首の感触が薄れてしまうのと同時に終わりを悟る。意識を手放さないように抱く気力もなかった自分は、ゆっくりと目を瞑った。
2022-10-02 18:01:47きっとこれはバッドエンドなのだろう。解いて再び紡がせることもできないような、悪夢そのものだ。 選択をどこで間違えたかなんてことも、もうわからない。
2022-10-02 18:02:52執筆する手も止まり、ため息を吐くことすら気が引ける。どうしたの私、こんなんじゃだめ。申し訳程度の喝は虚空へと薄れ、何をしても上手くいく気なんてしない。
2022-10-02 18:06:02こころにぽっかり穴が空いてしまったみたいな、...いや、もう空いていた穴がふせぐことも出来ないほど広くなってしまったような。 私自身、溜飲を下げるのは元から苦手な性質だった。けれど今回は何に心を落とされているのかすらわからない。わからないから、対処もできない。
2022-10-02 18:06:44「...ぁ、」 思わず声を零した後、拾い上げて傷を確認する。ガラスには一つだけ、刮目しないとわからないほど小さなヒビが入っていた。
2022-10-02 18:09:19私のことを責める声はない。皆心配そうに時々こちらを見、「下がってていいよ」とだけ口にして武器を振っていた。 人数も随分と減って、1人分も空ける余裕は無い。下がってていいと言わせている時点で自分はかなり足手まといだった。
2022-10-02 18:11:38敵へ向けた単調な魔法攻撃は全て外し、ツルや木も冗談みたいに的外れな場所に生えている。避ける度転びそうになり、...というか今既に転んでしまっていた。
2022-10-02 18:12:06そんなんだったから、ゲームが進めば進むほど敵は攻撃を仕掛けてくるようになった。要領の良さを謳われる自分自身が、ここまで失敗続きなのも珍しい。 どうしよう、私、このまま死んじゃうのかも。
2022-10-02 18:12:53焦りと緊張と吐き気で、ぐるぐるな頭ももう停止しそうだった。私が私じゃないみたいで、思考回路も複雑化する。 そうだ、全部あの日からなんだ。あの日から、私は。
2022-10-02 18:13:15”あの“を指すのは前回のゲームだった。めありさんと...彩蝶ちゃん、2人が亡くなってしまった時。 けど、今までだって沢山仲間の死を見届けていたのに今回だけ...なんて。これが最初じゃない、全部悲しかったけどちゃんとここまで生き残ってきた。私はもっと冷静でいられるはずのに。
2022-10-02 18:14:49可愛くて素直な貴女を誰よりも守りたかったから?それは、確かな感情として渦巻いていたのを覚えている。嘘偽りない“特別扱い”だった。
2022-10-02 18:18:41学級委員や先輩という肩書きを気にせず、私自身に笑いかけてくれた貴女の隣にいたかった。 そう、貴女の隣で胸を張りたかっただけ。なのにあんな風に先立たれるなんて、聞いていない。充分な恩返しすら叶わないというの?
2022-10-02 18:19:45@xxx ______”貴女を失ったせいでこうなった“なんて、もうずっと前からわかっていたのかもしれない。それを肯定する勇気など持てる筈が無かっただけで。
2022-10-02 18:20:28そうだ、どうして守れなかったんだろう。止められなかったんだろう。 あの時敵を十分に縛り付けることができたのは、植物を操る私だけだったのに。こんなの、私のせいで守れなかったってなってもおかしくないじゃない...?
2022-10-02 18:20:47