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【ビースト・オブ・マッポーカリプス 後編】#10

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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「GRRRRRR!」次なるクロヤギが跳ね踊り、ニンジャスレイヤーに突っ込んでくる!「イヤーッ!」「GRRRR!」ニンジャスレイヤーはクロヤギを蹴り上げ、ヌンチャクで叩き潰す!「イヤーッ!」アヴァリスは砕けたクロヤギを体当たりで轢き潰し、その身に取り込み、ニンジャスレイヤーめがけ加速! 15

2023-06-01 23:18:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KRAASH!アヴァリスの突進がニンジャスレイヤーを通過した。ニンジャスレイヤーは防御、あるいは回避……高跳び選手じみて水平キリモミ状態で宙にあった。捻じれ角と共に流星じみた速度で突進するクロヤギのカラテ、サテュロス・リープ。そしてこの突進には続きがあった。一瞬後、突進は戻ってきた。16

2023-06-01 23:22:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」KRAAAAASH!コンマ1秒で天蓋の端に衝突したアヴァリスは、己の身を砕き潰しながら反射方向転換し、跳ね返るように再びニンジャスレイヤーに突進した。蔦の中からクロヤギが生じ、アヴァリスに追いすがった。崩れた身体にクロヤギを塗り込み、再生しながら……!「イヤーッ!」 17

2023-06-01 23:27:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」KRAAAASH!アヴァリスがニンジャスレイヤーを通過した。そして戻ってきた。またも彼は己の肉を砕きながら方向転換した。彼にとって、肉など無尽蔵に足す事ができる素材に過ぎない。万物は彼の支配下だ。ニンジャスレイヤーは轢殺じみて空中キリモミ回転。アヴァリスは更に跳ね返った!18

2023-06-01 23:31:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「イヤーッ!」KRAAAASH!再び彼らは交差した!アヴァリスは天蓋を蹴り、足を潰し・治しながら方向転換する。そして一方、ニンジャスレイヤーは為すすべなく……否……ニンジャスレイヤーは傷つきながら、その身にヌンチャクの鎖を巻き込んで、がんじ絡めとなっていた。 19

2023-06-01 23:33:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

この極限の瞬間、貴方の視界はニンジャアドレナリン過剰分泌によって泥めいて鈍化している。見よ。更なるサテュロス・リープを行おうとするアヴァリスが訝しみの表情を浮かべている。山羊、猛牛、レイヨウを不定に行き来する彼の二本の捻じれ角に、微かな亀裂がある。亀裂は彼の肉体と繋がっている。20

2023-06-01 23:37:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

流転する万物。否。彼のなかの不変のもの。亀裂。血の粒が宙を舞う中、鎖にがんじ絡めとなったニンジャスレイヤー。ゆっくりと舞う血の粒が、ひとつ、ひとつ、またひとつ、内より黒炎を発し、センコ花火の炸裂めいてパリパリと散る。アヴァリスが止まる事はない。既に再度の突進をかけている。 21

2023-06-01 23:43:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」アヴァリスとニンジャスレイヤーが交差する。アヴァリスは破砕しながら反射する。ニンジャスレイヤーはさらに衝突を受ける。鎖の隙間から赤黒の血が噴き出す。否……赤黒の血を噴き出させる。スラスターじみて燃える血を噴き出させ、回転の速度を増す。アヴァリスが跳ね返る……。 22

2023-06-01 23:49:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「イヤーッ!」」KRAAAASH……アヴァリスはニンジャスレイヤーを撥ね飛ばし……戻ってくることはなかった。天蓋に衝突し、潰れたアヴァリスのもとへ、大樹の内より生じた数匹のクロヤギが集まり、取り込まれ、再生させた。だが、身体に生じた亀裂は不変だった。今やはっきりと燃え輝いていた。 23

2023-06-01 23:56:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一方、ニンジャスレイヤーは受け身も取れず、うつ伏せに倒れた。アヴァリスは踏み出した。「ヌウウッ……」一歩。二歩。刳り刻んだような燃える亀裂が、緑黒の肉体の瑕疵となり、凄絶に脈打っていた。三歩あるいたとき、角の一方が折れ、ボロリと落ちた。肉体から繋がる亀裂。その切断面は赤黒い。 24

2023-06-02 00:00:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

神秘的観測者にふさわしきニンジャがこの激しいヒサツ・ワザの果てを見守っていたならば、或いは見えただろう。執拗なサテュロス・リープの衝突のたび、ニンジャスレイヤーはヌンチャクで打ち返し、その身に鎖を巻き付け、極限にまで引き絞りながら、次の反射突進を迎え撃つ。それを繰り返した。 25

2023-06-02 00:03:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ヌンチャク・オブ・デストラクション。それはまさにニンジャ始祖カツ・ワンソーの骨より生み出された破壊の神器である。ニンジャスレイヤーの手にあるそれは、モータルの怨嗟がキンカクの力を取り込み、変質せしめた、いわば克服の力。赤黒の火はキンカクの暴虐を繋ぎ止め、克服する。 26

2023-06-02 00:11:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

赤黒の楔は、カリュドーンの儀式の犠牲となってバラバラに剥離しようとしていたネオサイタマを繋ぎ止めた。赤黒の楔は、無限に流転するアヴァリスの混沌に、不変のスティグマを刻み、繋ぎ止めた。アヴァリスはもはや亀裂を無視できない。混沌の餌食とした筈のネオサイタマに燃え続ける赤黒の火を。 27

2023-06-02 00:16:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……。……」ニンジャスレイヤーは震える手を突いて、身体を起こそうとする。立ち上がり、アヴァリスと再び対峙し、倒すために。アヴァリスはニンジャスレイヤーのもとへ近づこうとする。破壊し、消すために。カリュドーンの獣を。否。己を害することのできる存在を。ニンジャを殺すものを。 28

2023-06-02 00:21:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……。……」アヴァリスはニンジャスレイヤーに近づく。花々のあわいからクロヤギが湧き出し、アヴァリスを這い登り、同化する。だがもはや意味はない。肉体など、はなから治り切っているのだから。赤黒の亀裂は消えることがない。それは即ち、アヴァリスがネオサイタマから奪えなかったものだ。 29

2023-06-02 00:26:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

幾度も、幾度も。ニンジャスレイヤーはカラテを重ね、アヴァリスの亀裂を、もはや確固たるものとした。……而して……「……。……!」ニンジャスレイヤーは立ち上がらねばならない。アヴァリスはカラテを漲らせ、ニンジャスレイヤーに迫る。着実な歩み。消えない傷に己を慣らすかのような。 30

2023-06-02 00:29:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……!」ニンジャスレイヤーは蔦に指先を食い込ませ、あがく。ここで死ねば犬死にだ。帰るのだ。帰るのだ……。アヴァリスはそれを見下ろし、チョップを振り上げた。「……ハアーッ……」亀裂が燃える。研ぎ澄ませたチョップは成り立ちそうにないと感じた彼は、拳を固く握り込んだ。 31

2023-06-02 00:33:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

砕けた鎖の破片が、ヌンチャクの柄が、燃えながら装束に、彼の身体の中に、呑み込まれてゆく。「スウーッ……。フウーッ」ニンジャスレイヤーは指先に力を込め、握りしめる。ずっと下にあるギンカクを感じ取る。立ち上がろうとする。アヴァリスは拳を……叩きつける!「イヤーッ!」「イヤーッ!」 32

2023-06-02 00:35:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは立ち上がり、振り向きながらアヴァリスの顔面を殴りつけていた。瞬間発火じみた速度。「ヌウーッ」アヴァリスは仰け反り、耐え……殴りつけた!「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは踏みしめ、堪えた。真後ろを向かされるような打撃。振り返……る!「イヤーッ!」33

2023-06-02 00:38:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」アヴァリスは仰け反り、耐え……殴り返す!「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは堪え……殴り返す!「イヤーッ!」「グワーッ!」アヴァリスは、耐え……殴り返す!「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは堪え……殴り返す……「イヤーッ!」「グワーッ!」 34

2023-06-02 00:40:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アヴァリスは……殴られながら……殴りつけていた。体格に任せた確信的な打撃、畳み掛けるような拳だった。ニンジャスレイヤーは押し負け、焦点を揺らし、膝をつく。アヴァリスはニンジャスレイヤーの首に手をかける。緑黒の腕に縄めいた筋肉が浮かぶ。ニンジャスレイヤーの手が……降りた。35

2023-06-02 00:46:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

亀裂が赤黒く燃えた。アヴァリスは殺意溢れる笑みで痛みを塗り潰し、ニンジャスレイヤーの首を締め上げ、首骨を破壊しにかかった。嘶きと嘲笑を伴い、彼の巨躯からクロヤギが湧き出し、ニンジャスレイヤーの腕に、肩に、背中に喰らいついた。ニンジャスレイヤーが再び焦点を結んだ。眼前の亀裂に。 36

2023-06-02 00:51:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

降ろした掌の上に、それは滑り落ちた。ニンジャスレイヤーは躊躇なく……あるいは本能に導かれるように……それを握り、埋め込んだ。アヴァリスの亀裂の中に、深く、深く、埋め込んだ。それは黄金のクナイだった。セプク・オブ・ハラキリという名を与えられた、呪われし刃だった。 37

2023-06-02 00:53:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グ……!」アヴァリスは震えた。ニンジャスレイヤーは柄まで押し込んだ。「グワ……!」「こんな……くだらないものは……!」ニンジャスレイヤーはカッと目を見開いた。「……貴様に……くれてやる!」裂き広げる!「グワアアアアアーッ!」DOOOOOOM!正体不明の鳴動音が世界を震わせた! 38

2023-06-02 00:59:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アアアアアア……アアアアア!」アヴァリスは激しく震え、苦痛の反動に両手をひろげた。クロヤギたちが漏れ剥がれ、ひきつけを起こしたように硬直して宙を漂った。「AAAAARGH!」DOOM!鳴動!植物天蓋が枯死し、バラバラに剥がれ、飛び散る!爆発!一瞬後、獣と狩人は星の海に投げ出されていた! 39

2023-06-02 01:03:17