【ビースト・オブ・マッポーカリプス後編】#12

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KBAM！アンク型の力ある焼き印が衝突点に発生し、二者は互いに弾かれ、タタミ３枚距離をノックバックした。視線が交錯する。セトは訝しんだ。アンク型のエネルギーの痕跡は消滅せず、崩壊しながら姿を変え、赤黒のアブストラクト・オリガミとなった。儀式荒野を更なる亀裂が襲った！　19

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

セトは眉根を寄せた。彼の心眼は瞬時に複数の要因を導き出した。「イヤーッ！」写し身がわかれ、ヒラグモ・デーモン付近にチラつく透明の輪郭を破壊しに向かう！「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーはセトのカラテを潜り抜け、写し身を止める！庇われたナンシー・リンが離れた地点に再ログインする！　20

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セトは不快さに目を細めた。「モータル如きがオヒガン祭祀の真似事を」「イイイイヤアアーッ！」写し身を引き裂くニンジャスレイヤーの目が燃えた！「おれの相手は貴様だ！」「コシャクな……！」セトは舌打ちとともに古代エジプトカラテを構えなおし、残像を発生させながら横へスライドした。　21

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは燃えるスリケンを複数投じ、写し身を砕き、その反動のままに襲いかかった。「イヤーッ！」「イヤーッ！」セトはニンジャスレイヤーを迎え撃った。腹を穿つような水月突きが入った！だが背中から噴き出したのは臓物ではなく赤黒の炎だった。セトはなお訝しむ。 22

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ！」「ヌウーッ！」ニンジャスレイヤーは殴り返した。セトは地面を滑って後退し、防御姿勢をとる。カラテ衝突地点に新たな赤黒のオリガミが生じ、亀裂が深まった。ニンジャスレイヤーは外から力を取り込んでいる。儀式への電子的攻撃トラフィックから力を引きずりこんでいるのだ！　 23

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セトはこの儀式空間からカリュドーンの儀式を管理してきた。邪悪なネットワークを張り巡らせた現実のネオサイタマに、激烈な影響を及ぼしてきた。だが今、その力の経路は逆転し、カリュドーンを拒絶する力が、赤黒の楔が、セトの儀式空間を、そしてセトを、明確に害しているのだ！　24

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「イヤーッ！」「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーはセトを抉った。セトは写し身にダメージを逃がすが、間髪入れぬ二度目の打撃が本体に届いた。「ヌウーッ！」セトはノックバックした。前傾姿勢のニンジャスレイヤーがさらに間合いを詰める！「イヤーッ！」「イヤーッ！」セトは蹴り上げる！　25

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「グワーッ！」打ち上げられたニンジャスレイヤーは、炎を振りまきながら螺旋回転した。セトは必殺のカラテ、オシリス・スプリッターを空中のニンジャスレイヤーに叩き込み、五臓六腑断裂四散せしめる構えを……捨てねばならなかった。かわりに彼はメインフレームUNIXにリソースを送った！　26

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01ノイズ火花と共に、セトの写し身は現身となってエネアド本社最深部メインフレームUNIX室に出現した。システム・カリュドーンに攻撃を仕掛けるモータル……LAN直結したナンシー・リンの脳天に、彼はチョップを振り下ろす。「イヤーッ！」「キエーッ！」待ち受けていたのは、ドラゴン・ニンジャ！　27

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バッ！バ、ババッ！木人拳じみた小宇宙カラテ応酬は数秒に満たない。短打につぐ短打を制したのはドラゴン・ニンジャ！「グワーッ！」01ノイズと共に散るセト！ドラゴン・ニンジャは脇腹を抉ったダメージに耐え、ジュー・ジツを維持！「セト・ニンジャ＝サン！望むなら幾らでもかかってまいれ！」28

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「ハトリ者ごときが……どの口でほざきおるか！」セトは瞬間的憤怒にかられた。モータルの護衛に興ずる神話リアルニンジャ、ヤンナルネ！彼は全リソースを投入しドラゴン・ニンジャを容赦なく破壊し去りたい欲求を電子コンマ001秒で抑え込み、ニンジャスレイヤーとのイクサに集中する！　29

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然り！セトはニンジャスレイヤーを想像外の強敵ともはや認めた。完膚なきまでに叩き潰す。セトの蹴りを受け空中で螺旋回転するニンジャスレイヤーは数電子秒後に身体コントロールを取り戻し反撃してくるだろう。たちまち儀式空間のあちこちから溶岩が噴き出し、空が裂け、石碑が割れた。過負荷だ！　30

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オシリス・スプリッターは宿敵ウシル・ニンジャを滅ぼしたのちに完成させた古代エジプトカラテ奥義。かつてカリュドーン儀式のフィードバックを利用してウシル・ニンジャを葬り去ったセトだったが、その後も抱いた敵意が昇華される事はなかった。記憶の彼を八つ裂きにするカラテを編み出すまでは。　31

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セトに挑み、キンカク・テンプルを支配する彼の野望のまえに立ちはだかるニンジャスレイヤーは、オシリス・スプリッターの贄とするにふさわしい敵と言えよう。維持リソースを手離したことで儀式空間が崩壊するなか、セトは動いた。「イヤーッ！」空中のニンジャスレイヤーの横に彼は出現した。　32

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「イヤーッ！」セトはニンジャスレイヤーに空中回し蹴りを叩きつけた。ニンジャスレイヤーは一瞬早く体勢復帰した。「イヤーッ！」燃えるような空中回し蹴りで応じた。セトはその背後に新たなセトを生み出していた。セトはニンジャスレイヤーの背中にカワラ割りの拳を振り下ろした。「イヤーッ！」33

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「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは燃えるマフラー布を旋回させ、横殴りの拳でカワラ割りを相殺しようとした。相殺しきれず、真下に弾かれるのを、新たなセトが地面で待ち受けていた。「イヤーッ！」連続昇り蹴りを繰り出す！ニンジャスレイヤーは燃える血を噴き出し、反動で振り向き、殴り返す！　34

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「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」連続チェーンパンチと連続昇り蹴りが相争う！カラテ衝突しながら徐々に空中に上昇する二者の周囲に、新たなセトが出現する！「イイイイイイ……」セトは稲妻めいたトビゲリを繰り出す！「イヤーッ！」「グワーッ！」 35

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トビゲリが入った！その瞬間には新たなセトがトビゲリを繰り出している！ナムアミダブツ！これがオシリス・スプリッター！「イヤーッ！」「グワーッ！」弾かれるニンジャスレイヤーに、新たなセトがトビゲリを浴びせる！「イヤーッ！」「グワーッ！」新たなセトがトビゲリを浴びせる！「イヤーッ！」36

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「グ……」儀式空間を流れる時間が泥めいて鈍化し、顔面にトビゲリを受けたニンジャスレイヤーは……ゆっくりと……セトを……睨んだ。蹴りを受け、地面に叩きつけられようとしながら、ニンジャスレイヤーはセトの脚を掴んでいた。セトは知覚した。経由した全打撃の痕跡がオリガミとなっている事を。37

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ニンジャスレイヤーを蹴り降ろしながら、セトは叫んだ。「どのみち貴様は終わりだ！悪あがきに過ぎぬ！滅びよ！」ニンジャスレイヤーはセトの脚を決して離さず、叫び返した！「滅ぼすのは、おれだ！貴様を！」KRAAAAAASH！儀式荒野の地面に、二者が衝突した！　38

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニンジャスレイヤー＝サン！」ナンシーは極度加速したニューロンで目撃した。赤黒のオリガミ全てが真っ赤な光を放つと、ニンジャスレイヤーの肉体が呼応し、ジゴクめいて燃え輝いたのを。衝突の寸前、ニンジャスレイヤーはトビゲリの威力に押し勝ち、脚を掴んで、セトの身体を叩きつけていた。　39

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

DOOOOM……放射状の風が荒野に広がった。ニンジャスレイヤーが、立った。ボロボロとマフラー布が燃え落ち、全身から熱蒸気が立ち昇った。「……」不完全燃焼じみて、だらりと垂れた両手の炎が焦げた音を発した。「……！」打ちのめされ、倒れたセトに、全てのリソースが呼び戻されていった。　40

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」セトは時間を巻き戻すような動きで立ち上がった。崩壊にまかせた儀式荒野が鳴動するなか、セトはカラテを構えた。食い縛った歯の隙間から血が流れた。「……」背後に、気配。サツバツナイトがサツキした腕で強引な裏拳を繰り出し、動きの鈍ったセトの写し身を破壊した瞬間だった。　41

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」「……」ズンビーめいた、おぼつかない踏み込みで、傷ついたニンジャスレイヤーとサツバツナイトが、セトに近づこうとした。「……」「……」だが、どちらも二歩目はなかった。肩を上下させ、焦げた息を吐き、赤黒と黒橙のニンジャは、爆発四散に抗っていた。セトは鼻を鳴らした。　42

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セトは身体を捩じりながら、しゃがみ込んだ。放射状に吹き抜けていた風が逆流し、セトのもとへ集まり始めた。リアルニンジャの全身が、異常緊張した骨と筋肉の軋み音を発した。「……イヤーッ！」セトは無慈悲なるアルファ・フージン・ジツを放った。破滅が渦を巻き、二人のニンジャを襲った！　43