twblnovel １１月上半期

ハウリル @how_howlite

あまりにも自然に隣に座っているせいで、コイツが恋敵だということを忘れてしまいそうだ。あまりにも自然に話が弾んでいるせいで、コイツが自分の恋路を邪魔する敵だということを忘れてしまいそうだ。「相性バッチシってことだろ？あのコはやめて、俺にしようぜ？」だが断るっ！ #twblnovel

ハウリル @how_howlite

深夜の生放送のラジオで起きた小さな事件。人気男性アイドルが、「好きな人がいる」と告白した。その人は一般人で、自分がアイドルだからって特別扱いしない所が好きだとか。でも自分は、アイドルという立場があるせいで告白ができないという。こんな深夜に。狡い言い訳だ。 #twblnovel

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スキャンダルとしては小さい話だったが、それでも世間に与えた影響は小さくなかった。「あなたに会える時間が増えちゃいました」困ったように笑って、おどけるアイドル。レモネードを飲んで、馬鹿だと突き放すと、本当に困った顔を見せた。特別扱いをしなかった覚えは、無い。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「はーい…、い！？」そりゃ、驚くだろう。ドアを開けたら目の前に、服を血に染めた男が立っていたのだから。「ど、どうしたんですか、療志さん！？」「…突然、襲われた。から……」「ま、待って…、もしかして…！い、今シャワーの用意を…！」「いい。大丈夫。返り血だから」 #twblnovel

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そりゃ、キョトンともするだろう。顛末は簡単。突然襲われた僕は、三人組を返り討ちにした。僕は、君が思う程弱くは無い。「僕は、大丈夫だから…」弱くは無い。のに。「大丈夫…、だか、ら…っ！」怖いと思った。そしたら、遊也の顔が思い浮かんだ。ここしか思い付かなかった。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「療志さんが無事なら、良かったです」やめろ。そうやって優しく抱きしめるな。そうやって優しく慰めるな。僕に優しくするな。涙が溢れる。どんどん溢れて、遊也の服に吸い込まれていく。コイツを好きになっては駄目なのに。誰かの、みんなの、“アイドル”を、好きになっては。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「よろしくお願いします！」元気な挨拶の新入社員。笑顔だが、眼鏡の奥の瞳は笑ってない。「それじゃあ、何か聞きたいことは？」にへらと、嫌いな上司にする媚びへつらった笑いを自然にしてしまった。「いえ、今は特に」一瞬覗いた舌先と、品定めをする視線。この新人は危ない。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

だいぶ爪が伸びてきたな。自分の指先を見つめながらぼんやりと考える。爪切りを探しかけたが、次に彼と会う日の予定を思い出して止めた。その日に会えば、どうせまたしばらくは会えないんだ。だったら、簡単には消えない傷痕を付けてやろう。彼の背中に、罪の証を刻んでやろう。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

首筋に噛み付き、この牙でその肌を傷付ける。そこから溢れる血が、我々の喉を潤す極上の美酒なのだ。「手首じゃダメなの？」え、まぁ、別に大丈夫ですけど…。「じゃあ、太股でもいいよね？」いや、ちょっと。「ホラ。噛み付いてご覧よ、吸血鬼」待って、ズボン脱がないで！ #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「お客様…。声は押し殺してくださいね…」試着室に押し込められて、密着する男二人。俺と、見ず知らずの店員。「何をっ…！」「知らないんですか？あなた、この売場の男性店員全員から狙われてるんですよ」そう言って、ズボンを脱がしていく。熱い接客の、裏の意味を垣間見た。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「一口いかがですか？」引き攣った笑顔で、すき焼き風のたれで煮た牛肉を勧めてくる男。「これ全部食べたら仕事終わる？」「ワケねーだろ馬鹿野郎。時間まで働くっての」「これ全部買ったら仕事終わる？」「やれるもんならやってみろよ」仕事中の恋人は、忙しいのか素っ気ない。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

名前を知らない。君の名前も知らなければ、この感情の名前も知らない。「教えてあげる」呪文のように、呟けば心が暖まる。呟けば胸が痛くなる。呟けば涙が溢れてくる。君の名前。でも、この感情の名前は知らない。名付けられたら、何かがつまらない物になりそうな気がして。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「…合計で３６２７円です」そう言って袋に詰めた本の表紙は、全て男同士がくっついている漫画。ＢＬを買う客は珍しくないが、目の前の客は男。嬉々としたその顔をうげーっなどと思いながら、お釣りを渡す。いつもの癖で手を添えて渡すと、一瞬客の顔が赤らんだ。可愛い。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

某デパートは、男性カップルの高出没率で一部に有名なデパートだ。今日も、店内の至る所に設置されている監視カメラが、様々な男性達の恋模様を映し出す。「はぁ……っ！もっと、強く…！」「あんまり乱れるな。煽ってんのかよ？」警備室の中も、例外ではない。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

設計士がトイレは全室完全防音とか変なこと吐かして、社長もやけにそれに賛同して、変だなーって思ってたら、こういう事かよ。「ここのトイレ、発展のメッカなんだって」「こんなトイレで何盛ってんだ」「いいじゃん。軽く一発ヤろうぜ？」「ヤだ。家で何発もゆっくりヤりたい」 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「教師と生徒は禁断って言いますけど、高校生なんだからその辺の分別はついてると思いません？歳の差だって、気にしてたら恋はできませんよ。ましてや、男同士とか考えるまでもなく問題無いじゃないですか。お互いフリーなんだから」「黙れ留年生。単位取ってから出直してこい」 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

事あるごとに「お前と友達になれて良かった」とか、「お前が友達だなんて、俺の誇りだぜ」とか、「お前は頼れる友達だよ」とか、「お前は最高の親友だ」とか言うアイツを、縛り上げて口にガムテープ張って黙らせて俺がどれだけ好きなのか熱く語りながら目茶苦茶に犯したいです。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

酔っ払い達の王様ゲームは怖ぇ。「３番と１番がＤキス！」命令通り行う１番の男と３番の男のディープキスを、誰もが陽気に笑いながら見ている。生々しい音、口の端から垂れる雫。「次は俺！じゃー、４番が王様をフェラしろ！」そう言ってズボンを脱ぐ王様。ブレーキは何処だ。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

目覚まし時計には裏切られ、改札には嫌われ、電車には逃げられ、黒猫にすら避けられる程の不運ぶっちぎりな朝。遅刻して教室に入れば皆からの視線も一斉に注がれ、聞こえるクスクス笑い。最悪だと机に突っ伏せば、覚えの無い落書き。「今日の放課後に屋上」嫌な予感しかしない。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

最悪の一日を締め括る呼び出しは、同じクラスの男子から。「これ、なーんだ？」ケータイの画面には、俺の女装画像。「こういう趣味があるんだな？ヘンタイ君」羞恥に顔が赤くなる。「どうよ？バラされたくなかったら、俺の言うこと、何でも聞けよ」最悪の交渉に、男子は笑う。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「その画像、どこで見付けた？」聞く。「は？ネットだよ」「〇〇ってサイトだろ？」一瞬、相手が怯む。「そこ、会員制なんだぜ。俺が投稿したその画像が、そんな簡単に流出する訳無い」なら、何故その画像を持ってるか？考えるまでもない。「お前も会員なんだろ？ヘンタイ君？」 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

完全に言葉に詰まる男子。「脅迫するつもりだったんだろ？残念。そんなことしたら、お前も道連れだ。『女装男が好きなホモ野郎』ってな」この言葉が効いたのか、男子は舌打ちをして屋上を出ていこうとする。その肩を掴んで引き止めた。最悪な一日の最後に、良い玩具を見付けた。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

風邪を引いて寝込んでたら、恋人が来てお粥を作ってくれた。「美味いな…。何が入ってるんだ？」「味付けは塩だけかな。で、栄養が要るから総合ビタミン剤も。タンパク質、ビタミン、亜鉛、クエン酸にナトリウムとか…俺の愛情と一緒にな☆」俺は、お粥をソイツにぶちまけた。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

一直線に放たれた矢が、的の中心を撃ち抜く。張り詰めた空気はフッと緩み、凛々しい横顔はそっと微笑む。「お見事！」自然と漏れた拍手。振り返った君の笑顔が眩しい。その柔らかい笑顔が、何度僕の胸を打ち抜いたことだろうか。そして、あの凛々しい表情にも射抜かれたい。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

飛び込みに失敗した。隣のコースで泳ぐアイツには、結局追いつくことができずに負けてしまった。「俺の勝ちだな」「あー、チクショー…。悔しいなぁ」「飛び込みに失敗したんだろ？フォームが乱れてた」「見てたのか？」途端に、顔を真っ赤にして、目を逸らしやがった。 #twblnovel