茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第3167回「新国立劇場ラ・ボエームの上演に行った感想さまざま」

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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート3167回をお送りします。文章は即興で書いています。本日は感想です。

2023-06-29 07:09:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

新国立劇場に「ラ・ボエーム」を見に行った。プッチーニは好きだけど、普段は避けている演目である。行ってわかったのは、ごく普通の人を描いているところがものたりないと感じていたことが改めてわかった。音楽は素晴らしいし、アリアも一通り知っているから生舞台を見ていなかったなのだろう。

2023-06-29 07:10:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

ただ、「ラ・ボエーム」の見方として、そうかも、と思ったのは、二人の女性が、それぞれ、詩人、画家にとっての芸術創造のインスピレーションの源、ミューズ的な存在であるというアレゴリーを通して見ると、そのミューズが金持ちや地位のある人になびくというのは芸術論としては興味深かった。

2023-06-29 07:12:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

大野和士さんの指揮は素晴らしく、ぼくは毎晩ブラボーをかけるのは原則一人と決めているけど(笑)、昨日は大野さんにブラボーをかけた(発声が解禁されたのは何より)。一度、舞台のカーテンが上がらないトラブルがあって最初からやり直したの座興だった。

2023-06-29 07:14:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

舞台芸術も良かったのだけれども、演出はぼくの好みでは標準的過ぎて物足りなかった。カーテンコールでブーイングをかまそうと思ったけれども、ここは日本だから、と思ってやめた。ジェンダーの問題などについて、もう少し現代的な演出が見たかった。最後ミミ死ななくてもいいんだから。

2023-06-29 07:15:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

演出の問題は、新国立劇場が世界のオペラ好きから真剣に批評の対象になる存在になるかどうかの分水嶺で、いっしょに行った中尾清一郎さんは音楽の邪魔をしないこういう演出がいいんだと言っていたけど、ぼくはもっと批評的に攻めないとTokyoとしては物足りないという考え方である。

2023-06-29 07:17:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

会場には日比野克彦東京藝大総長や、三浦瑠麗さん、新国立理事長の銭谷眞美さん、文藝春秋社長の飯窪成幸さんなどがいらして楽しかったが、かつてのスーパー天才高校生、Tehuがいて久しぶりに話せたのが良かった。Tehuは、卒論がトゥーランドットの演出論だったらしくオペラ演出をやりたいというのだ

2023-06-29 07:19:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

それで、Tehuとどんな演出をしたいのかと聞いたら、ライゾマやTeamLab的な方向じゃなくて、むしろドラマトゥルギーを現代的に批評した王道の方らしいということでオオと思った。、もしTehuがラ・ボエームを演出したら、どういうものになったろう。

2023-06-29 07:20:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

詩人、画家にとってのミューズというアレゴリー説を採用したとして、そこにジェンダーの問題(女性が男性にとってのインスピレーションになるだけじゃなくてその逆やLGBTQ)を取り入れた演出をたとえばやったとしたら、きっと面白いラ・ボエームになるだろう。

2023-06-29 07:21:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

最後に、個人の好みとしては、開演前に携帯はしまえ、前にかがんで見るなとかしつこくアナウンスするのは演奏開始前の静寂をだいなしにするので嫌い。もっとも、ウィーンに行ってきたばかりの中尾清一郎さんによるとかの地でも未だそうだという。ロンドンはそういうことはない。ロンドン流が好きだ。

2023-06-29 07:24:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

今回のラ・ボエームは、同じ舞台、演出で、歌手などを変えた高校生向けの上演があるということで、これは画期的な試みだと思う。私は不満を表明したけれども、今回のような標準的な演出も決して悪くない。ぜひ多くの高校生に見てもらいたい。学校単位でみなさんいかがでしょう?

2023-06-29 07:26:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート3167回、「新国立劇場ラ・ボエームの上演に行った感想さまざま」をテーマに10のツイートをお届けしました。

2023-06-29 07:27:06