- mocharn3rd
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XX年 神戸 チャラチャラした男達が、ビクビクおびえた中年男性を囲っていた。 「さっさと金を出せば痛い目に遭わずに済むんだぜ」 「ひいいぅ」 そこに、ガタイのいい男が現れる。 「何やってるんだっ」 ふりかえった男達は、少しでかすぎる男にビビりながらも、ナイフを取り出した。 twitter.com/mocharn3rd/sta…
2023-05-16 03:36:13「なにっ」 「いや、よく見ろ、このデカイおっさんもいいスーツ着てるぞ」 オヤジ狩りたちは湧きたつ。 「なんだ、ボーナスチャンスじゃないか」 ガタイのいい男は、手をボキボキと鳴らした。
2023-05-16 03:36:28「舐められたもんだな。オヤジ狩りっていうのはそういうもんなのか」 そこに、あたり一面に響く声がした。 「あなたたちは、何をしているんですか」 明らかに格闘経験者、ボディビルダーかもかくやという体つきのメガネの男が、どしどしと音を立てて、やってきた。
2023-05-16 03:36:36博多 「出張してた時、静虎さんとの出会いがあったんだよ」 荒岩一味(あらいわ かずみ)は、台所で調理しながら話す。 「へえ、すげーおじさんがいるんだねえ」 一味の息子、まことは跳ねるように笑った。
2023-05-16 03:37:06「あら、お父さんもがんばったのよ」 一味の妻にしてまことの母、虹子は自分の事のように誇る。 まことは問うた。 「なんで、そんなすごい人がいたのさ」
2023-05-16 03:37:27一味は話す。 「静虎さんは銀行の特殊な仕事をしていたのさ」 「もしかして、今作ってるのって」 まことの声に、一味は快活に返す。 「ああっ!」
2023-05-16 03:37:34・水炊き 「いろんな野菜やきのこ、肉を鍋にぶちこんで、それぞれ小皿にとって、好きなドレッシングやタレ、しょうゆなどでいこう! 肉はよく加熱するんだぞ!」
2023-05-16 03:37:44まことは少しうろたえた。 「これ、ちょっと"無難"な選択なんじゃ……?」 一味は苦笑いした。 「静虎さんは、提供されたものは文句なく受け入れる人なんだ」 「そ、そっかぁ……」 「だが、今は違うぞっ」 ぎゅ、と一味はさらに動いた。
2023-05-16 03:38:04「鶏ガラスープかダシを加えたスープに、もどしたわかめやもやし、それから溶いた卵をまわし、少し醤油を加える。そこにごま油を食われればカンタン中華スープだっ!塩分を抑えれば」 「あなた~、静虎さんがいらしたわよ~」 一味はズッコケた。
2023-05-16 03:38:19スラッとならんだ食事に、静虎は背筋を正した。 「一味さん……私のために、ここまで……」 「そんなこと言わないでください。気楽にやりましょうよ」 「うわあ・・・でっかい……」 「こらっ」
2023-05-16 03:38:29静虎は笑った。 「いいんですよ虹子さん。まことくん、私はずっと前に君に会ったこともあるんだよ」 「ごめんなさい! へぇ~……、あの、すごい、っていいたかったんです!」 静虎はまことを撫でて、虹子を見た。 「荒岩家は素敵ですね」
2023-05-16 03:38:37「さすが一味さんです……おいしくて栄養が十分な料理を作る姿は尊敬します」 たはは、と一味は笑った、 「静虎さんも、男手だけで熹一君を育てるのは尊敬しますよ」 「そうですか」 ふふ、と静虎は笑った。
2023-05-16 03:38:45「そうだっ、せっかくなんで、博多ならではの料理を覚えていってくださいよ」 ば、と一味は台所に向かう。 「えっ」 うろたえる静虎をよそに、一味は冷蔵庫をあさる。 「これだっ」
2023-05-16 03:39:05ニラを一口大に刻み、モツとキャベツをこれまた一口大に刻む。 「熹一君は、灘神影流を継承するんでしょう」 「……はい」 「なら、スタミナが必要だっ」
2023-05-16 03:39:19・明太子ポテトサラダ ジャガイモの皮をむき、細かく刻む。さらに竹串でついて熱の通りを良くする。 そこから軽く水を振り、レンジで加熱した後に、マヨネーズと明太子をあえて、つぶしながらまぜる。
2023-05-16 03:39:31・モツ鍋 「ニンニクやニラ、キャベツ、もやし等、野菜をたくさん加えてもホルモンの油の味や味噌でコクが味わえる、うまいぞ!」 「ニンニクの口臭が気になるなら、牛乳を飲んだり、それ用のミント系のタブレットが撃ってたりする。休日前に作るのがオススメだな」
2023-05-16 03:39:46翌日 静虎は新幹線で神戸に戻るところだった。それを、一味とまことは見送る。虹子は仕事だった。 まことは静虎に握手を望む。 「静虎さん、お父さんを助けてくれて、ありがとう」
2023-05-16 03:40:05用意されたかのように、静虎がいって、まことの手を握った。 「助けられたのは私のほうですよ」 一味は握手を求める。静虎はそれにこたえる。 「またいつか」 「ええ、いつか」
2023-05-16 03:40:17