【妄想劇場】「11.11大手町不祥事件」

ジャイアンツのオーナー解任騒動を2.26事件風に書いてみました。
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スワローズ妄想劇場 @swa_mou

妄想劇場【11.11大手町不祥事件】※このお話は全くのフィクションであり、実在の団体、人物、建物等とは関係ありません。

2011-11-20 03:37:20
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

【11.11大手町不祥事件】・・・この国の首都を守る司令部に、一人の将軍と数人の若手将校が集まっていた。「中将閣下、この国の腐敗は目を覆うばかりです!」「先ほども閣下の意向を覆して師団長を交替すると通告してきたではありませんか!」若手将校は口々に不満を叩きつける。

2011-11-20 03:38:40
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

もちろん矛先は目の前の将軍・・・首都防衛軍司令の清武中将ではない。実務的な命令系統ではないにもかかわらず、何かと口を出してくる「元老」の事であった。「元老」の口出しによって訓練や軍備の増強は計画通りには行かず軍全体が弱体化していた。それは国民も認めるところであった。

2011-11-20 03:39:14
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

清武中将とその部下は度々口出しに抵抗していたが、対立が顕著化し、もはや限界に達しようとしていた。若手将校の筆頭、師団歩兵中佐の品川中佐が叫ぶ。「元老討つべし!このままでは国が滅びます!」何度も繰り返されたこの話に清武中将はしばらく目を瞑って聞いていたが「・・・分かった、やろう。」

2011-11-20 03:40:29
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

そう言って立ち上がり、彼の副官である四谷大尉から受話器を受け取り、盟友である桃井少将に電話を掛けた。この国を揺るがす「クーデター」の開始であった。既に計画は立てられていた。この国の闇の部分を取り払う正義という名目の為、テロによる暗殺等は計画外とされた。

2011-11-20 03:41:33
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

まず清武中将が文部省にて会見を行い、「元老」の反軍的な活動と政治の腐敗を訴えると同時に行動開始。桃井少将が師団を率い国政の要所を占拠する。最終的な目標は「元老」の排除。単純極まりない計画。ゆえに失敗は少ない。その後は・・・政権がどうなろうと気にしない。

2011-11-20 03:42:23
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

ただ、軍を自分好きなように強化させてもらう。そんな事を考えながら文部省の会見場に集めたマスコミの前に立った。「みなさん、ご承知の通り、この軍の弱体の原因は元老にあります!先日も私が決済した師団長を勝手に交代させようとした。正規の命令系統に無いものが口を出す。

2011-11-20 03:42:57
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

これは統帥権干犯に等しい!我々は元老を排除、再び強い軍を取り戻すために立ちあがったのです!」会見を終えた中将は大手町にある陸軍参謀本部を占拠すべく部隊を率いて向かった。しかし、そこで見たものは強固な陣地を形成した近衛師団であった。「なぜだ!こんなに早く展開される訳が無い!」

2011-11-20 03:43:30
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

副官の四谷大尉は「分かりません!しかし近衛師団相手では歯が立ちません!」「桃井少将の部隊はどうなっている!」「はい、予定通り進撃をしているそうです。」「よし、この場で待機。元老と直接交渉で決着を図る。」いくら元老とはいえ、外堀を埋められてしまえば交渉に出てこざるを得ないだろう。

2011-11-20 03:44:02
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

今回の行動には国民も理解を示してくれている。それを背景に交渉すれば、元老側からも離反者が出るはずだ・・・。司令部に戻り、そこまで考えたとき四谷大尉が夕刊を持ってきた「・・・閣下、これを。」中将が目を通す。

2011-11-20 03:44:26
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

「桃井少将談話:今回の行動は理解できない。我々は事前に得た憲兵隊の情報に基づき先んじて要所を確保した。」中将は「なんだこれは!」と叫んだ。無理も無い。殆どの兵は桃井少将の元にある。我々に残されたのは中隊規模の僅かな兵と国民の支持のみ。

2011-11-20 03:44:57
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

しかし、まだ国民の支持があれば交渉の余地はある・・・。しかし、次のページにはその希望を打ち砕く事が書いてあった。「今回の行動はあまりにひどい。処分は妥当」それは国民であれば誰もが言うことを聞いてしまう実力者によって発せられたメッセージであった。

2011-11-20 03:45:23
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

本当にあの元帥が言った事かは分からない。しかし、もはや支持は得られないだろう。力なく椅子に座った中将は「裏切られた?どうして・・・。」と言った所に「簡単な事ですよ」と言いながらクーデター派若手将校の筆頭、品川少佐が入ってきた。

2011-11-20 03:45:49
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

「元老は言うことを聞かない閣下が邪魔だった。しかしいきなり排除するといくらなんでも国民の支持が得られない。なので、先に行動させた。こちらの手の上でね。カウンタークーデターですよ。」「貴様がスパイだったとはな。」中佐は中将にピストルを向けながら言った。

2011-11-20 03:46:15
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

「スパイとは失礼な。歩兵中佐の肩書きは『上書き』です。私は陸軍東京憲兵隊、品川中佐です。あなたを叛乱罪の首魁として逮捕します。四谷大尉!閣下の武装を解除せよ!」中将は手を上げつつ大尉に自分のピストルを渡した。大尉はピストルを持って中佐の横に付いた。

2011-11-20 03:47:03
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

「分かった。元老に伝えてくれ。軍事法廷で決着をつけようと。」中佐は笑いながら「それはあり得ませんね。あなたは全ての責任を取ってここで自決されるシナリオです。」「だろうな。しかし、法の審判が無くとも、10年、20年後、歴史の審判が下るだろう。」

2011-11-20 03:47:43
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

「・・・かも知れませんね。では閣下、元老がそちらに行くまで、先にごゆっくりお休みください。」中佐が引き金を絞る。と、中佐はこめかみに何か固いものが当たった気がして目線を向けようとした。しかし、乾いた破裂音と共に彼の視界は闇に包まれた。

2011-11-20 03:48:14
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

「大尉?」中将が大尉を見つめる。煙の出ているピストルを下げた大尉が答える。「私の大尉の肩書きも『上書き』でしてね。まだ詳しく言えませんが、閣下の力を必要としている御方がいます。護衛しつつお連れするように命令されております。」「・・・わかった、行こう。」

2011-11-20 03:48:44
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

【発:戒厳司令部】「大手町不祥事件」において防衛司令部に放火と思われる火災が発生。焼け跡からこめかみに銃痕のある遺体を発見。損傷が激しいものの、清武中将が自ら火を放ち自決したと断定。これにより、同事件の終息とする。なお、逮捕に向かった憲兵中佐と大尉一名が行方不明の模様・・・【完】

2011-11-20 03:51:24