「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」『……ン?何だ?』ノブザメEが彼らを二度見した。『今、動いたか!?動いたのかよ!?』ノブザメEは立ち上がり、レッドハッグに駆け寄り、掴んで止めようとした。「イヤーッ!」「グワーッ!」レッドハッグはノブザメEを殴り飛ばした。 16
2023-05-10 22:58:13「イ……」レッドハッグは歯を食い縛り、僅かに次の拳を溜めた。そして繰り出す!「イヤーッ!」腰を捻り、レイテツに!「イヤーッ!」レイテツも同時だった!彼らの拳は正面衝突し、凍った衝撃波が波紋を生じ、互いを吹き飛ばした!「「グワーッ!」」『お前ら!今度は何だよ!?』ノブザメ困惑! 17
2023-05-10 23:00:57「「イヤーッ!」」次のレッドハッグとレイテツの拳は、地面に向かって叩きつけられた。SMAAASH!瓦礫が飛散した。『危ねえ!』「ハァーッ……!」レッドハッグは荒々しく肩で息をしながら、仁王立ちであった。「……ふざけンな……止まった!」「おいお前!」レイテツが呼びかけた。「見えたか?」 18
2023-05-10 23:04:09「見え……何が……クソッ!」レッドハッグは地面に額を打ちつけた。出血もそのままに、レイテツに問い返した。「何がだい?」レイテツは答えた。「妙な場所だ。闇のなかで……シメナワ……石……」「イカれちまったな、これだから」レッドハッグは吐き捨てた。「と言いたいが、ああ。アタシも見た」19
2023-05-10 23:07:41「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イ……イヤーッ!」インシネレイトは殴りつけた。己の顔面を。「……」彼は鼻血を流し、己の拳を見つめた。「……イヤーッ!」もう一度、己の顔面を殴りつけた。メガネが吹き飛び、仰け反った背から炎が奔り、後ろの建物を燃やした。 20
2023-05-10 23:13:19「ザ……ザッケンナコラー……」彼はやや上の空で懐に手を入れ、スペアのメガネを取り出し、かけた。そしてガーランドを見た。ガーランドは拳を抱え、既にセイケン・ツキを止めていた。そしてインシネレイトを見ていた。「何をやっている。自分で自分を殴ったのか」「ア?いや、関係ねえッスよ」 21
2023-05-10 23:16:11「二度殴っていたな」「ア?何言ってるか何もわかんねえ。多少テンション上がったら幾らでも自分の顔を殴りますよ俺は。普通ですよ。ッたく、何なんだよ。変な夢見ましたよ。何でセイケン・ツキなんかしてんだよアンタは」「していたぞ、お前」「アンタもしてたでしょ」「止めたがな」「俺も止めた」22
2023-05-10 23:21:10彼らは睨み合った。「鐘が鳴り、そして……時間の感覚が奇妙だ」「前からでしょうよ。ネオサイタマがこんな風になっちまってからは」インシネレイトは舌打ちした。彼は付近の建物から無雑作に他人のジャケットを持ってきて、肩に羽織った。「イヤーッ!」「イヤーッ!」二人は高く跳び、屋根に上る。23
2023-05-10 23:24:42「なんだかわかんねえんだよな」インシネレイトは顔をしかめ、拳の骨をボキボキと鳴らした。「わかんねえけど、なんかわかるんだよ。ニューロンをよォ。ナメクサられた。だろ。……あっちだろ。あっちなんだろうがよ」摩天楼から屹立するスゴイタカイビル……であった筈の、黒い柱めいた影。 24
2023-05-10 23:27:53「俺らがその……セイケン・ツキをよォ。始める前に、スゴイタカイビルつってよ」NSTV中継塔は今や砂嵐ノイズを流している。「やる事ァ決まってた……筈なんだ」「うむ」ガーランドは腕組みし、頷いた。「ふざけた真似を強いられた。強制を振り払った。……だが、何故それが出来た」彼は自問した。 25
2023-05-10 23:32:09「見えたのは奴のオリガミか?そして銀の……」彼は見上げた。赤黒のアブストラクト・オリガミを。「何か言ったスか?」インシネレイトがガーランドの思考を遮った。「シャンとしてくださいや。やる事決まってンだ!」「……」ヒュパン!答える代わりに、彼は鞭を打ち鳴らし、キアイした。 26
2023-05-10 23:37:20「イヤーッ!」「イヤーッ!」カラテ・シャウトを発し、二人のソウカイ・シックスゲイツは屋根の上を走り出した。そのシャウトは、同期されたセイケン・ツキのシャウトとは異なるものだった。彼らだけではなかった。幾つもの同期ズレが今、ネオサイタマで発生しつつあった。 27
2023-05-10 23:39:08雑居ビル屋上、再びザゼンしながら、ゼンマスターはネオサイタマを俯瞰し、片手で胸に触れ、片手で思慮深く顎を擦った。「我がソウルが騒いでいる。否、この感触は非なるもの……非ソウル……我が内の……すなわちモータル性の疼きか……?」彼は眉間に皺寄せ、目を閉じた。 28
2023-05-10 23:43:06抵抗の余地すらなく、キンカクの威光はあの瞬間、恐らくネオサイタマ全域のニンジャソウル憑依者――即ち彼自身をも含むが――を従わせ、セイケン・ツキせしめた。どれほどの時間セイケンしていたかはわからぬ。だが、何かが隷属を自覚させた。怒りが芽生え、彼は己を御した。きっかけは何だったか。 29
2023-05-10 23:49:42赤黒のアブストラクト・オリガミのビジョンが、シメナワの石のイメージへと導いた。奇妙な夢めいた光景の閃き。「解き明かすには時を要するであろうな。しかし……」ゼンマスターはびくりと身体を震わせ、カッと目を見開いた。「……これは!」彼は感じた。高速移動するニンジャアトモスフィア達! 30
2023-05-10 23:52:21「何という事だ」ゼンマスターはアグラを解いて立ち上がり、ネオサイタマを見渡す。「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」(イヤーッ!)(イヤーッ!)同期を外れたカラテシャウトの主たちが、いま、一方向をめがけ、移動しているではないか。そして、力達が向かう方角には! 31
2023-05-10 23:54:55「ゴウランガ!」彼は思わず感嘆した。それは、マルノウチ!光の柱を発していたスゴイタカイビルは今、禍々しき大樹を天空高くへと伸ばしゆく!その不穏なる地へ集まるニンジャ達!いよいよ、なんらかの重大事態が収束しようとしているのか! 32
2023-05-10 23:58:49「……ふむ……だが、急いては事を仕損じるとも言う」ゼンマスターはゆっくりと息を吐いた。「私は、ともかく常にカラテを研ぎ澄まし……いつでも動けるよう、今は状況を注視してゆくべきだろう。何かが始まろうとしている……その機を見定めるのだ……それが重要なのだ」彼は座り直した。 33
2023-05-11 00:01:56幾つもの色付きの風が、マルノウチへ、天を貫く大樹の根を目指す。一方、それらとは別方向へ単独爆走するオープンカーあり。「醜態晒したぜ!」「景気づけにガサ入れ成功させなきゃ、やってられねえ!」キモンの旗を掲げたクルマに乗ったニンジャ達が向かう先は、エネアド・サイタマ支社……! 34
2023-05-11 00:08:49