨てられない。たとえ、向こうに他意は無くても。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「君も、シャワーを浴びて来るといい」高級ホテルのスイート。世話になっている事務所の社長さんが、『このコを宜しく』などと言いながら、若い俳優を寄越して来た。『あなたと共演させれば、少しは名が知れるかも』と、押し付けられた俳優は、部屋の隅で小さく縮こまっていた。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「そんなに緊張する事は無いよ」肩に手を乗せると、分かり易く体が跳ねる。とてもこの状況に緊張しているらしい。「早くシャワーを浴びてきなさい。そしたら、後は僕に任せなさい」ネットリと耳元で囁く。まだ年若い俳優は、慌てて風呂場へと走って行ってしまった。全く、青い。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

子供の頃からテレビで見ていた俳優と、同じホテルの部屋にいる。自分を採用してくれた社長直々に申し付けられた“枕営業”だ。この俳優は、色んな所に顔が利くらしく、なにをしてでもコネを手に入れて活躍の足掛かりを作れ、と。だからって、こんな方法。僕は、緊張していた。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

シャワーを浴びる内に、覚悟を決める。バスローブを着て居間に戻ると、机の上にメモ書きが置いてあった。『好きな場所で寝れば良い』よく意味がわからずベッドルームへ向かえば、そこには誰もいない。きちんとメイクされたベッドと、枕が一つあるだけだった。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

慌てて居間に戻って部屋の中を探すと、俳優はソファの陰に寝転がっていた。枕は使ってるのに布団は無い。「こんな所で寝たら風邪引きますよ！」慌てて体を揺さぶり起こそうとすると、けだるげにその手を払いのけられた。すっかり寝入ってしまっていて、どうすることもできない。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

諦めて僕は、ベッドルームから布団を持って来て俳優の体に掛ける。先輩が床で寝ているというのに、僕がベッドで寝るというわけにはいかないので、僕も床で寝ることにした。 #twblnovel