不思議な自画像（『ソフォニスバ・アングイッソラを描くベルナルディーノ・カンピ』）

砂手紙 @sandletter1

１・今日はみなさんに不思議な自画像をご覧いただきたいと思います。作者はソフォニスバ・アングイッソラ、絵のタイトルは「ソフォニスバ・アングイッソラを描くベルナルディーノ・カンピ」絵を描いている男性と、描かれてる女性がいますね。すぐにわかるのは、女性の手が3本あることです。 pic.twitter.com/sBeeTuz6E2

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2・手が3本あるのは「絵の修復中」だからだそうで、作者のソフォニスバ・アングイッソラはイタリアのルネサンス期（16～17世紀）の女性画家という、当時にしては非常に珍しい職業で、裸体画を描くというデッサン修行ができなかったために大変苦労してスペインの宮廷画家になった人。

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3・つまり、この絵の中の、絵の中の女性がソフォニスバ・アングイッソラ。ややっこしいので二度言いますと、「ソフォニスバ・アングイッソラを描くベルナルディーノ・カンピ」で描かれてる女性がソフォニスバ・アングイッソラ。

砂手紙 @sandletter1

4・え、じゃあ「ベルナルディーノ・カンピ」ってのは誰、という疑問は出ると思うんですが、それ、つまり絵の中の男性は、ソフォニスバ・アングイッソラの絵の最初の師匠です。

砂手紙 @sandletter1

5・ところで、この絵の中の男性と女性、実はタッチがすこし違うんですよね。つまり、ベルナルディーノ・カンピが描いていることにしているソフォニスバ・アングイッソラは、ベルナルディーノ・カンピのタッチを模倣してるのね。

砂手紙 @sandletter1

6・で、ベルナルディーノ・カンピはソフォニスバ・アングイッソラのタッチで描かれている。なんでそんなふうにしたのかというと、自分は師匠の技術を完全にマスターしてるし、さらに自分の技術も持ってます、というアピール、つまり就職口（パトロン）募集のための絵なんです。

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7・わかりやすく言うと、森進一の真似をしているコロッケ、の真似をしている森進一？　全然わかりやすくないね。しかしこの自画像、なんでこんなメタな発想ができたものか、不思議でしょうがない。「○○を描く××、を描く○○、を描く××…」と、これはドロステ効果と呼ばれるものの変形かな。