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【ビースト・オブ・マッポーカリプス後編】#7-3

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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何だ!今、NSTVのクソと大事な通信中だ!」「道路を挟んだ立体駐車場です!」「……何がだ!」「侵入者を手引したハッカーの居場所です!企業兵を差し向け対応に当たったのですが……」「道路を挟んだ……向かい?すぐそこのか!?バカな!」パワキは震えた。「とにかく、でかした!」「ですが」113

2023-05-14 18:09:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ですが何だ!早く言え!」「現場を押さえにいった企業兵が……その……全滅……」「全滅」パワキは目を丸くした。「全滅。何故」「詳細を把握するには時間が……」「フル武装だぞ。何故だ」「と、とにかく増援を送ってよろしいですか……」「そんな事イチイチ聞くな!皆殺しにしろ!」 114

2023-05-14 18:11:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハ、ハイヨロコンデー!」社員はUNIXルームにまろび戻っていった。パワキは通信端末を耳に当てた。切れている。「クソが!」吐き捨て、ふとエレベーターを見やる。ポーン。『到着ドスエ』電子マイコ音声が告げた。「ンン?」不思議な啓示めいた感覚をおぼえ、パワキは扉をじっと見た……。 115

2023-05-14 18:14:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

セトは振り返った。儀式の大詰め、予断を許さぬ状況下、光速に迫るタイピング速度を発揮していた彼は、異変を察知し瞬時にローカルコトダマ荒野からログオフした。エジプト本社の巨大な漆黒CEOルーム。彼は扉が砕ける瞬間を見た。砕け、弾け飛んだ。破片を纏い、黒橙のニンジャが、飛び込んで来た。117

2023-05-14 18:23:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

巨大な漆黒のCEOルーム内、緩慢な時間下、セトは目の前に現れた黒いニンジャを目で追う。黒い果実と黒いレタスが盛られ、黒い書物が積まれた黒いCEOテーブルの上に、ホログラムが投射される。エレベーターから雪崩れ出るキモン隊員の映像。ネオサイタマ支社のガサ入れ被害を告げるヘルプコールだ。 118

2023-05-14 18:27:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

しかし当然そんな映像は即座に切断され、拒絶された。あまりにもどうでもよいからだ。そんな瑣末事ではない。彼は今、このエジプトのエネアド本社に、このCEOルームに、このセトの眼前に、前触れ無く侵入してきたニンジャ、国際探偵サツバツナイトに、対処する必要があった。 119

2023-05-14 18:32:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……何だと?お待ちいただきたい!ここはネオサイタマではない!?エジプトのエネアド本社だというのか!?然り!遠くエジプト、NSTV特派員に変装したフジキド達は、当初より堂々と呪術的巨大社屋の正面からゲートを通過し、難敵を突破してきた!我々は誰一人としてこの事実に気づかなかったのだ! 120

2023-05-14 18:35:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ジグラットの凄絶なるイクサの後、ザナドゥを病院に送り届け、その後マスラダと屋台で会合したフジキド・ケンジは、ウキハシ・ポータルを用い、ナンシー・リン、ドラゴン・ユカノと共に、三名でエジプト入りした。ナンシーはユンコ・スズキをタキのもとへ遣わしNS支社を攻撃。本社の防備を崩した。 121

2023-05-14 18:42:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

動き始めれば、一気呵成であった。儀式が始まりセトが瞑想に入るや、立て続けにガーディアンを打ち破ったフジキド・ケンジ。ダークカラテエンパイア直系リアルニンジャの一人たるセトの抱える戦士達は実際、難攻不落。邪悪なテクノロジーと邪悪なカラテを併せ持つ歴戦の者達だった。だが、殺した。 122

2023-05-14 18:48:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『大変です!』『キモンが言いがかりを』『制止しようとした警備員が有無を言わさず逮捕されています』『既にイスハーク支社長はメガコーポ会議に参加……』『この対応を……』『本社に侵入したアサシンの件はその後如何でしょうか』NS支社から無限にポップアップするアラートを、セトは遮断した。 123

2023-05-14 18:55:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……ニンジャよ」やがてセトは渋面を作り、溜息をついて言った。「アポイントを受け付けてはおらぬぞ。余は多忙の極みなのだ」かすかに腕を動かし、カラテの構えを取る。緩慢な動きにも残像を伴う。只ならぬアトモスフィアであった。一方サツバツナイトは連戦の消耗と決意に双眸を燃やしていた。 124

2023-05-14 19:03:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「国際探偵として、私はオヌシにインタビューする。アポイントは不要だ」サツバツナイトは言った。セトは目を細めた。「如何にしてこのエジプトに?」「正規の旅程だ」サツバツナイトはジゴクめいて言った。「キョート近郊より、ウキハシ・ポータルを用いて参上したまで」「ほう」 125

2023-05-14 19:08:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

二者の間の空気が粘質の質量を帯び、唸りを上げ始めた。「それは長旅ご苦労であった。まずは労おう。これも一興……何であったか、そなたの名は。申してみよ」「……」黒のニンジャは眼前に手を合わせ、橙の火を灯した。そしてアイサツした。「ドーモ。セト・ニンジャ=サン。ダイ・ニンジャです」 126

2023-05-14 19:11:47