勉強垢

︎もこみ @mocomi__

その昔「勉強垢」なる界隈がありましてね……まあ私はそこで「リア垢」とは別の𝑰𝑵𝑻𝑬𝑹𝑵𝑬𝑻 𝑳𝑰𝑭𝑬を送っていまして、同じ大学志望の人らと繋がってStudyplusで勉強時間を密かに競ったり駿台模試の上位者表の冊子に名前が掲載されることを目指したりしてたわけですよ。浪人したらアカウントを

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新しく作り直して予備校の友達に特定されたり逆にこっちが特定したりしてたんですね。まあそれは置いといて、僕はその𝑰𝑵𝑻𝑬𝑹𝑵𝑬𝑻 𝑳𝑰𝑭𝑬を通して「界隈」という語をそこで知ったんです。そこでの使われ方は「○○界隈」とかではなく、そのまま「界隈」でした。これは今思えば不思議な使い方で

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なんだか高尚な響きにも聞こえるし、極めて内向きでどこか排他的な磁場を発するものでした。 ハッキリ言って僕はそれがかなり嫌いだったんですけど、別に仲間内で使われるぶんには気になりませんし、何となくその「身内ノリ」を楽しんでいたわけです。あいにく僕は「界隈」でプロップスを得られるほど

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駿台模試（界隈では河合模試は"easy"だから材料にならないんです）で高偏差値を叩き出すことが出来なかったので、全国模試上位者（全国1位もざらにいました）の相互フォローの人を指をくわえて眺める他なかったわけです。それはそれは劣等感を刺激されるものでしたが、受験の合否は受験本番で

︎もこみ @mocomi__

決まるものなので、粛々と勉強するのみ。しかし僕もたまにはマウント取る側になれるくらいの偏差値を取りたい！みたいに思っていたものです。今思えばそれ自体に大した価値はないのですが、いわゆる私立の進学校的な生々しい情報が欲しかった、そういう「界隈」における一定のポジションが欲しかったの

︎もこみ @mocomi__

かもしれません。当時の自分の周りには大卒の大人もいなかったし。 まずいまずい、めちゃくちゃ話が逸れてしまった。 「界隈」って言葉についてなんですが、あるとき僕が「勉強垢」を作った割と初期の頃からの相互フォロワーの関西住みの男子で、「ケン」って名前の人がいました。仮名です。ケン君は

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非常に成績が良く、校内模試は常に1位だし全国模試も上位者常連みたいな子でした。当然のごとく東大に現役で合格、その後は知りません。そのケンくんは高一のときツイッターのアカウント名が「ケン@勉強垢」だったんです。僕は多分それを見てフォローしたんですが、しばらくすると「@勉強垢」は消えて

︎もこみ @mocomi__

いました。それ自体は別に何とも思わなかったのですが、ある日ケンくんは当時サービスがローンチしたPeing質問箱への回答で（どんな質問だったかは流石に覚えていません）、「俺は勉強垢じゃないから知らないけど……」みたいなことを書いていました。いやいや君ずっとアカウント名に勉強垢って書いて

︎もこみ @mocomi__

あったじゃないか！僕覚えてるよ！！！と内心思ったものです。おそらく「勉強垢」というラベリングが恥ずかしくなったのでしょう。確かに「勉強垢」という言葉で形成されるクラスタは妙な香ばしさを放っていたように思いますし、まあもどかしいのでハッキリ言ってしまうと「バカっぽい」感じだっ

︎もこみ @mocomi__

たわけです。確かに全国模試で上位を取るような高偏差値クラスタは「界隈」という言葉を好んで用いてました。ただ、今思えばそれはホモソーシャルなノリだったような気もします。ケン君は「勉強垢」と距離を置き、半ば蔑視することで「界隈」に鞍替えしたと言えるかもしれません。それは僕にはどこと

︎もこみ @mocomi__

なく狡猾な動きに見えました。そして「界隈」という言葉はそれ自体を相対化して自分のポジショニングにも使っているような雰囲気もありました。明らかに「界隈」の人として認識されてる人間が「界隈は〜」みたいなかたちで言及することで「俺は違うけど界隈は〜」のように、見せかけの外部を作り出して

︎もこみ @mocomi__

特権的なポジションを得ようとする。そういう都合のいい言葉が「界隈」でした。結局のところ、同じ穴の狢でしかないのにね。

︎もこみ @mocomi__

じゃあなんで土曜の昼間（夕方？）からこんな話をしてるかというと、「音楽界隈」って言葉を目にしたからなんですね。ここでいう「界隈」の都合のいい使われ方のように、「音楽界隈は〜」とか「音楽好きは〜」、「音楽オタクは〜」という言い方をするとき、

︎もこみ @mocomi__

それは内部にいながら外部にいるフリをしてるだけの場合も結構あるんじゃないかな。同族嫌悪っていうか。「界隈」って言葉は特にそう見える。本当はそれ自体なのに、そうじゃないフリして外からヤジを入れるって、それこそ"評論家しぐさ"なんじゃないかなって